お年玉で買うべきミニコンポ2018
はじめに
前記事で告知させて頂いたとおり、今年も12月某日に都内某オーディオショップをお借りしてミニコンポ試聴会を開催しました。去年の参加者は8人だったんですが、今年は記事を読んで「俺も参加させろ」と奮い立った知り合いに段取りをテキパキと進めて頂いたおかげで、なんと今年の参加者は22人になりました(笑)。お陰で、例年よりも公平・公正な評価ができたのではないかと思います。
2019年版が公開されました。
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前記事や過去記事にも吐露しているように、今やホームオーディオ環境は大きく変わり、再生機器・音楽ソースはCD⇒PC⇒スマホに、そしてスピーカーはコンポ付属のスピーカー⇒PCスピーカー⇒ワイヤレス(Bluetooth)スピーカーが主流になりました。各メーカーも完全に経営資源を引き上げているのが現状で、ミニコンポの存在意義はどんどん失われています。もはやこの流れを止めることはできないと思いますが、ピュアオーディオファンの我々(おっさん)としては、ピュア沼にはまるきっかけを与えてくれたミニコンポへの感謝と敬意を表し、ミニコンポをきっかけにして未来のピュア廃人が一人でも多く育つことを夢見て、この時代錯誤イベントを続けていくことを誓ったのです(とか言って来年はやらないかもしれないですが笑)。
それにしても、今後ピュア廃になる方はどういう経路で沼に沈んでいくのか、ちょっと興味がありますね。やっぱり高音質ワイヤレススピーカー⇒DAC⇒ピュアみたいな経路なのかなぁ。ヘッドホンヲタの人なんかはヘッドホン⇒アンプ⇒ヘッドホンみたいな無限地獄に陥っていて分かりやすいんだけど。
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2万円以下のミニコンポをお探しの方はこちら
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10万円以上のハイコンポをお探しの方はこちら
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10万円以内でPCオーディオを組みたいなら
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試聴環境
例年通りの完全防音、ピュアオーディオ試聴環境です。メーカーはブラインド、3人編成・ランダムな組み合わせで試聴して、先入観に左右されないような環境構築に努めました(ぶっちゃけ味付けですぐにどこのメーカーかは大体分かりますが)。
音源
- MP3(192kbps)、CD(16bit/44.1kHz)、ハイレゾ対応機器にはFLAC(24bit/96kHz,192kHz)を使いました。DSDは見送りました。
- 外部接続によるApple Music, Google Play Musicのストリーミング再生を評価対象に加えました。基本的にはMP3相当だと思います。
ジャンル
過去記事を参照して下さい。中音域のチェックのためにアニメソング、低音域~中音域のチェックのためにボカロ音源も追加で使用しています。
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試聴機器
- VGPに即して、実勢価格4万円、4万円~7万円の2部門制に変更しました(価格は記事執筆時点の最安値)。VGPでは7万円~も評価されていますが、7万円以上あればセパレート構成にすべきだろう、ということで外しました(このあたり、自作PCの香りが漂ってきますが、PCに比べるとパーツの選択肢と組み合わせによって実現できる性能の多様性はオーディオの方が圧倒的に上です)。
- CDトレイのない(CD、再生機能がない)デスクトップオーディオが増えてきましたので、今回から評価対象に加えました。この措置によって、企画の寿命がかなり伸びた一方、当初の企画コンセプトからは多少ブレました。
- 当初の懸念どおり、新製品がコンスタントに発売されなくなりましたので、過去にレビューした製品で後継機が出ていない製品は試聴対象に含めました。過去製品には以下のメリットがあります。(1)値下がりしているためコスパ的に有利(2)購入の際、価格.comやamazon等の各種レビューを参考にできる
- ネットワークオーディオ革命・ハイレゾ革命こそあったものの、オーディオ技術はそこまで急速に進化しませんので、対応コーデックに不満がなく、新製品との価格差がある状況では過去製品が有利になります。SC-PMX100は一時期40,000を切っていたのですが、記事作成時点で在庫が切れて価格が元に戻ったようなので、リストから外しました。
- せっかく、プロ・セミプロが揃っていて過去製品も含めるのだから、セパレート構成も評価対象に加えるべきとのことで、ピュアよりの構成も含めました。当初は3万円程度を基準にしていたゆるい企画でしたが、ガチ臭がすごくなりました。
ベンチマーク
- (約12万)M-CR611(Marantz)2015(黒2017)+B&W686S2(B&W)2014
- (約10万)M-CR611 (Marantz)2015(黒2017)+Diamond220(Wharfedale)2015
- (約8万)M-CR611 (Marantz)2015(黒2017)+ZENSOR1(DALI)2011
- (約7.5万)M-CR611 (Marantz)2015(黒2017)+ SPEKTOR1(DALI)2017
4万円~7万円
- (約6.5万)M-CR611 (Marantz)2015(黒2017)+ SC-M41(DENON)2017
- (約6万)SC-PMX150(Panasonic)2017
- (約5万)EX-NW1(JVC)2017
- (約5万)EX-S55(JVC)2017
- (約4.5万)K-515(KENWOOD)2017
- (約4万)RCD-M41 + SC-M41(DENON)2017
- (約7万)CAS-1(SONY)2015
- (約5万)CR-N765+D-112EXT(ONKYO)2014
~4万円
- (約3万)SC-PMX80(Panasonic)2017
- (約3万)SMC-300BT(SANSUI)2017
- (約3万)X-NFR7TX(ONKYO)2016
- (約4万)HR-X101(TEAC)2016
- (約3万)X-HM76(PIONEER)2016
- (約2万)K-505(KENWOOD)2015
結論
ベンチマーク
オーディオはあるレベルを超えてくると、好みの要素が大きくなります(人によっていい音の定義が違う)。ベンチマーク構成では、できるだけ癖のない中音域重視のオールラウンド構成を採用しています。SPEKTOR1は現在主流の高解像度重視です。
- 32(約12万)M-CR611 (Marantz)2015(黒2017)+B&W686S2(B&W)2014
- 32(約10万)M-CR611 (Marantz)2015+Diamond220(Wharfedale)2015
- 29(約8万)M-CR611 (Marantz)2015(黒2017)+ZENSOR1(DALI)2011
- 30(約7.5万)M-CR611 (Marantz)2015(黒2017)+ SPEKTOR1(DALI)2017
4万円~7万円(*はデスクトップオーディオ)
将来ピュアを考えている人はM-CR611+ SC-M41(だけど、1万円追加してSPEKTOR1に行ってほしい)、将来ピュアオーディオに行くつもりはない&音質と機能性が欲しいという人はSC-PMX150、音質とコスパを追求したいという人にはRCD-M41 + SC-M41が、機能性とコスパを追求したい人にはCR-N765+D-112EXTの構成がそれぞれオススメです。
- 27(約6.5万)M-CR611 (Marantz)2015(黒2017)+ SC-M41(DENON)2017
- 29(約6万)SC-PMX150(Panasonic)2017
- 23*(約5万)EX-NW1(JVC)2017
- 25(約5万)EX-S55(JVC)2017
- 26(約4.5万)K-515(KENWOOD)2017
- 28(約4万)RCD-M41 + SC-M41(DENON)2017
- 23*(約7万)CAS-1(SONY)2015
- 27(約5万)CR-N765+D-112EXT(ONKYO)2014
~4万円
コスパ重視なら予算に合わせてSC-PMX80(3万円台)、K-505(2万円台)を(ただし、K-505は品切れに注意。記事を出してすぐにamazonのK-505シルバーは3万円台に高騰してしまいました)。ネットワーク機能がほしいならX-HM76一択でいいと思います。
- 28(約3万)SC-PMX80(Panasonic)2017
- 22(約3万)SMC-300BT(SANSUI)2017
- 25(約3万)X-NFR7TX(ONKYO)2016
- 24(約4万)HR-X101(TEAC)2016
- 24(約3万)X-HM76(PIONEER)2016
- 26(約2万)K-505(KENWOOD)2015
個別レビュー
ベンチマーク
まずはベンチマークです。プレーヤーにはmarantzのM-CR611を据えています。2015年に発売された神機で、ピュアオーディオ初心者が買うべき第一候補です。今年ブラックラインも新たに発売され、今後も安定した人気が期待されます。
当初、公式に提案された構成として、「B&W CM1S2」との組み合わせ、「B&W 686S2」との組み合わせ、「DALI Zensor1」との組み合わせがありましたが、さすがにCM1S2構成は今回の価格帯と開きすぎるので、今回は686S2とZensor1、さらに今年DALIから発売され、圧倒的なコスパで注目されているSPEKTOR1との組み合わせ、中国投資ファンドのIAGの傘下に入ってから勢いのあるWharfedaleのDiamond220をベンチマークで試しました。Zensor1の構成はVGP2018で金賞を取っています。
686S2の対抗でDiamond225も検討しましたが、Wharfedaleの国内知名度を考慮して、今回は686S2を採用しました。この価格帯であればMONITORAUDIOのブロンズラインも候補に入りますが、シルバーと比べると少しコスパが悪いので、不採用になりました。見た目のチープさを許せるのであれば、KEFのQ350もありだと思います。
採点方針ですが、686S2をベンチマーク32点/40点として、各人がつけた点数の平均を算出し、四捨五入しました。参考でDiamond220が32点、ZENSOR1が29点、SPEKTOR1が30点となりました。Diamond220は中音域の充実度を推す人が非常に多く、686S2と同じ総合点を獲得しました。また、個人的にはZENSOR1の味付けの方がDALIらしくて好きでしたが、SPEKTOR1の高解像度を評価する声が多く、音質勝負ではSPEKTOR1に軍配が上がりました。
4万円~7万円
M-CR611+SC-M41
ベンチマークでも使用したM-CR611とDENONのSC-M41の構成です。SC-M41はRCD-M41との組み合わせでもう一度出てきます。点数は27点で、中音域と解像度の評価が非常に高い構成でした。1万円違うだけのSPEKTOR1構成と3点も違うということは、SC-M41はダメなスピーカーなのか!と感じる人がいるかもしれませんが、大きな間違いで、非常に優れたスピーカーだと思います。ただそれを上回るくらい、SPEKTOR1の完成度が高かったですね。SC-M41は後述のRCD-M41でもスペック上、十分に鳴らしきれていますが、アンプに余裕があるおかげで音の稠密性が明確に向上しています。高音域はややチグハグ感がありました。
SC-PMX150
このブログでも絶賛し、バカ売れしたPanasonicミニコンポの後継機PMX150がいよいよ発売となりました。USBメモリ対応、DSDにも対応(5.6MHzまで)、下位機のPMX80との差はネットワーク機能とハイレゾリマスター、PMX80はDSD(2.8MHzまで)、スピーカーの材質で、リマスターを除けば音質とは無関係です。
過去機であるPMX100・PMX70との差はハイレゾリマスターとDSD、そしてツイーターの改善による高音の制御能です。高音の評価は元々高かったわけですが、長所をしっかりと伸ばしてきており、高音と解像度に評価が集まりました。点数は29点です。アンプの単体評価ではM-CR611の方が優秀だと思いますが、コンポならでは、カメラとレンズよろしく最適化した構成をぶつけることで高評価を獲得しました(高級コンデジVS一眼+レンズで高級コンデジが勝つみたいなものです。)。コンポを買う魅力と長所を十分に感じられる製品だと思います。残りの課題はややもさい(むさくるしい)デザインですかね。
EX-NW1
本企画の紅一点とでも言うべきか、プレーヤーのない最小構成デスクトップオーディオがJVCのEX-NW1です。さすがにこの出力のアンプを猛獣の中に放り込むのは可愛そうでしたが、価格.comプロダクトアワード金賞を受賞するなど、非常に評判が良いので参戦してもらいました。アンプ部分は単独でKENWOODがKA-NA7として売っているので、セパレート構成も可能です。点数は23点でした。ウッドコーンならではの非常に美しい伸びやかな中~高音は健在でした。一方、デスクトップなので仕方がないですが、音場の広がりは限定的、解像度の低さや低音の評価は低かったです。これは製品よりも評価側の問題なので、次回以降の課題にしたいと思います(重量級と軽量級の選手を戦わせているようなものなので)。
EX-S55
以前にレビューしたEX-S5の後継機、EX-S55です。ハイレゾ対応した以外、基本的にはほとんど変化なしです。EX-NW1と同様、ウッドコーンならではの非常に美しい伸びやかな中~高音はいいですが、低音は量感不足、解像度には課題が残ります。本当は上位機のEX-HR9を戦わせるべきなのですが、価格帯がオーバーしていて参戦させられないのが何とも歯がゆいところです。点数は25点でした(ちなみにHR9は27点です)。
K-515
XK-330で迷走した僕らのKシリーズが帰ってきました。ただ・・・ぶっちゃけた話をすれば2015年にレビューしたK-505とほとんど変わらず、違うところといえば、FLAC再生に対応したことくらいでしょうか。逆に言えば、ハイレゾに関心がなければK-505は超お買い得です。点数は26点と高評価、K-505は生産終了しているでしょうから、買うなら早目がオススメです。
RCD-M41+SC-M41
DENONのRCD-M41+SC-M41構成、WHAT HI*FI御用達で2017もBest Buysに選ばれています。
Best Systems 2017 | What Hi-Fi? Awards 2017
音はもうとにかく全音域に隙がなく、評価は28点と高評価でした。M-CR611とSC-M41との組み合わせのほうが解像度の評価こそ高かったですが、さすが完璧にチューニングしているだけあって中・高音域の評価はこちらの構成のほうが高かったです。ネットワーク機能がない、M40にあったUSB再生がないなど機能性は潔く削ぎ落とされていますが、USBDAC外付けでハイレゾ再生も可能ですし、機能性はいいから純粋に音楽を楽しみたいという本来のミニコンポ用途を満たす製品としては、非常に満足度が高い製品だと思います。後述のSC-PMX80と点数が同じになっていますが、仕上げの良さ(所有する満足度)や音像定位能力はこちらのほうが上なので、1万円程度の差は充分に納得出来ると思います。
CAS-1
いち早くデスクトップオーディオ市場を開拓し、シンプルおしゃれなデザインでファン心理をくすぐるいかにもSONYらしい製品。2015年発売ながら、LDACに対応、アップスケーリング機能も装備しており、ライトユーザー層への訴求力はかなりのもの。評価は23点で、EX-NW1よりも小数点分やや高得点。解像度の評価が高く、EX-NW1よりは音場の広がりがある一方で、高音に厳しい評価が目立ちました。
N765+D-112EXT
実はすでに後継機種N775が発売されているのですが、CR-N775+D-112EXTの構成だと8万円と予算オーバーになる一方、旧機種のN765を使うと、わずか5万円で組めてしまうのが魅力の構成。N775はアンプが大幅に強化されているので、N775と比べてしまうとさすがに厳しいですが、ネットワーク対応でDSDにも5.6MHzまで対応しているので、同業他社と比べて見劣りするスペックではありません。
音質はいつものONKYO、やや解像度重視で明瞭ないい音を志向しています。評価は27点で高評価ながら、DENONに一歩及ばず。しかし機能性では圧倒的に勝っているお得な構成だと思います。
~4万円
SC-PMX80
以前絶賛したPMX70の後継機、PMX150の下位機種に当たります。カタログスペック上の違いはハイレゾリマスターとウーハーだけだと思いますが、中音域の評価が低めになっており(スーパーツイーターの違いが影響しているかも?)、合計で28点となりました。PMX150には僅差で及ばなかったものの、上位陣の大半に競っており、今年もコスパの高さを存分に見せつけてくれました。
SMC-300BT
オールドファンにはお馴染み、SANSUIがまさかのコンポを発表したときはざわつきましたね。真空管アンプで実勢3万円は破格だと思いますし、和紙スピーカーも独自性があって面白いです。真空管アンプは鳴り方自体は正統派で、高音はちょっと頑張らないといけないんですが、スピーカーのチューニングで上手く補完できているように思いました。点数は22点となりました。画一的な評価軸ではやや厳しい評価になりましたが、刺さる人には刺さる音なので、一度試聴してほしいと思います。
X-NFR7X
去年レビューしたバランスの良い優等生くんです。採点結果は25点でした。やや量感不足ですが、バランス良く点を取っていました。
HR-X101-SC
去年レビューした時は6万円台でしたが、一時は4万円を下回る水準まで実勢価格が落ち、ようやく価格競争力のある製品になってきました。採点結果は24点とまずまずの結果になりました。
X-HM76
去年レビューした時は4万円台でしたが、とうとう3万円台に。採点結果は24点で、低音の量感不足を指摘する声が多かった一方で、解像度の評価は高かったです。それにしてもネットワーク機能付きでこの音質・値段はバーゲンセールでは?
スペック
- M-CR611共通, 60W+60W
- (約12万)B&W686S2(B&W), バスレフ, 130mmコーン型ミットレンジ(スコーカー)+25mmツイーター
- (約10万)Diamond220(Wharfedale), バスレフ, 130mmコーン型ウーファー+25mmツイーター
- (約8万)ZENSOR1(DALI), バスレフ, 135mmミッドレンジ+25mmツイーター
- (約7.5万)SPEKTOR1(DALI), バスレフ, 115mmウーハー+21mmツイーター
- (約6.5万)M-CR611 (Marantz)+SC-M41(DENON), 60W+60W, 120mmウーハー+25mmツイーター
- (約6万)SC-PMX150(Panasonic), 60W+60W, 140mmウーハー+19mmツイーター+12mmスーパーツイーター
- (約5万)EX-NW1(JVC), 10W+10W, 密閉, 30mm+40mmパッシブラジエーター
- (約5万)EX-S55(JVC), 25W+25W, バスレフ, 85mmフルレンジ
- (約4.5万)K-515(KENWOOD), 25W+25W, 110mmウーハー+25mmツイーター
- (約4万)RCD-M41 + SC-M41(DENON), 30W+30W, 120mmウーハー+25mmツイーター
- (約7万)CAS-1(SONY), 24W+24W, 62mmウーハー+14mmツイーター
- (約5万)CR-N765+D-112EXT(ONKYO), 22W+22W, 100mmウーハー+30mmツイーター
- (約3万)SC-PMX80(Panasonic), 60W+60W, 140mmウーハー+19mmツイーター+15mmスーパーツイーター
- (約3万)SMC-300BT(SANSUI), 30W+30W, 110mmウーハー+38mmツイーター
- (約3万)X-NFR7TX(ONKYO), 26W+26W, 130mmウーハー+30mmツイーター
- (約4万)HR-X101(TEAC), 26W+26W, 70mmウーハー+20mmツイーター
- (約3万)X-HM76(PIONEER), 50E+50W, 120mmウーハー+25mmツイーター
- (約2万)K-505(KENWOOD), 25W+25W, バスレフ, 110mmコーン型ウーファー+25mmツイーター
最後に
この時期の忘年会を兼ねたミニコンポ試聴会が完全に定着しつつあることに喜びと恐怖を感じました。そろそろAVアンプの記事も更新してくれない?と数人から言われたので、なんとかしたいと思います。少し早い新年の決意表明でした。それでは良いお年を。
2017年のオーディオ雑談、今年聞いてよかったもの
はじめに
年の瀬が迫ってまいりましたので、今年も時代錯誤イベント:ミニコンポ試聴会の季節がやってきました。今年は10月中旬からメンバーの募集と会場の調整を始めたかいあって、なんと総勢22名で執り行うことができました。
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photo credit: wuestenigel Lampions in Hoi An, Vietnam via photopin (license)
さてさて、今年のオーディオ界は、ピュア界の既定路線がハイレゾでほぼ落ち着いた一方、一般オーディオ界(下界!?)ではより利便性が重視されるようになり、ワイヤレス(BluetoothスピーカーやEARIN以後の完全ワイヤレスヘッドフォンを含)・ノイズキャンセルの組み合わせが定着しつつあるような状況です。この背景には、高音質コーデックであるaptXから進化し、さらなる高音質伝送(最大48kHz/24bit、既存は16bit)が可能になったaptX HDやSONYのLDAC、モバイル環境の音ズレに対応したaptX LL(Low Latency)といった技術面の進化も無視できないように思われます。このあたり、4年前の記事の頃(AACとaptXを最新の潮流として紹介)と比べると、隔世の感があります(aptXはイギリスのAPTが開発したものですが、2010年にCSRがAPTを買収、さらに2015年にクアルコムがCSRを買収するなど、こちらもなかなかダイナミックな変遷)。なお、アップルユーザーに愛されているAAC、原音再現性ではaptXに一歩及んでいなかったわけですが、この数年でこの差は大きくなったように思います。
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マニアックな話が読みたければ、2016/12のこちらの記事もオススメです。
「LDACは最大990kbps(96/48kHz)で伝送される音質優先モードのとき、電波の状態次第では再生がシビアになることもあるが、最大576kbpsのaptX HDは比較的余裕があるため再生が途切れにくい。」ってのは面白いですね。
ワイヤレスイヤホン
今年出たワイヤレスイヤホンの中で一番印象的だったのがBE Free8、あのNuForceが完全ワイヤレスを出したのは驚きでしたね。僕がNuForce/NuPrimeファンであることを差し引いても音質はさすがで、VGPの金賞も受賞していました。aptX-LL対応です。耳が小さい人やホワイトノイズが気になる人、遮音性を高めたい人はコンプライのイヤホンチップを使ったほうがいいです。イヤホンチップの重要性は、完全ワイヤレス時代にますます高まっていくと思います。デフォルトチップも進化しそうです。
スマートスピーカー
また、2017年のトレンドとして、amazonやgoogle、LINEから発売しているスマートスピーカーは触れておかないといけないでしょう。音質的には正直なところカス以外の何物でも無いわけですが、名前が「スピーカー」であり、スマホやPCの音楽を手軽に聞けることから、今後ホームオーディオの中心を担っている可能性が非常に高いように思います。
2018年のビッグトレンドとして、amazonやgoogleが開発した機械学習チップ(AIと呼ぶのはちょっとね)+高級オーディオメーカーの組み合わせは数多く登場してくるように思われます(UEのMegablastとか)。今年バカ売れしたBose SoundLink Revolveなんて見た目もスマートスピーカーですしね(なお、BoseのワイヤレスはaptX未対応(というか非公表)です。ピュア屋はやっぱりBoseが嫌いw)。キーワードはインテリア性の高い無指向性、ワイヤレス、スマート化の3つになると思います。
ワイヤレススピーカー
高級オーディオメーカーのワイヤレススピーカーってのは既に一大トレンドで、古いピュアファンからすると、ブランド安売り!?などと危惧していたのですが、蓋を開けてみればコーデックの進化もあってか、想像以上にしっかり作り込まれており、さすがだなぁと感心させられることが多かったです。
先鞭をつけたのはなんといってもB&Oですね。原音再現性の高さとシンプルな北欧デザインはオーディオとインテリアを両立させたい層にドハマリしました。
しかし、何分お高い!のでnot富裕層でオーディオヲタでもないインテリア好きは買えない。そこで都内インテリアショップが目をつけたのがUEです。UEは元来定評のある音響メーカーでしたが、2008年にロジクールに買収された後は、定評のある音質に加えてコスパも優秀という、手がつけられないブランドへと進化しました。UE ROLL2はスポーティでありながら落ち着いたモダンデザイン、B&Oの半額以下にも関わらず、同程度もしくはそれ以上の高解像度を誇っており、初めてインテリアショップで聞いたときはびっくりしました(もっと音質悪くてええんやでって思いました)。まぁ、耳が超えるのはいいことですが。
あまりにこの子達がバカ売れしたせいなのかなんなのか、老舗のCambridge Audioと色気のある音を奏でることでファンの多いDALI、さらにAUDIOPROが参入してきたのは驚きでした。 ざっくりとした感想を書いておくと、B&OとCAは中音域重視でやや軽め、UEは高解像度、DALIは音の連続性、APは好きな人にはドハマリするであろう個性的なルックスと低音域が特長です。僕の寝室ではYOYO(S)が現役で頑張ってくれています。
明らかにB&OのA2を意識したデザイン。
AUDIOPROのAddOn
ノットピュアオーディオメーカーも負けじと参入、今年は本当にホットなワイヤレススピーカー市場でしたねぇ。イギリスのアンプメーカーMARSHALLにギターとアンプで有名なFender、ピュアオーディオ屋なので普段はあまり馴染みがないメーカーでしたが、Marshallは高音重視で面白い設定、Fenderは中音域重視で見た目に反して優等生な設定でした。デザインもロック好きな人など刺さる人には刺さるんでしょうね。
アンプ・DAC
今年、アンプはこれといって出物がありませんでしたね。色々と試聴しましたが、結局何も買いませんでした。DACはコスパ考慮すると現在はOPPOのSONICA DAC一択でしょう。色々な所でコスパ最強としてレビューされているので、改めて紹介するまでもない銘器です。ミニコンポ試聴会の参加者は文字通り全員が所有していました(改めて全員ってさすがにすごいなぁ)。仮に万が一に音が気に入らなかったとしても、リファレンス機として買わざるを得ないんですよね笑。7月くらいまでは品薄状態が続いていましたが、最近は品薄も解消されたので、まだ買ってない人はすぐにポチっておきましょう。
追記:OPPOのAV事業撤退もあり、販売終了しました。(2018/3)
スピーカー
DALIの新しい廉価スピーカーシリーズ、SPEKTORは評価高かったですね。周りに結構買っている人が多かったです。僕自身の感想としては、確かに価格比ではいい音を鳴らしているけど、少し物足りないなーというものでした。ピュアオーディオのメインシステムとしては若干物足りなかったですが、シアター構成にすると化ける気がするので、全シリーズ入荷したら、改めて試聴してみたいなと思っています。初心者の導入にはとてもいいスピーカーだと思いました。
最後に
ずっと危惧していることではあるのだけど、ホームオーディオ環境の変化は著しいですね。ミニコンポ試聴会はいつまで続くことやら、笑。
お年玉で買うべきミニコンポ2017
はじめに
12月中旬、都内某所、知り合いのオーヲタから「今年も書くの?」のLINEが入る。今年は無理だよなーと思いながらスケジュールを確認すると、なんと奇跡的に17日だけスケジュール空いてる!急いで試聴環境をいつものお店に揃えてもらい、スケジュール調整、めでたく8人の勇士が集まり、今年も無事に開催できましたミニコンポ試聴会。
一昨年、去年と続けてきたこの企画ですが、ハイレゾ対応&CDレス化が進み、独立なオーディオ機器としての性格が薄れ、PCに外付けするオーディオ機器(外付けDAC+(プリメインアンプ)+パッシブスピーカー)として生き残っていこうという製品群になりつつあります。いちいちPCを起動せずに、PCレスで気軽にいい音が聞ける点を突き詰めないと死に絶える製品群だよ、と過去記事に書いたわけですが、まさしく死に絶えつつある気が・・・。 11月に出たJVCケンウッドの製品発表でも
同社は、ハイレゾ音源やストリーミングサービスの普及などホームオーディオを取り巻く環境の変化を鑑み
ってリリースが出ていますし、やはりこの流れは止められなさそうです。そういう意味ではいつまで続くか分からないこの企画ですが、毎年恒例『お年玉で買うべきミニコンポ2017』、今年も始めます。
photo credit: World Economic Forum Taking Talent to Market via photopin (license)
2018年版が公開されました(この記事は2017年版の古い記事です)。
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試聴環境
- 防音完備、ピュアオーディオ試聴環境を用意(してもらいました)
音源
- MP3(192kbps)とCD(16bit/44.1kHz)に加え、ハイレゾ音源に対応する機器が増えましたのでFLAC(24bit/96kHz,192kHz)を可能な限り使いました。DSDは見送りました。
ジャンル
下記記事を参照して下さい。
試聴機器
結論ですが、去年と同じくSC-PMX70買っとけ、でいいと思います。比較した他の製品の4割~6割程度の価格で購入できるにも関わらず、価格と音質を考慮したときのコストパフォーマンスが圧倒的です。ネットワーク機能が欲しいなら上位モデルであるPMX100と他の製品を比較した方がいいと思いますが、その場合はミニコンポ以外も考慮にいれるべきでしょう。
試聴結果
SC-PMX70
去年大絶賛したPMX70です。テクニクスを復活させたパナソニックの勢いは本物で、2016年4月に出したOTTAVA SC-C500の出来も抜群でした。
細かいレビューは去年の記事を見てもらうとして、当面はミニコンポ界のベンチマークとして活躍していってくれることだろうと思います。ハイレゾにもFLAC(24bit/32/44.1/48/88.2/96/176.4/192KHz)192kHzまでしっかりと対応しています。欲を言えばハイレゾ音源を使った時、若干の解像度の低さが気になりますので、次世代ではスピーカーを改善してほしいです。(デザインも少し安っぽいです。)
- 低音:4
- 中音:4
- 高音:4
- 解像度:3
- 合計:15
X-NFR7TX
毎年ONKYOの悪口を書いているので、社員に会うたびに嫌味を言われます(笑)何だかんだ言って毎年コンスタントに新製品を出すのは偉いですね。スピーカーがちょっと小さくちょっと軽くなったそうで、体感的には誤差レベルですが企業努力を感じます。ONKYOのスピーカーは無個性だけどいい音で、ここだけは他メーカーに負けていません。あと、ハイレゾ再生に対応(FLAC(96kHz/24bit))したのが大きな変化点ですが、96kHzまでとちょっとイマイチ感。(ボタンが多くて使いやすいかもしれませんが、デザインの観点からはひどいと言わざるを得ません)
- 低音:3
- 中音:4
- 高音:3
- 解像度:4
- 合計:14
D-M40
DENONのD-M40、ONKYOのFRシリーズと同じく歴史の長いシリーズです。2015年発売ですが、去年試聴する時間がなかったので今年のリストに入れました。アンプの出力は30W+30W、スピーカーの再生周波数域は45 Hz ~ 40 kHz、FLACは48kHzまでと若干イマドキ感がない構成。音質は低音~中音域が抜群によく、オーディオはやはりスペックだけでは語れないなと改めて実感(試聴するたびに思うことですけど)。高音のヌケ感や解像度は適度なレベルでそれなりという感じ。WHAT HI*FI2016では最高評価を獲得しています。
Best Systems 2016 | What Hi-Fi? Awards 2016
- 低音:4
- 中音:4
- 高音:3
- 解像度:3
- 合計:14
X-HM76
今回唯一のネットワーク機能付き、PioneerのX-HM76です。アンプは50W+50W、スピーカーの再生周波数域は50 Hz ~ 40 kHz、ハイレゾはFLAC192kHzまでしっかりと対応しています。32bitDACチップを積んでおり、DSDにも対応しているなど、お値段的にもスペック的にもミニコンポというよりピュアオーディオな製品です。分解能は高いですが(S-HM86-LRで検証)、セットのスピーカーの性能がしょぼいせいで、出てくる音は物足りないです。
- 低音:4
- 中音:4
- 高音:4
- 解像度:3(4)
- 合計:15(16)
追記:アンプとスピーカーのどっちにお金をかけるべき?という質問に対し、オーヲタの100人中100人がスピーカーと回答しているのをよく見かけます。これは初心者にとってはなかなか実感が伴いにくい点だと思いますが、Pioneerの機種を使うと簡単に実感することが出来ます。まずX-HM76を聞いて下さい。次にXC-HM86+S-HM86-LRを聞きます。解像度や音場再現能力が1ランク違うことが分かると思います。最後に、X-HM76のレシーバ-+S-HM86-LRを聞いて下さい。これでアンプとスピーカーどちらが決定的に重要なのか絶対に分かると思います。(そして後者の音がどうしても欲しくなった時、そのときこそピュアオーディオの世界(沼)に飛び込む時です(笑))
HR-X101
Pioneerと同じくミニコンポというよりは準ピュアオーディオ的な位置づけ、TEACのHR-X101です。アンプは26W+26W、スピーカーの再生周波数域は60~40kHz、ハイレゾはFLAC192kHzまでしっかりと対応していて、DACチップはBurrBrownのPCM1795です。バランス良くまとまっていますが、ライバルと比較すると今ひとつ、価格を考えると今ふたつといった感想でした。USB DACとして使えるという付加価値をどう捉えるかにもよりますが・・・。
- 低音:3
- 中音:4
- 高音:3
- 解像度:3
- 合計:13
最後に
差別化を考えると、今後のミニコンポはPCの外付けオーディオと化すか準ピュアオーディオ化するかの二択になるのかもしれないな、とPioneerやTEACを聞いていて思いました。ぶっちゃけた話、一昔前のミニコンポ程度の音質は現在のCDラジカセで出せるくらい技術進歩が進んでしまったので、場所をとるミニコンポの存在価値が問われている時代なんでしょうね。来年もやるかは不明(製品群がどうなるか不明)ですが、引き続きよろしくお願いします。
過去記事はこちらをどうぞ
試聴音源のジャンルに関して
はじめに
上の記事で、以前に予告していた試聴音源の話を始めたのですが。ダンスミュージックの項目を書いていたら長くなりすぎた(日頃の鬱憤を晴らしていたら止まらなくなった)ので、スピンアウトさせました。
photo credit: Leonid Yaitskiy Hong Kong via photopin (license)
試聴音源のジャンル
- 中音域を確認するためにロックの音源を使用しています(ポップスを使うこともあります。)。ノーベル文学賞受賞に敬意を表して、今回はボブ・ディランを聴きました(笑)
- 低音域を確認するためにダンスミュージックを使用しています。ラップやヒップホップ、レゲェサウンドを使用される方も多いですが、僕があまり好きではないのでほとんど使用しません。特にドラムンベース・ドリルンベースの音源を利用することが多いです。(後述参照)
- 低音域~中音域の確認、連続性を確認するためにジャズを使用しています。特にアシッドジャズの音源を利用することが多いです(Brand New Heaviesから入信しました)。
- 高音域を確認するためにダンスミュージックを使用しています。最近はリキッドファンクやフューチャーベースを使うことが多いです(後述参照)。
- 低音域~高音域の確認、連続性を確認するために交響曲(クラシック)を使用しています。オペラ音源は試聴メンバーから要望がある時しか使いません(必ず使う人もいます)。試聴曲の選定ですが、好きな曲聞けばいいと思います。僕らがよく使う曲:交響曲第1番・第5番(マーラー)、皇帝円舞曲(シュトラウス)、交響曲第3・7番(ベートーヴェン)、交響曲第5番(ショスタコーヴィチ);手に入れやすい有名どころの曲だけリストアップしました。
どうぞ、ご参考になさって下さい。以下はおまけです。
突如始まるダンスミュージックの話
ダンスミュージックが好きって言うと、最近は「あー、EDMいいよね!」とステキな反応をされる(#^ω^)ので、Wikipediaを使って簡単に歴史を振り返りましょう。
- ディスコ(米国):アメリカのアフリカ系アメリカ人やヒスパニックのコミュニティを起源とし、1960年代後半から1970年代前半にかけてフィラデルフィアからニューヨークへと伝わっていった。ディスコ (音楽) - Wikipedia
- ハウス(米国)・シカゴハウス:1977年にアメリカ合衆国シカゴで誕生した音楽ジャンルの一つ。70年代のディスコやフィリー・ソウル、サルソウル・サウンドなどを起源としている。シカゴのゲイ・ディスコ「ウェアハウス」が名称由来とされ、その特徴から、アメリカでは、性差別をテーマにする音楽である認識が強い。その後、80年代末~90年代の「ユーロディスコブーム」以降、ハウスの中心地はシカゴからイギリスを中心とするヨーロッパに移ったが、イギリスでは当初のテーマ性の追求は薄れ、様々な音楽音源との混合(ミックス)技術をテーマとする試みが行われた。・・・ニューヨークの「パラダイス・ガレージ」のDJであったラリー・レヴァンの友人で、自らも有能なDJであったフランキー・ナックルズは、1977年にシカゴに新たにオープンした「ウェアハウス」の主力DJとしてニューヨークから招かれ、彼のDJは独特のミックス手法であって、特にゲイたちから高い人気を博したため、地元のレコード店が「ハウス・ミュージック(ウェアハウス・ミュージック)」と称して販売したのがハウスという名称の始まりと言われている。ハウス (音楽) - Wikipedia シカゴ・ハウス - Wikipedia
- ガラージュ(米国):パラダイス・ガレージにおいてDJのラリー・レヴァンはジャンルを超えた様々な曲を掛けていたが、そうした曲や彼が好みそうな曲などをまとめてガラージュ(ガラージ)と呼ぶことが多い。ガラージュ - Wikipedia
- エレクトロ(米国):1982年から1985年の間に流行した電子音楽の1ジャンルである。楽器としてシンセサイザーのローランド・TR-808を使い、ヨーロッパの電子音楽とアメリカのファンクが融合して成立した。エレクトロ - Wikipedia
- ハイエナジー(欧州):1980年代初期にナイトクラブで人気の高かったクラブミュージックの一種であり、今日に至るまで人気が高いジャンルである。"Hi-NRG"という名称は、ロンドンでイアン・レビーン(Ian Levine)によってプロデュースされた、イブリン・トーマス(Evelyn Thomas)のディスコ・ヒット"ハイエナジー(High Energy)"(1984年)に由来する。Hi-NRG - Wikipedia
- ユーロビート(欧州):ユーロビートは、ハイ・エナジーと呼ばれていたジャンルの音楽から発展した。この音楽が「ユーロビート」と呼ばれるようになったきっかけのひとつとして、1985年12月、英国の音楽雑誌「レコード・ミラー」が、「ハイエナジー・チャート」の名称を「ユーロビート・チャート」に変更したことが挙げられる。ユーロビート - Wikipedia
- アシッドハウス(米国):1987年、シカゴでDJ Pierreが『Acid Trax』を製作した時、古いアナログシンセサイザー「ローランド・TB-303」のツマミをランダムに動かすことによって偶然生み出されたサウンドが、あたかもアシッドすなわちLSDの幻覚作用を思わせる幻想的なサウンドであったために、この名前がついたといわれている。アシッド・ハウス - Wikipedia
- テクノ(米国)・デトロイトテクノ:1980年代前半から中盤にかけ、シカゴに隣接する都市であり、同じく黒人音楽の伝統を持つデトロイトでもシカゴとデトロイトを行き来する人々によりこのシカゴ・ハウスが持ち込まれ、新しい音楽の運動が生まれてくる。この音楽成立に関わった主なアーティストとしては、同じ学校に通っていた音楽仲間でありDJ集団も組んでいたホアン・アトキンス、デリック・メイ、ケヴィン・サンダーソンらの、いわゆる「ビルヴィレ・スリー」(3人の出会った場所が地元デトロイトのビルヴィレ地区であったため名づけられた)が挙げられる。彼らの音楽はシカゴ・ハウスの影響を受けつつも、従来のハウス・ミュージックが持つ享楽性に対し厳しい現実を反映したシリアスな音楽を志向し、音楽雑誌の取材時にはより政治的・思想的な側面を打ち出していた。
- トランス(ドイツ):ハウスから派生したエレクトロニック・ダンス・ミュージックの一種である。130から150くらいまでのBPM(テンポ)のリズムに加え、うねるような旋律を奏でるのが特徴。そのリズムやメロディは、さも脳内の感覚が幻覚や催眠を催す「トランス状態」に誘うかの様な様式からトランスと呼ばれている。ダンスミュージックとしてのトランスは、1980年代中期にアシッド・ハウスから派生した。トランス (音楽) - Wikipedia
- ドラムンベース(英国):BPMが160以上であり、高速で複雑なシンコペーションを用いたブレイクビーツサウンドにキックとベースを強調した重低音が特徴。1990年代初頭にイングランドで発祥したといわれる。どちらもブレイクビーツをルーツとしているが、ドラムンベースの特色として挙げられるのは、ジャングルよりもさらに複雑化したリズムであり、ヒップホップよりも速いBPMを用いることである。ドラムンベース - Wikipedia ブレイクビーツ - Wikipedia ジャングル (音楽) - Wikipedia ヒップホップ - Wikipedia トラップ (音楽のジャンル) - Wikipedia
- ドリルンベース(英国):ドラムンベースを起源とする電子音楽のジャンルの内の1つ。1990年代中盤のスクエアプッシャー、エイフェックス・ツイン、ルーク・ヴァイバート、μ-ziqなどの作品が発祥とされる。ドリルンベース - Wikipedia
- チルアウト(欧州):チルアウトは、電子音楽の作曲者により生み出された、比較的陽気でスローテンポなさまざまな形式の音楽を表す包括的な言葉である。発祥は1990年代前中期で、くつろぐことを促す俗語から来ている。チルアウト - Wikipedia
- アンビエント(アンビエントハウス・アンビエントテクノ):踊るためのアップテンポな他のハウス音楽とは異なり、環境音楽的な、ゆったりとしたリラックスできるような音楽である。アンビエント・テクノの始まりはいわゆる80年代のレイブムーブメントから誕生したチルアウトに原点がある。アンビエント・ハウス - Wikipedia アンビエント・テクノ - Wikipedia
- 2ステップ(欧州):1990年代後半にヨーロッパで流行したUKガラージサウンドの一つ。2ステップ - Wikipedia UKガラージ - Wikipedia
- ダブステップ(欧州):1999年にイギリスのロンドンで誕生した強くリバーブのかかったドラムを用いた2ステップの総称。2001年にロンドンの「Velvet Rooms」というクラブで開催されていた「Forward (FWD>>)」というクラブイベントで、2ステップのダブミックスにブレイクビーツやドラムンベースの要素を加えた音楽を選曲することが流行したのがダブステップの始まりである。ダブ - Wikipedia
- チルステップ:チルアウト・アンビエント+ダブステップ
- リキッドファンク:ソフトドラムンベース、メロウなサウンドが特徴 ドラムンベース - Wikipedia
- EDM:狭義的な解釈ではEDMという言葉は、DJカルチャー以降の音楽的伝統を持たない、ポップなエレクトロニック・ダンス・ミュージックを指す。その成り立ち故に、従来のテクノやハウス・ミュージックのミュージシャンやファンから区別され、批判されることもある 。
- フューチャー(フューチャーベース・フューチャーガラージ):浅薄なEDMとは異なり、これまでの長い長い系譜を引き継ぎ、現代的な要素(EDM的な要素を含むのが厄介なところだが)を加えた正当な後継者。
photo credit: marfis75 disco feeling via photopin (license)
2016ヘッドフォンメーカーランキング【後半戦】
はじめに
前回から始まったTIME誌のヘッドフォンメーカーランキングについて、酒を飲みながらグダグダ喋っていく回、今回は後半戦です。トップ3にShure、Grado、Klipsch、4位以降にPioneer、Sony、AKG、Sennheiserというランキングになっておりまして、Pioneerさんが大健闘かな、という感想です。それでは8位以下も見ていきましょう。
8. JVC (75)
ここで来ましたJVC、なおここから日本メーカーが続くというあたり、やっぱりものづくり大国やで!(逆に言えば、まったく高い音質を価格転嫁出来ていない当たり、ブランディングの圧倒的な下手さを痛感させられますね。特にB◯SEとかBe◯tsとか・・・)
JVCっていうとウッドコーンスピーカーのイメージが強すぎるわけですが、ヘッドフォンもちゃんと作っています。音質・ラインナップもしっかりしてるのですが、如何せん知名度は絶望的で、今価格.comで調べたらまともに100位以内に入ってる機種は一つもありませんでした(泣)
これはSONYを除く全てのメーカーについて言えることですが、いいもの作っていれば消費者は分かってくれるはずという傲慢なエンジニアリング魂が未だに蔓延っていることが一因なのかと(特に彼ら的に嫌なこと(デザイン等)を指摘した時の態度に露骨に感じます)。 例えばHA-SS01を取り上げてみましょう。VGP2016を受賞するなど音質には定評があり、今回の試聴でも精緻で正確な音再現は抜群でした。しかし、分かりやすい高級感は見た目から全く感じないし、分かりやすいストーリー性もないこのヘッドフォンに4万円以上一般人が出せるかと言われると、間違いなく無理です。本当に音がわかってくれるヒトだけが買えばいいってのは格好いいとは思いますがただの自己満足では・・・。もっともっと営業努力が必要だと思います。
さて、このボロクソ書いたJVCで唯一売れているのがポタアンのSU-AX7です。2016年7月の今となっては一世代前感のスペックだなーと感じる部分もありますが、超高音質DACであるAK4390を積んでおり、日本メーカーのポタアンでは未だに最高クラスだと思います。VGPも3年連続で受賞しており、これぞJVCとケンウッドの統合効果!と当時は思いました。なんですけど・・・なんで後継機出さないんですか?
ぶっちゃけ14年当時は先進的でしたが、今となっては重い・充電持たない・DSD再生できない・機能性ダメで音質だけが取り柄の機種に成り下がりました。ハイレゾ以後のオーディオ業界の速度は、これまで一部の富裕層のおっさん相手にのんびり商売していた時とは根本的に異なります。最新の技術を持った新興メーカーがガンガン煽ってくる時代です、もっと機敏に対応して欲しいです。
日本メーカー応援したいですけど、同価格帯であるOPPOのHA2とどっち買ったほうがいいって聞かれたら、HA2薦めちゃいますよ。生き残れるかどうかの瀬戸際であることをもっとちゃんと意識して、頑張ってほしいなというメッセージでJVCの項目を締めておきます。
追記(2016/12):7月にAX7の悪口書いたら、11月に上位後継機のAX-01が発売されました(^○^)。まだ価格が熟れて(こなれて)いませんが、DACにはESS製ES9018K2Mを採用、384kHz/32bit・PCM&11.2MHz・DSDまで対応し、隙がなくなりました。後は価格競争力ですね。
9. Audio-Technica (74)
言わずと知れた独立音響メーカーの雄、オーテクです。近年は広告にも力を入れており、定評のあるデザイン性、音質の高さと相まって好感が持てます。今回はATH-MSR7を試聴してみましょう。 SONYのMDR-1Aのライバル機種、JVCのHA-SS01がこの価格なら(・・・ってまたディス) と思わずにはいられない、オーディオファン向け激戦区価格帯。MDR-1Aと比較すると、より分解能が高くモニターライクな音です。聴き比べるとドンシャリ感がより弱いので少し地味に聞こえるかもしれませんが、静かなところでちゃんと聴き比べると、ATH-MSR7のほうがマジメな音作りをしている印象を受けます。高音の抜け感は圧倒的にこちらだと思います。
10. Panasonic (74)
なんと10位にパナソニックがランクイン、これは本当に意外です。パナソニックのヘッドフォンって、インテリアショップの依頼で聞いて以来、一度も聞いたことないですわ。価格.comでランキング見てみるもあまり売れているわけではなく、全然わからない。
ということでとりあえずフラッグシップのRP-HD10を試聴・・・購入しました(2度目)。コンポもそうだけど、最近のPanasonicのオーディオすごいですね。もっと真面目にデザイン頑張ったら世界狙えるんじゃないだろうか・・・。ドンシャリきつめって書いているレビューありましたが、これは一切味付けしてないモニター志向ヘッドフォンなので間違いです。逆にモニター志向でチューニング疑われるレベルで高低音がしっかりしているってことは、圧倒的にレベルが高い証拠です。デザインのモッサリ感が返す返すも残念ですが、この音質で2万円を切るだなんて、超コストパフォーマンスの機種と言わざるを得ません。
11. Apple (74)
なんとなく気づいてはいたが、このランキングのヘッドフォンってイヤホン含むんだね、Appleのランクインで完全に理解しました。しかし、それだったらこれまでの考察全部的外れじゃんとか思ったのは後の祭り。どうもamazonには模倣品が出回っているらしいので、公式課金しました。BA2ドライバーで1万円ってのは少しお高め、聞いてみた感想ですが、3000円以下で音質に強いこだわりがないアップル信者なら買いだと思います☆(信者が怖いので適当(笑))BAとは何?って人はコチラの記事をどうぞ。
12. Bose (73)
とうとう来ましたBoseさん、前半からディスりまくっていますが、僕はこのメーカーが嫌いというわけではありません。ピュアオーディオファンとしては嫌いだけど、映画ファンとしては好きです。前に書きましたが、音楽マニアと映画マニアでは求める音が違います。
以前の記事でも書きましたが、ピュアオーディオに求めるのは原音再現です。この観点から、チューニングしまくりのBoseはあり得ません。仮にどれだけBoseのヘッドフォンから心地よい音が流れてきたとしても、ノイズをカットしてくれていたとしても、やはりそれは造られた音であって、原音ではないのです。そのため、一般人には非常に支持されているBoseですがオーディオヲタクからは敬遠されてしまいますし、音質の指標では不利になるのです。
13位以降
13位以降のメーカーについては多少の差こそあれ、ドンシャリ感をチューニングで強調し、デザイン性を高め、原音再現能力意外で勝負しているメーカーがほとんどです(ラインナップの中にはそういったモニターヘッドフォンがあるメーカーもありますが)。そういった戦略を否定するわけではないですし、原音再現していればいい音に聞こえるかどうかはそもそも人によりますが、個人的には原音にこだわったメーカーに報われて欲しいなーというのが正直なところです。逆にそのように真摯に音にこだわっているメーカーが、イメージ戦略だけで勝ち上がったメーカーに駆逐され、市場から撤退されると困ってしまいます。日本メーカーは伝統的にここが弱いので、不利にならない程度には頑張って、戦って欲しいと思います。
13. Philips (72)
14. Creative (68)
15. Koss (68)
16. Skullcandy (62)
17. Beats by Dre (58)
18. Plantronics (57)
まとめ
オーディオヲタって大して音に違いもないものに大金かけてアホだなーとか巷ではよく言われますが、今回のランキングではヲタが支持するオーディオメーカーが上位を独占するという面目躍如な素晴らしい結果に。個人的にも色々と発見があっていい企画となりました。
今回の試聴ではKlipschのR6とPanasonicのHD10を新しく購入したわけですが、どっちがよりコスパよくてオススメかというと断然HD10です(R6は資料的要素も考慮して購入したという経緯もあり)。2万円前後でMDR-1AやATH-MSR7を検討している人には是非HD10も検討して欲しいように思いました(デザインを考慮すると買う気にはなりませんが)。オーテク復活以来のパナソニックは本当に頑張っていて、ステマ臭がするのであまりプッシュしすぎたくはないんですけど、どうしても取り上げざるを得ない。他のメーカーも負けずにがんばってください!Gradoは次回までの宿題ということで、ではまたまた~♪
photo credit: Adeus, amigos via photopin (license)