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ネットワークオーディオラボ ぶろぐ

ネットワークオーディオ・PCオーディオ・ハイレゾ音源関連の最新ニュースをお届け♪

VGP2018スピーカー編

はじめに

今年も恒例のVGP2018が発表されましたね。やや商業的なバイアスを感じることもありますが、製品を知るには網羅的でいいアワードだと思います。それでは中身を確認していきましょう。

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Photo by Bryan Papazov on Unsplash

スピーカー

ペア10万円以上の金賞は順当にクリプトンのKX-0.5、ELACのBS263のほうが個人的には評価高いですが、新製品有利なアワードなので仕方ないですかね(受賞すらしていないのは謎だけど)。
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ペア10万円未満の金賞はKEFのQ350、本ブログでも何度も出てきている解像度に優れた銘器です。他のインテリアやアンプの色との相性もありますが、ウォルナットの見た目がなかなか上品です。

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DALIのSPEKTOR1も貫禄の受賞です。低音の量感を稼ぎたいのであれば&サイズが許せるなら、SPEKTOR2も候補に入ります。

 

REVELのM16もランクインしてますね(Amazonではなぜかスタンドのみ売っていました)。マークレビンソンの姉妹ブランドだそうですが、少なくともCONCERTA2が目指す音は解像度を犠牲にして量感を稼ぐという、マークレビンソンとは真逆の音を追求する方向性の製品に感じました。上位のPERFORMA3はバランスよく鳴っていたので、M16を含めたCONCERTA2はホームシアター向けと考えたほうがいいように思いました。結論として、このスピーカーが受賞するのは謎です(低音好きな人は好きでしょうけど)

M16 | スピーカー | REVEL by HARMAN

「音のいい部屋」で少し言及したTANNOYのMERCURY 7.1 も受賞(Amazonは7.2)。解像度を重視した最近の構成ではないので、最先端の音に慣れているとやや物足りないですが、素性のいいしっかりとした音を楽しめます。BGMなどは解像度が高すぎないほうがいいので、こういうアプローチのスピーカーは大いにありです。

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 スピーカー比較試聴に登場したECLIPSEのTD307MK2A、JVCのSX-WD9VNTも受賞。SX-WD9VNTはTANNOYと同じく、解像度を重視しすぎないしっかりした音で納得ですが、TD307MK2Aはやや変化球なので、受賞に相応しいかと問われると疑問に感じます。

 

 アクティブ(パワード)スピーカー

完成度が高すぎて2013年から覇権を握り続けているクリプトンのKS-3HQM、僕も大昔の記事で言及していました。10万円以下でこのサイズであれば、はっきり一択だと思います。KEFのX300A(Wireless)は有力な対抗馬でしたが、今はほとんど見かけません。上位機であるKEFのLS50 Wirelessは圧倒的に音質が上ですが、値段も3倍くらいしますし、そもそもサイズが違います。

 

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ただ、そもそもコンパクトなアクティブスピーカーを探している人は、いくらいい音だからといって10万円も出す気にはならないでしょう(ましてや20万円超えだなんてとんでもない!)。そこで、もう少し一般人向けの価格帯でアクティブスピーカーをまとめたのが上記の「ハイレゾ初心者~」の記事です。ただやたらと古くなってしまったので、少しアップデートしておきましょう。

まず1万円以下、2013年に以下の記事を書いているので、新製品を楽しみにしていましたが、メーカーからしても薄利でしかない価格帯に積極的に新製品が大量投入されるわけもなく、結局ほとんど顔ぶれは変わりませんでした。

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ヤマハのNX-50、低音・高音にそれなりの味付けがされているのでピュア派にはやや不満ですが、正当な味付けなので、大多数の人にとってはいい音が流れてくるいいスピーカーだと思います。傑作とまでは思いませんけど、悪くないスピーカーです。古い製品なので価格的にも有利です。

 対抗馬は過去に絶賛したPebbles、見た目とは裏腹にモニターライクでしっかりとした音です

そしてFOSTEXのPM0.3の後継機PM0.3H、変な味付けのない正統派のモニターサウンドをこの価格とサイズで実現してくれるのは相変わらず素晴らしいことですね。ボリュームコントローラーという名のDACをセットするのがおすすめ構成です。

 

 

 次に3万円以下、VGP受賞のTW-S9Wは一世を風靡したOlasonicのタマゴ型スピーカーの最新機種ですかね。96kHz/24bitまでのハイレゾに対応など、しっかりとアップデートしてきています。FOSTEXDAC外付けなし)よりも解像度が欲しくて、低音は不要で、デザインが好きなら買いかな、というのが試聴した感想。FOSTEXが優秀すぎるだけでコスパが悪いわけではないのだけれど、やや見劣り(聞き劣り?)しました。

 同じく3万円以下のControl Xと、5万円以下のControl X Wireless、ワイヤレスはVGP2年連続受賞なのに生産終了なので、欲しい人はお早めに。JBLは製品のラインによって当たり外れが激しいので、購入の際は慎重さが求められるが、PebblesとControlシリーズは当たりの部類。Controlシリーズはロングセラーなので、大切に育てているんでしょうね。解像度はそれほど高くありませんが、お金をかけた元気な音がします。ザ・オーディオスピーカーという感じ。

 FOSTEXの音が(というかモニターサウンドが)気に入ったけど、もう少し予算はあるのでなんかない?というなら、YAMAHAのMSP5 STUDIO。もちろん音を作り込むにも最適。

MSP5 STUDIOはちょっと高い!って人にはPreSonusのEris E4.5やFLUID AUDIOのF5などいかが?

 

モニターライクだけど、低音はもっと稼ぎたいとかであればiLoud Microなども検討。中田ヤスタカさんもサブで使っています。

ユニークなフォルムとKEFらしい解像度重視の構成が特徴的なスピーカー、音質だけでコスパを考えるとX300AやKS-3HQMの方がおすすめ。しかしX300Aは手に入らないので、KEFが欲しければ OR デザインが好きなら悪くない選択肢。一番「らしい」フロステッドブルーがAmazonに売っていないので、入荷してほしいです。

vgp.phileweb.com

「音のいい部屋」より

はじめに

 去年11月のCasa BRUTUSの特別号、「音のいい部屋」は有名人やミュージシャンのリスニングルームが覗き見られるいい企画でした。巻頭は村上春樹さんとのことで、色んな人の「音楽と私」が聞ける、という意味でも興味深かったです。一口にいい音といっても、色々とあるんですよね。たとえば、村上春樹さんだと、「あまりセンシティブな音よりも、いつも同じような感じで、きちんと丈夫に鳴ってくれるもののほうがいいんです」といった具合に。少し中身をつまみ食いしてみましょう。

つまみ食い

Tokuhiko Kise 

トラックファニチャーの黄瀬さんです。

TRUCK FURNITURE 20th Anniversary

パワーアンプは管球式のA3500、レトロ感のあるデザインがたまりませんね。発売はなんと1972年です。

 

スピーカーはTANNOY村上春樹さんもBerkelyを使っているように、オールドオーディオファンには未だ根強い人気がありますね。タンノイはイギリスメーカー(本社はスコットランド)ですが、KEFやB&Wのような切れ味鋭いHifiサウンドというよりは、オーソドックスないい音(疲れない)を目指しているように思います。

 TOWA TEI

一世を風靡したテイ・トウワさんです。N705iサウンドプロデュースとかが一般人には知られているでしょうか。未来的で実験的なサウンドが心地良いです。 

www.youtube.com

 アンプはフィンランドAmphionのAmp500、スピーカーはTwo15。スピーカーは一度だけ試聴したことがあるのですが、ザ・モニターって感じの音以外にこれといった印象がありません。それだけ自然な音だったということでしょうか・・・。

www.mixwave.co.jp

www.youtube.com

聴き比べのスピーカーはMusikelectronicのGeithain RL906、こんなマニアックなメーカーのスピーカー売ってるわけないと思ったら、Amazonにあったよ、すごいよアマゾネス!誰も買わないと思うけどさぁ・・・。

 あまり日本では知られてないメーカーですが、ドイツ国営放送が採用していることからもわかるように、音質には定評があることで知られています(ガチヲタには)。主力はモニターには珍しいパワードモニターというのも面白い。一度だけ某楽器店でパッシブスピーカーを試聴したことがありますが、同じドイツのELACとは違うベクトルの美しい音が流れていたように記憶しています(あやふやだけど)。

これら超絶高精度モニター2台で音の聴き比べをするとのことで、テイ・トウワさんが作る音の病的な繊細さにも納得です(しかし、写真にある白のRL906はどこで買えるんだろうか・・・)。

Elli-Rose

DJとしてもお馴染み、モデルのエリーローズちゃん。スピーカーは10年は使っているというモニタースピーカーの定番Genelec、こちらもAmphionと同じくフィンランドのメーカーですね。Genelec中田ヤスタカさんが使っていることでも有名です。エリーローズちゃんが使っている型番は8020C、ヤスタカさんは8250aをメインで使っていたと思います。

しかし、さすがというかなんというか、プロユースのモニタースピーカーしか出てこない笑。

 

 Jean Touitou

アー・ペー・セーのデザイナーさんです。

www.apcjp.com

って、うぎゃー。Weltron2005だ!!しかもめっちゃ状態よさそう。これ、なんと「株式会社竜人」という日本メーカーが海外向けに売っていたマルチメディア(当時なのでレコードとか8トラックテープとか)オーディオプレイヤーなんですよね。

どこかのメーカーで復刻してくれないかしら・・・、と思うくらい今でも魅力的なデザインです。

宇宙人をイメージ、70年代に発売されたオーディオ「Weltron 2005」が魅惑的過ぎる件:DDN JAPAN

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動画も貼っておこう。

www.youtube.com

さいごに

とまぁ、オーディオファンなら色々と楽しめる雑誌なので、ぜひご一読をばをば。

ボーナスで買うべきハイコンポ2018

はじめに

今回はピュアオーディオ未満、 ミニコンポ以上をハイコンポとして定義したうえで、ハイコンポについてまとめました。タイトル通り、「ボーナスで音響機器を揃えたいので、適当に見繕ってくれ」と知り合いに頼まれたことから始まった企画です。予算はMAX20万円までとのこと。

ニコンポ企画でも実感していることですし、ネットオーディオの記事にも

かつてハイコンポはCDのプレーヤーとプリメインアンプとスピーカーの三位一体であったが、このころ構成に変化が生じている。これはネットオーディオの進化によるところが大きい。

 と書かれているように、機器の構成はドラスティックに変化しているので、標準的なコンポだけでなく、ピュアオーディオライクなディスクリート構成(プレーヤーとアンプ、スピーカーを別々に選んで組み合わせる)も候補に入れています。

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たたき台にしたのは、家電批評201808の記事『ピュアオーディオ超入門』です。

試聴

視聴環境は友達(上記とは別の知り合いですが)の家のリスニングルームを利用させていただきました(最近新調したので自慢したかったそうです笑)。都心では無理なスペック、羨ましい(^q^)

アンダー10万円

たたき台は、家電批評で推奨されていた組み合わせ:TOPAZ CD10+PM5005+SPEKTOR2

 

 CD再生に特化するなら、TOPAZ CD10は非常に満足度が高いプレーヤーですが、Amazonレビューにもあるように、非常に初期不良が多いので注意。前述したように、最近は再生する音源が多様化しているので、CD以外にもストリーミングなど色々と再生してみたい初心者にはやや不向きな提案です(再生できないことはないですが手間ですし、音質が落ちます)。また、かりにCDの再生だけをしたいのであったとして、素直に同じMarantzのCD-5005と組み合わせたほうがデザインの統一感があるように思います。解像度はややTOPAZ CD10が上ですが、音の総合力でもこちらのほうが収まりがいいです。

解像度を追求したいなら、DENONの755REも定評があるので試聴推奨です。プレーヤー単独の能力では、このクラスで一番優秀だと思います。

プリメインアンプはこの価格帯だと鉄板のPM5005で不満がありません。対抗馬はDENONのPMA-390REになるでしょうか。解像度ではPM5005がかなり上、DENONのほうが量感はありますが、その分音もやや粗いので、よほどのことがない限り、PM5005でよいと思います。

ついでにSONYのSTR-DH190も試聴してみました。U2万円にしてはしっかりとした音を出しているように思いますが、やや中途半端感があるといった印象でした。

さて、単独ではDENONのプレーヤーとMARANTZのアンプが優秀でしたが、強い者同士を組み合わせても必ずしも音質がよくならないところが、音響機器の面白いところです。結論から言えば、今回の組み合わせではDENON/MARANTZよりもDENON/DENONの組み合わせのほうが満足度は高かったです。ハイコンポの優位性である

総合的な設計を施せる・・・相互的なバランスをとることによっても音質を向上させることができる。

が実感できるいい事例だと思うので、こちらも比較試聴推奨です。

  • DCD755RE+PMA390RE(DENON/DENON
  • DCD755RE+PM5005(DENON/MARANTZ)
  • CD5005+PM5005(MARANTZ/MARANTZ)

しかし、初心者向けならそもそもディスクリート構成にしなくてもええじゃないか、ということで、いつものM-CR611。エントリークラスの独立アンプと比べて、ほとんど遜色ない音が、面倒くさい配線無しで手に入り、様々な音源を再生できる能力もあるので、CD再生によほどのこだわりがあるのでもない限り、まずこれを選んでおけば間違いないように思います。

DALIのSPEKTOR2はこのブログでも何度も取り上げている超ハイコスパなスピーカーのシリーズ。SPEKTOR1との違いは、2のほうが一回り大きく、特に低音の量感が一回り大きい点。高音や解像度はほとんど変わらないので、許容できるサイズに合わせて好きな方をセレクトすればよいと思われます。

TOPAZ CD10の高解像度を徹底的に強調したいなら、スピーカー比較試聴(7選)で試聴したONKYO D-112NFXも面白い選択肢です。

また量感はいらない・コンパクトなシステムを組みたい、ということであれば、Q Acoustics 2000iも有力候補です。

 検討した結果
  • M-CR611+SPEKTOR1/SPEKTOR2(お手軽でオススメ)
  • DCD755RE+PMA390RE+SPEKTOR1/SPEKTOR2(音質重視)
  • DCD755RE+PM5005+D-112NFX(解像度追求)
  • TOPAZ CD10+PM5005+SPEKTOR1/SPEKTOR2(家電批評の推奨構成)

 アンダー20万円

たたき台は、家電批評で推奨されていた組み合わせ:CD6006+ZENSOR5AX。先程のプレイヤー+アンプ+スピーカーの構成ではなく、プレイヤー+アクティブスピーカー(アンプ内蔵型、パワードスピーカーとも)の提案

この形のダリのアクティブスピーカー聞くのは何気に初めてでしたが、十分な音質でしたね。先述した「総合的な設計」といった場合、プレーヤーとアンプの相性よりも、アンプとスピーカーの相性のほうが、音質に与える影響は圧倒的に大きいです。したがって、配線的にも音質的にも、アクティブスピーカーというのは合理的な選択肢です(相性を考慮したディスクリートには敵いませんが)。

アクティブにするかどうかはさておき、アンダー20万円くらいまでは、スピーカーに集中投資することをおすすめします。SPEKTORに追加投資して音質の向上を実感したければ、第一候補は以下の記事でも試聴に使ったKEFのQ350です。SPEKTORより高い解像度を実感することができます。

networkaudiolab.hatenablog.com 

 よりキラキラ感を重視したければB&Wの686S2も鉄板の選択肢です。Amazonにはないようですが、Monitor AudioのSilver100/200あたりも比較試聴しておくと、自分の好みがわかると思います。

プレイヤーとアンプは先程のお手軽なM-CR611やDENONセットで大丈夫だと思いますが、グレードアップしたければ、Marantzのミドルクラスセットがいいと思います。しっかりと音質の向上を実感できる組み合わせです。このクラスからはハイコンポと言うのがさすがに憚(はばか)られるので、ピュアオーディオとの境界線になるように思います。

 検討した結果
  • M-CR611+Q350(お手軽でオススメ)
  • M-CR611+686S2(お手軽でオススメ・キラキラ感)
  • CD6006+PM6006+Q350/686S2(音質重視)
  • CD6006+ZENSOR5AX(家電批評の推奨構成)

さいごに

僕の友達はM-CR611+Q350にしたそうです。プレーヤーをPCにするPCオーディオであれば、プレーヤーに投資していたお金をスピーカーとアンプに投資できるので、もう少しリッチな構成も可能です。以前に書いたPCオーディオの記事もいつの間にか4年前なので、そろそろアップデートしようかしらと思いました。ではでは。

スピーカー比較試聴(7選)

はじめに

AV REVIEW 201804/05の「特選スピーカーサウンドガイド」が面白かったです。記事のメインは25~50万円のミドルハイクラススピーカーの紹介でしたが、比較的安価なブックシェルフスピーカーも紹介されていたので、こちらでもスピーカーを加えて試聴してみました。試聴環境は、お手軽にPC出力+IDA-8、対象は20万円以下と5万円以下の2項目です。

20万円以下

KRIPTON KX-0.5

 ベストバイにあがっていたのは、やはりクリプトンのKX-0.5。当ブログが普段取り扱っているスピーカーはせいぜい10万円程度までなので、スピーカー単体で2倍近い値段となるとやや心臓に悪いですが、それだけの価値はあると断言できるスピーカーに仕上がっています。そもそもクリプトンは25~の価格帯の製品が主力なので、クリプトン的には安価なラインになるのが闇深い笑。

何度か繰り返していますが、このサイズのスピーカーは量感を稼ぐためにバスレフ型にすることが一般的で、密閉型を採用する場合は量感をやや犠牲にして解像度を重視する作りになります。その典型がELACというメーカーですが、その牙城に挑んでいるメーカーのひとつがこちらのクリプトン、このサイズでも密閉型のポリシーを貫いています。

密閉型はバスレフと比べ、中低域が精密で微細な描写が可能だが、ユニットの描写能力の高さが、密閉型なのでよくわかる。

対抗馬は当然、ELACのBS263ということになるでしょう。BS263のサイズ:H285×W192×D285mmに対し、KX0.5はH352×W194×D319mmとサイズも同じようなもので、同じ密閉型、価格も同等です。

聴き比べた感想ですが、高音域はELAC、中・低音域は同等だが、緻密さで一歩ELACが上となった程度で、ほぼ互角の戦いになりました。今回はオーディオルームでしっかりとした環境作りをしているので、ELACのポテンシャルが十分に発揮されましたが、ELACは色々と繊細なので、一般的な環境下であれば、鳴らしやすいクリプトンのほうがいい音を出す可能性も低くはないと思います。ELACと真っ向から殴りあえる好敵手の台頭は素直に喜ばしいです。

ちなみに、復活したTechnicsのSB-C700も同一価格帯、同一サイズ336× 220 × 286 mmのスピーカーです(さすがにバスレフ型ですが)。音自体は上記の二台に比べるとあと一歩という印象で、量感はそれなりでしたが、解像度は明らかに物足りないように思いました。密閉型の締まりのある低音を聞いてしまうと、どうしても粗が目立つんですよね。聞き疲れしないいい音で、音像定位はしっかりしていたので、BGMを流すにはいいですが、そのためだけにこの値段はちょっと・・・。

 

HiVi BESTBUY 2017 WINTER

【徹底研究2018冬】クリプトンの小型スピーカー「KX-0.5」を徹底的に聴く。冬のベストバイ選出が納得の肉感的な鳴り | Stereo Sound ONLINE

ASCII.jp:伝統と今が同居した、クールなサウンド「KX-0.5」を聴く (1/3)

クリプトンの密閉型スピーカー「KX-0.5」は、エントリーモデルとは思えない空間表現力だ。音楽に深く集中できるのが魅力 | Stereo Sound ONLINE

クリプトン、シリーズ最小の密閉型スピーカー「KX-0.5」 ー 18.5万円/ペア - PHILE WEB

クリプトン、ペアで20万円を切る小型密閉スピーカー「KX-0.5(Point Five)」 - AV Watch

 

jp.technics.com

5万円以下

ECLIPSE TD307MK2A

タイムドメイン理論に基づく正確無比な音像定位能力に定評のあるECLIPSE、量感は皆無で解像度も高いわけではありませんが、直感的に「いい音」と感じさせる仕様になっています(最近人気の無指向性スピーカーも同じベクトルの製品です)。ペアで5万円以下なので、価格的な安心感もあります。

 ONKYO D-112NFX

 評判の良かったD-412EXを一回り小さく小ぶりにした印象、ハイレゾ音源もしっかり正確に鳴らしており、低音も及第点と相変わらずの優等生です。没個性的ですが空きがないつくりで、コストパフォーマンスの高さが光ります。

 DALI SPEKTOR1

本誌では紹介されていませんでしたが、この価格帯では紹介させざるを得ないでしょう。去年の年末以降、圧倒的なスピードでDALIの代表モデルに登り詰めたSPEKTOR1です。ONKYO D-112NFXと聴き比べると、「スピーカーの音の個性」とは何かがよく分かるので勉強になります。伝統的なDALIの優雅さはそれなりですが、最新のキレキレサウンドを奏でてくれます。

 JVC SX-WD9VNT

ONKYOの没個性とは対象的に、ウッドコーンの個性を全面に押し出したスピーカー。ウッドコーンはどうしてもボヤッとした音に感じてしまっていましたが、SX-WD9VNTはかなり音のクリアネスが高く、想像以上に満足度が高かったです。あー、こういう音を目指していたのね、と納得できるスピーカー。低音に対する独特のアプローチも興味深く、「音の旨味」という表現にも納得です。

【レビュー】JVCの“人工熟成”ウッドコーンスピーカー「SX-WD9VNT/WD7VNT」を聴く - PHILE WEB

2018年上半期オーディオ

はじめに

光陰矢の如しとはよく言ったもので、2018年も気づけばそろそろ折り返し地点ということで、Net Audioのライターズセレクションに触発されて、試聴メモを残しておくことにしました。

 marantz ND8006

ニコンポ記事でも再三触れているとおり、近年の音楽メディアはCDなどの物理メディアから音楽ファイル、特にハイレゾ音源への移行が急速に進んでおり、プレーヤー側も流れに即して急速にCDレスの方向に進んでいます。その典型がネットワークオーディオプレーヤーと呼ばれる商品群で、NASに代表されるサーバー内のファイルを再生する機能に特化しているものや、PC内のファイルを再生する際のDACを兼任するもの(USB-DAC)などが普及しました。その代表格がmarantzのNA-8005です。

これに対して、歴戦のオーディオラバーは、そうは言ってもCD・SACDコレクションを再生したいという希望があるわけで、こうした商品群をCDトランスポート(CDプレーヤー)といいますが、この代表格がmarantzのSA8005でした。

 

さてさて、ここでお気づきのようにどちらも再生しようと思ったら、わざわざ二台買って、さらにそれを重ねておかないといけないということで、

  • 費用
  • 物理スペース
  • 配線

 など、様々な問題が生じてしまいます。だったら、まとめて一台にすればいいじゃん、ということで発売されたのがND8006です(ただしSACDの再生機能はカット)。しかも価格は1台分(実勢価格でも2台買うよりは安い)だけでなく、チップはESS製のES9016K2Mを新たに搭載、操作アプリもHEOSに統合して取り回しがよくなるなど、非常に完成度が高い統合デジタルプレーヤーになっていました。

SACDに対応しないのは、あくまで“このクラス”に限定した場合、SACDに関心を持つ層が少なく、数万円のコスト増をユーザーに強いるよりは、価格を抑えたほうがユーザーメリットがあるという判断からだそうだ。

 marantzとESSの組み合わせは初ということで、どんな音になっているか注目でしたが、蓋を開けてみるとしっかりとESSの潜在能力を引き出せており、不満のない出来映えになっていると思います(USB-DAC)。また、アマゾンミュージックのストリーミング再生もお手軽でした(ぶっちゃけストリーミングだとGoogle Play Musicを使いたいのですが・・・)。

marantzがND8006を発売した背景には、ミニコンポ企画でも紹介したM-CR611の大ヒットが確実にあると思います(あくまでも予想だけど)。こちらはND8006にアンプも乗っかっていて、初心者にお手軽なオールイン製品、スピーカーに繋ぐだけで幸せになれます。一見するとこちらのほうがいい気もしますが、オーディオは基本的に「分けられるものは分けたほうが高音質」というのが鉄則なので、音質的にはやや不利になることは覚えておきましょう。

 

実際のところ、音質を左右するのはスピーカーとアンプなので、プレーヤーは多機能・操作性重視・デザインで選べばいいというのが個人的な意見。こうした評価軸とND8006は非常に相性がいいと思います。

  • オーディオ中級者以上で、ディスクリート構成を試したい(プレーヤーとアンプの組み合わせを追求したい)
  • とくに、M-CR611のユーザーで、より音質の高みを目指したい
  • オーディオ初心者だが、資金に余裕があるので、初めからよりよいシステムを組みたい

人達にはオススメの製品だと思いました。

 

マランツ「ND8006」レビュー。CDからハイレゾまでを忠実再現する新世代Hi-Fiプレーヤー (1/3) - PHILE WEB

ASCII.jp:これさえあれば? CDからハイレゾまで全対応の新プレーヤーほか──マランツ (1/4)

 HPL2 Processor Plugin

僕は音楽を聞く時はスピーカーを使うことが多い。理由としては

  • 音質的に有利
  • ムレ感や締めつけ感が苦手

程度問題こそあれ、ここはヘッドホンやイヤホンの欠点である。しかし、スピーカーを使えない環境で音楽を楽しみたいというニーズがあるのは間違いない。ここで問題となるのが、

多くの楽曲が、スピーカーで鳴らすことを前提に制作されているのも事実で、ヘッドフォンで聴くと制作者の意図通りの音ではない可能性もある。

という点だ。そこで、アコースティックフィールドという会社が

本来スピーカーで鳴らす意図でミックス・マスタリングされた音源をヘッドフォンで聴いても自然に聴こえるようにエンコード

し直す技術を開発した。これがHPL2と呼ばれるもので、以前からヘッドフォン祭参加者の間では知られていた技術だが、これを『無料で公開』したのが、HPL2 Processor Pluginである。

"なぜHPLで聴く音楽は気持ちいいのか?"

それは、音楽音源がスピーカーで気持ちよく聴けるように作られているからです。
HPLは、そのミックスバランスを崩さずにヘッドフォンやイヤホンで実現します。
何かを加えて気持ち良くするエフェクターではありません。
もともと気持ちの良い音をヘッドフォンやイヤホンでも正しく再生する、それだけを目指した変換技術です。​(詳細は本サイトの"ABOUT"をご参照ください)

細かい技術的な部分についてはav.watchの記事がよくまとまっているので参照されたし。ヘッドフォンラバーの諸氏で、まだ試していない人はすぐにお試しあれ。導入はやや面倒くさいが、記事でも触れられているように、フリーソフトのMusicBeeを使えば、完全無料でHPL2を試すことができる。

個人的な感想としては、やや音源のクリアネスが低下し、少し音が遠くなる代わりに、照準がしっかりと定まった音になるという印象を受けた。音像定位がよくなると言ってしまえばそれまでだが、立体音響の体験というのは独特で、好きかどうかにかかわらず一度は体感して欲しい。

 Deezer HiFi

音楽マニア垂涎のロスレス聴き放題サービス、月額1960円。Apple MusicやSpotifyのような圧縮音源聴き放題サービスとは異なり、CDクオリティの聴き放題サービスは国内では初(海外ではすでにTIDAL、Qobuzなどが先行しているが)。普及するまでは1ヶ月間の無料トライアルが利用可能なのは安心ポイント。

普段からハイレゾ音源を聞き慣れている人間からすると、音質に新たな感動こそないが、これが聴き放題でストリーミング再生なのかと妙に感心してしまう。

ある意味、ハイレゾ初心者にオススメのサービスかもしれないが、まともなオーディオ環境なしでハイレゾ音源を再生しても、あまり違いがわからないというジレンマ。ハイレゾ対応器を所有しているが、YoutubeApple Musicでしか音楽を聞いたことがない!なんて人がいればオススメ。

www.deezer.com