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ネットワークオーディオラボ ぶろぐ

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AVアンプ~音楽マニアと映画マニアの求める音の違いについて~

はじめに

ようやくハイレゾブームも一服といった感じでしょうか(僕の仕事もようやく少し減ってきた!)。各社の製品群も一回り、二回りしてきて徐々に使用感がこなれてきた印象です。各社の動向を聞いている感じではもう一巡程度はマニアやアーリーアダプター向けの高価格群で勝負し、今年の後半から来年の前半に比べて中価格帯の製品を予定中とのことです。

そんなこんなで賑わった昨年後半~今年前半のピュアオーディオ界でしたが、その一方で密かに盛り上がっていたのが多機能AVアンプ(AVレシーバー等とも呼ばれる)業界でした。一昔前は10~15万円程度が当たり前だったように記憶していますが、今やボリュームゾーン5万円台!さらに先述したハイレゾブームにより、今期の各社のラインナップはハイレゾ音源の再生にも本格対応してくるなど大幅に機能改善しつつ価格は据え置きという消費者万歳な状態が続いています。

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photo credit: Shiau Kai via photopin cc

 ピュアオーディオとの違い?

盛り上がっていた多機能AVアンプ業界ですが、ピュアオーディオ好きの音楽マニアはあまりこの製品群に興味を示しません。ここで出てくるのがいつものノイズです。音楽マニアが利用するプリメインアンプには、通常AVアンプが搭載している映像信号を処理する部分やその他、音声信号に関係のない機能が搭載されていません。なぜなら、こうした機能は便利ですが各部位の相互干渉によりノイズの原因となるからです。この論理は、DACの解説記事でPCがオーディオに向かないと言う話をしたのと同じものです。

絶対失敗しないPCオーディオ DAC選びのコツとおすすめのDAC(前編) - ネットワークオーディオラボ ぶろぐ

またもう一つの、決定的な違いとして多機能AVアンプは音のエフェクトの巧みさで差別化をしているという点が挙げられます。このブログの読者の方には今更言うまでもないことですが、音楽マニアにとっていい音とは原音に忠実であるということです。なのでエフェクトはどんなものであっても基本的には邪道です。余談ですが、僕は非可逆圧縮音源に対するBBE(音声補正技術)に対しては寛容、と言うか推奨している立場です。例えばYoutubeのような劣化音源を少しでもいい音で聞きたい場合、ピュアオーディオのような高解像度システムはアラが目立ってややもすれば逆効果です。

閑話休題、AVアンプの売れ筋を見ているとYAMAHAのシネマDSP、OKNKYOやPioneerのDolby Atmos(YAMAHAも今年の秋に対応製品を発売するらしいが・・・)といった言葉が目立ちます。これらはざっくり言ってしまうとエフェクターで臨場感を高め、音場を再現する技術です。(ドルビーアトモスは天井スピーカーを使用することで音の立体感を高めたのが特徴です。)音像定位の記事で書いたように、ピュアオーディオもこの音場再現を目指しているという点では同じなのですが、そのアプローチは真逆です。

音像定位って何よ!? - ネットワークオーディオラボ ぶろぐ

音場再現のため

多機能AVアンプが

  • エフェクトで臨場感を演出し、
  • 5.1chや7.1chといった複数のスピーカーで音場を再現しようとする

のに対し、ピュアオーディオのプリメインアンプは

  • 音の精度を高めることで臨場感を再現し、
  • たった2つのスピーカー2ch)で音声を再現しようとする

わけです。目指すべき方向性は同じですが、アプローチ方法が180度違うことが理解できると思います。

音楽と映画

 なぜこのようにアプローチに違いが出たのでしょうか。一因としてあげられるのが主要顧客層の性質の違いです。プリメインアンプを音楽マニアが求めたように、多機能AVアンプを求めたマニアがいました。それが映画マニアです。ホームシアターを楽しみたい映画マニアにとってもっとも重要なのは迫力と臨場感です。作品の性質にもよりますが、映画におけるノイズは音楽マニアが嫌うそれではなく、場合によっては味にもなりうるものです。こうした映画マニアの選好に応じて最適化していった結果、現在のアプローチが次第に形成されていったのではないか、と私は考えています。

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photo credit: erin m via photopin cc

比較

さてさて、それでは早速比較していきましょう。今回はBD(Blu-ray Disc)で映画を楽しむをテーマに音質比較を行っていきます。

BDプレイヤー

まずプレイヤーですが、アンプと同メーカーのものを使うと、例えばPioneerのPQLSみたいな付加機能を利用できるわけですが、それだとそこのメーカーに有利な結果になる可能性が高いので今回は第3社のプレイヤーを使用。ということで、評判のいいアメリカOPPO社のBDP-103DJPを使用しました。

今回はただプレイヤーとして使うだけなので上位機種のBDP-105DJPは見送り、同じく評判のいいMarantzのUD7007は試聴中に謎の不具合が発生したので諦めました。なお、スクリーンは試聴したお店のプロジェクターとスクリーンをお借りしました(聞くの忘れた)。

 スピーカー

今回使用したのはイギリスの名門KEFの5.1chスピーカーシステムE305です。実は今回の試聴メンバーの一人がこのスピーカーを導入したい!と言ったことからこの記事の企画が始まっているという裏事情。お値段・サイズ共に控えめですが、抜群の音像定位能力と低音のパンチ力は圧巻の一言。EISA AWARDを初め様々な賞の受賞歴はだてじゃないですね。デザインも素晴らしく住居が欧米に比べて狭い日本でホームシアターを計画するならば考慮すべき5.1chスピーカーの一つと言っても過言ではありません。インピーダンスは8Ωです。(※今回バーチャルスピーカー系の機能は一切使いませんでした。)

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 From Home Theatre Speakers - E Series - Overview - KEF 日本

AVアンプ

 今回は2014年4月以降に発売され、価格.comで上位にランクされている5万円前後の4機種を比較しました。

  1. YAMAHA RX-V577
  2. ONKYO TX-NR636
  3. SONY STR-DN1050
  4. Pioneer VSA-1124
DAC

映画ではまったく違いが分からなかったのでBDオーディオも試聴・・・してみたもののごめんなさい、ほとんど違いが分かりませんでした。もう少し耳の良い人の比較レビューに期待です。とりあえず僕の環境では音質に違いはないという結論にしておきます。

  1. Burr-Brownの192kHz/24bit対応チップとのことで、おそらく1792A
  2. Burr-Brownの192kHz/24bit対応チップとのことで、こちらもおそらく1792A
  3. 情報なし
  4. ESSのSABRE Premier Audio DAC(ES9006S)
YAMAHA RX-V577

 YAMAHAの誇るシネマDSPはスペクタクルを選択、低音の迫力は今回聞いた機種の中で最高評価、音質も非常によく腹にズシンとくる音が印象的でした。価格とも相まって満足感高いです。

 ONKYO TX-NR636

 どの音も単品で聞くと非常にレベルが高いのだけど、総合的に見ると臨場感に欠ける印象。パワーはあるし音質も高いだけに残念。おそらくこのチグハグ感はソフト面に起因するものだと思われる(信じたい)ので、ファームウェアアップデート次第では化けるかなーと。

 SONY STR-DN1050

軽くて何でも出来て見た目もオシャレで取り回しもナイスで・・・と非常にお利口なアンプさん、いかにもSONYさんです。音の雰囲気的にはYAMAHAに似ていて、少し低音に誤魔化し入ってるかな?といった印象。音のクリアネスを改善したという話をどこかで読んだけど、こちらのほうはよく分からず。SONYファンなら迷わずこの機器買っとけ!程度にはプッシュできるけど、特にSONYにこだわりがないなら積極的にプッシュはしない、そんなアンプです。とかなんとか言ってますが、それは発売直後の現在の価格(52,000)だからの評価、3万円台まで落ちたら迷わず買いじゃないかなと思います。

 Pioneer VSA-1124

やはり気になるのは音場補正機能のAdvanced MCACC、KEFのE305の最大の欠点はスピーカー間の音の連動性に少し不満があるところですが、これをどの程度補ってくれるのかが最大のポイントでした。結論から言えばかなり効果があるなぁ、という感じでした。他の機種で感じた音の細切れ感が解消され、かなり自然に聞こえます。こうした音の連動性は音の立体感→臨場感を感じる上で不可欠な要素なので、映画ファンには嬉しい機能ですね。一つ気になったのは高音、今回の環境では鳴りすぎていて少しうるさく感じました。高音は抑え目のセッティングがオススメかもしれません。

Pioneer AVアンプ VSA-1124

Pioneer AVアンプ VSA-1124

 

 まとめ

はっきり言ってどのAVアンプも平均点以上をクリアしており、映画を楽しむにはなんら不自由しません。今回試聴した友達の「映画を観客として楽しむならYAMAHA、登場人物として楽しむならPioneerかな」という台詞がとても腑に落ちたので、この台詞をパクって〆ておきます。

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