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ネットワークオーディオラボ ぶろぐ

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お年玉で買うべきミニミニコンポ2018

はじめに

例年恒例のミニコンポ比較に併せて、延長線でミニミニコンポ比較を開催しました。ミニコンポ比較企画は年々審査員にプロが増えていっており、全体的にピュアオーディオ寄りの構成になっていました。その結果、適切な金額を投資することで、コスパのいい音質を追求するという本来の趣旨とは整合的である一方、どうしてもシステムが高額化してしまう傾向にあり、初心者向け企画としては少し疑問符がともっていました。

そこで、VGPと同様に(2万円~)4万円以下と4万円~7万円の区分で審査するとともに、今年は初心者ライトユーザー層向け企画として、2万円未満ミニミニコンポの比較を追加で行うことにしました。1年間のウケを考慮しながら(お陰さまで通年で訪問頂いている記事なので)来年の方針を決めたいと思います。

ライトユーザー層の場合、音質はあくまでも評価軸の一つに過ぎず、デザインやサイズとの総合評価になるとは思いますが、こだわらなければPCやスマホで音楽が聞ける時代に追加的に支出するわけですから、音質はいいに越したことがないでしょう。なので、2機種で迷ったとき!などに参考にしてもらえると幸いです(もちろんピュアヲタ層でもサイズやデザインは重要ですが、相対的な重要度は音質が圧倒的に上)。

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 試聴環境

基本的に環境は本編と同様ですが、ハイレゾの代わりにYoutube音源を試聴しています。ピュアオーディオでは原音再生能力が重要ですが、Youtubeのような劣化音源を利用した場合、原音再生能力が高いとノイズが気になります。したがって、機器の補正能力が重要になってきます。一言で言えば、音楽マニアより映画マニアに近いシステム選びの方がハマるということです。この違いを象徴するブランドとしてBoseが挙げられます。ピュア屋からすると補正が利きすぎていて音が人工的に聞こえるので、Boseはあまり好きになれないわけですが、一般ユーザーからすると、補正の結果、いい音!に聞こえることがあるわけです。

ピュアオーディオのレビューを見ていると、「思ったよりも迫力がなかった、コスパ悪い」といった内容を見かけることがありますが、これも同様の理由です。人口調味料でしっかり味付けされた料理を食べ慣れていると、自然食品を味気なく感じることがあります(※人口調味料が悪いとは言っていません。TPOに応じて使い分けることが大事という趣旨です。質があまり良くない肉は強めに味付けたほうが美味しいし、高級な肉はシンプルな味付けの方が美味しいでしょう)。

networkaudiolab.hatenablog.com

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試聴機器

ベンチマークは本編からの刺客、KENWOODのK-505です。量感が若干不足しているものの、全音域に渡って満足度の高い製品。2015年発売で2世代前の製品になるため、非常にコスパが高くなっています。ピュアとは違う評価指標を使っているので、K-505を20点/25と基準化して、各製品の相対評価を行います。

  • (約2万)K-505(KENWOOD)2015

比較するのは以下の選手

  • (約1.2万)X-SMC02(PIONEER)2017
  • (約1.4万)X-CM56(PIONEER)2016
  • (約1.6万)X-U6(ONKYO)2016
  • (約1.6万)SC-HC395(PANASONIC)2016
  • (約1.5万)SC-HC295(PANASONIC)2016
  • (約1.1万)SC-PM250(PANASONIC)2015
  • (約1.7万)CMT-SBT40(SONY)2014

スペック

  • (約2万)K-505(KENWOOD)2015, 25W+25W, バスレフ, 110mmコーン型ウーファー+25mmドーム型ツイーター
  • (約1.2万)X-SMC02(PIONEER), 10W+10W, バスレフ, 80mmコーン型フルレンジ
  • (約1.4万)X-CM56(PIONEER), 15W+15W, バスレフ, 94mmコーン型ウーファー+50mmコーン型ツイーター
  • (約1.6万)X-U6(ONKYO), 15W+15W, バスレフ, 100mmコーン型ウーファー, 20mmバランスドーム型ツイーター
  • (約1.6万)SC-HC395(PANASONIC), 20W+20W, 65mmコーン型フルレンジ, 80mm*2パッシブラジエータ
  • (約1.5万)SC-HC295(PANASONIC), 10W+10W, 80mmコーン型フルレンジ
  • (約1.1万)SC-PM250(PANASONIC), 10W+10W, 100mmコーン型フルレンジ
  • (約1.7万)CMT-SBT40(SONY), 25W+25W, バスレフ, 95mmコーン型ウーファー+57mmドーム型ツイーター

結論

冒頭に書いたように、このクラスの製品を選ばれる方は、音質以外にも機能性やサイズやデザインを考慮して総合判断されると思いますので、こちらはあくまでも音質だけでの評価であることを強調しておきます。同じ点数でも音の味付けは多少異なりますので、試聴は推奨です。結論として、音質だけなら2万円出してK-505のデッドストックを狙うのが明らかに賢いと思いました(記事を出した直後、一時的にシルバーは3万円台に高騰していました)。対抗馬はSONYのCMT-SBT40、とにかく安く抑えたければPANASONICのSC-PM250といったところでしょうか。

  • 20(約2万)K-505(KENWOOD)2015
  • 15(約1.2万)X-SMC02(PIONEER)2017
  • 17(約1.4万)X-CM56(PIONEER)2016
  • 17(約1.6万)X-U6(ONKYO)2016
  • 16(約1.6万)SC-HC395(PANASONIC)2016
  • 16(約1.5万)SC-HC295(PANASONIC)2016
  • 16(約1.1万)SC-PM250(PANASONIC)2015
  • 18(約1.7万)CMT-SBT40(SONY)2014

個別レビュー

 X-SMC02

 一体型コンパクトに属する製品、このクラスの製品のアンプの出力は10W+10W、出ても15W+15W程度なので、そこまでパワフルさはありません。バスレフとあるのはスピーカーの種類です。小型スピーカーはサイズ的に低音が稼げないので、よほどのことがない限りバスレフ型と呼ばれる形状のスピーカーを採用し、低音を増幅させることで低音を稼いでいます(ヘルムホルツ共鳴)。バスレフ型の欠点は、低音を増幅させているがゆえに、音がぼやけて解像度が犠牲になることです。したがって、小型スピーカーで密閉型(これもスピーカーの種類)を採用している製品があれば、低音はきっぱり諦めて解像度を重視していることになります(ELACとかね)。

スピーカーはフルレンジのものとウーファー+ツイーターのものがあると思いますが、基本的に分かれていたほうが音質的には有利だと考えておいて下さい。本製品は中音域以外はこれといって見どころのない評価となっており、解像度・量感ともに物足りませんでした。評価は15/25となりました。

 X-CM56

50mmコーン型ツイーターでやや高音重視の構成、スマホや内蔵スピーカーとの違いは十分に感じられる製品だと思います。このクラスの製品に解像度まで望むのはお門違いというもの。評価は17/25となりました。

 X-U6

劣化版K-505といった感じで、非常にベーシックでやや無個性な音が流れてきます。評価は X-CM56と同じく17/25となりました。真のベンチマークはこの子です。

 SC-HC395

小型スピーカーは低音を稼ぐため、通常バスレフにします、と書きましたが、低音を稼ぐもう一つの方法がパッシブラジエータを使うことです。パッシブ(受動的)という言葉から想像されるように、自身が動くのではなく、動かされることで低音を増幅します。サンワサプライの図解が分かりやすいです。パッシブラジエーターの最大のメリットは解像度の低下を抑制できる点で、ラジエーターを活用した製品が得意なメーカーといえば、冒頭のBoseさんです。

パッシブラジエーターとは - サンワサプライ株式会社

 SC-HC395はフルレンジ+パッシブラジエーターの構成で、アンプが25W+25W。パナ製品ラインの中では若干異質な構成で、実験要素も入っている気がします。次世代に期待ということで、点数は16/25でした。

 SC-HC295

 X-SMC02と同じく10W+10W+80mmフルレンジの構成、やや解像度で稼いだ結果、 SC-HC395と同じ16/25となりました。

 SC-PM250

 上位機種が軒並み高評価高コスパなので、250にも期待が集まります。10W+10W+100mmフルレンジで、全音域、解像度など特に目を見張る点はありませんでした。点数はまたしても16/25となりました。残念ながら、上位機種のように音質が素晴らしいのに安い!という結果にはなりませんでしたが、実勢価格的にコスパは悪くないと思います。

 CMT-SBT40

 25W+25W+95mm+57mmとスペックは豪華だし高音は綺麗に出ているけど、K-505と比べると音像定位など細かいところに差が。評価は18/25となりました。いい製品ですね。