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ネットワークオーディオラボ ぶろぐ

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2018年上半期オーディオ

はじめに

光陰矢の如しとはよく言ったもので、2018年も気づけばそろそろ折り返し地点ということで、Net Audioのライターズセレクションに触発されて、試聴メモを残しておくことにしました。

 marantz ND8006

ニコンポ記事でも再三触れているとおり、近年の音楽メディアはCDなどの物理メディアから音楽ファイル、特にハイレゾ音源への移行が急速に進んでおり、プレーヤー側も流れに即して急速にCDレスの方向に進んでいます。その典型がネットワークオーディオプレーヤーと呼ばれる商品群で、NASに代表されるサーバー内のファイルを再生する機能に特化しているものや、PC内のファイルを再生する際のDACを兼任するもの(USB-DAC)などが普及しました。その代表格がmarantzのNA-8005です。

これに対して、歴戦のオーディオラバーは、そうは言ってもCD・SACDコレクションを再生したいという希望があるわけで、こうした商品群をCDトランスポート(CDプレーヤー)といいますが、この代表格がmarantzのSA8005でした。

 

さてさて、ここでお気づきのようにどちらも再生しようと思ったら、わざわざ二台買って、さらにそれを重ねておかないといけないということで、

  • 費用
  • 物理スペース
  • 配線

 など、様々な問題が生じてしまいます。だったら、まとめて一台にすればいいじゃん、ということで発売されたのがND8006です(ただしSACDの再生機能はカット)。しかも価格は1台分(実勢価格でも2台買うよりは安い)だけでなく、チップはESS製のES9016K2Mを新たに搭載、操作アプリもHEOSに統合して取り回しがよくなるなど、非常に完成度が高い統合デジタルプレーヤーになっていました。

SACDに対応しないのは、あくまで“このクラス”に限定した場合、SACDに関心を持つ層が少なく、数万円のコスト増をユーザーに強いるよりは、価格を抑えたほうがユーザーメリットがあるという判断からだそうだ。

 marantzとESSの組み合わせは初ということで、どんな音になっているか注目でしたが、蓋を開けてみるとしっかりとESSの潜在能力を引き出せており、不満のない出来映えになっていると思います(USB-DAC)。また、アマゾンミュージックのストリーミング再生もお手軽でした(ぶっちゃけストリーミングだとGoogle Play Musicを使いたいのですが・・・)。

marantzがND8006を発売した背景には、ミニコンポ企画でも紹介したM-CR611の大ヒットが確実にあると思います(あくまでも予想だけど)。こちらはND8006にアンプも乗っかっていて、初心者にお手軽なオールイン製品、スピーカーに繋ぐだけで幸せになれます。一見するとこちらのほうがいい気もしますが、オーディオは基本的に「分けられるものは分けたほうが高音質」というのが鉄則なので、音質的にはやや不利になることは覚えておきましょう。

 

実際のところ、音質を左右するのはスピーカーとアンプなので、プレーヤーは多機能・操作性重視・デザインで選べばいいというのが個人的な意見。こうした評価軸とND8006は非常に相性がいいと思います。

  • オーディオ中級者以上で、ディスクリート構成を試したい(プレーヤーとアンプの組み合わせを追求したい)
  • とくに、M-CR611のユーザーで、より音質の高みを目指したい
  • オーディオ初心者だが、資金に余裕があるので、初めからよりよいシステムを組みたい

人達にはオススメの製品だと思いました。

 

マランツ「ND8006」レビュー。CDからハイレゾまでを忠実再現する新世代Hi-Fiプレーヤー (1/3) - PHILE WEB

ASCII.jp:これさえあれば? CDからハイレゾまで全対応の新プレーヤーほか──マランツ (1/4)

 HPL2 Processor Plugin

僕は音楽を聞く時はスピーカーを使うことが多い。理由としては

  • 音質的に有利
  • ムレ感や締めつけ感が苦手

程度問題こそあれ、ここはヘッドホンやイヤホンの欠点である。しかし、スピーカーを使えない環境で音楽を楽しみたいというニーズがあるのは間違いない。ここで問題となるのが、

多くの楽曲が、スピーカーで鳴らすことを前提に制作されているのも事実で、ヘッドフォンで聴くと制作者の意図通りの音ではない可能性もある。

という点だ。そこで、アコースティックフィールドという会社が

本来スピーカーで鳴らす意図でミックス・マスタリングされた音源をヘッドフォンで聴いても自然に聴こえるようにエンコード

し直す技術を開発した。これがHPL2と呼ばれるもので、以前からヘッドフォン祭参加者の間では知られていた技術だが、これを『無料で公開』したのが、HPL2 Processor Pluginである。

"なぜHPLで聴く音楽は気持ちいいのか?"

それは、音楽音源がスピーカーで気持ちよく聴けるように作られているからです。
HPLは、そのミックスバランスを崩さずにヘッドフォンやイヤホンで実現します。
何かを加えて気持ち良くするエフェクターではありません。
もともと気持ちの良い音をヘッドフォンやイヤホンでも正しく再生する、それだけを目指した変換技術です。​(詳細は本サイトの"ABOUT"をご参照ください)

細かい技術的な部分についてはav.watchの記事がよくまとまっているので参照されたし。ヘッドフォンラバーの諸氏で、まだ試していない人はすぐにお試しあれ。導入はやや面倒くさいが、記事でも触れられているように、フリーソフトのMusicBeeを使えば、完全無料でHPL2を試すことができる。

個人的な感想としては、やや音源のクリアネスが低下し、少し音が遠くなる代わりに、照準がしっかりと定まった音になるという印象を受けた。音像定位がよくなると言ってしまえばそれまでだが、立体音響の体験というのは独特で、好きかどうかにかかわらず一度は体感して欲しい。

 Deezer HiFi

音楽マニア垂涎のロスレス聴き放題サービス、月額1960円。Apple MusicやSpotifyのような圧縮音源聴き放題サービスとは異なり、CDクオリティの聴き放題サービスは国内では初(海外ではすでにTIDAL、Qobuzなどが先行しているが)。普及するまでは1ヶ月間の無料トライアルが利用可能なのは安心ポイント。

普段からハイレゾ音源を聞き慣れている人間からすると、音質に新たな感動こそないが、これが聴き放題でストリーミング再生なのかと妙に感心してしまう。

ある意味、ハイレゾ初心者にオススメのサービスかもしれないが、まともなオーディオ環境なしでハイレゾ音源を再生しても、あまり違いがわからないというジレンマ。ハイレゾ対応器を所有しているが、YoutubeApple Musicでしか音楽を聞いたことがない!なんて人がいればオススメ。

www.deezer.com