予算10万円PCオーディオベストバイ2018
はじめに
台風で仕事ができないので、この機会に書きたかった10万以内ベストバイを書いてみることにしました。ハイコンポ~の記事を掘り下げようとする→philewebで予算10万円~の記事が出る→読んでみたら不完全燃焼という流れで、まとめておきたい記事でした。
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PCオーディオ
10年くらい前であればラジカセやコンポ(ミニコンポ)が主流だったかもしれませんが、現在もっとも主流なオーディオの構成は間違いなくPCオーディオです。PCが一般化し、インテリアの中心になったことで、状況は一変しました。PCオーディオについていえば、以前はCDドライブ付きのPCが多かったですが、ノートPCの薄型とともにCDドライブなしのモデルが増えてきたので、オーディオ再生環境としては、CD再生用機器(CDトランスポートと呼ばれたりします)を別に揃えるケースも増えてきました。
PCオーディオの標準構成は以下のとおりです。
- PC(音源再生)→PC(デジタル・アナログ変換)→パッシブスピーカー(出力)
※PCにCDドライブが無い&CDを再生したい場合は、PC+外付けDVDドライブやCDトランスポート(音源再生)になります。
ただし、この構成ではPCノイズがデジタル音源をアナログの音声に変換する過程で音声にのってきてしまうのでよくありません。そこで、DACという機械を使います。
- PC(音源再生)→DAC(デジタル・アナログ変換)→パッシブスピーカー(出力)
また、このままではスピーカーを鳴らすのにパワーが不十分なケースがあります。そこで電力を増幅してくれる装置であるアンプ(パワーアンプ・メインアンプ)を追加します。ここには電圧増幅・音量調整の装置であるプリアンプの機能が追加されたプリメインアンプを使うことがより一般的です(初心者はとくに)。
- PC(音源再生)→DAC(デジタル・アナログ変換)→パワーアンプ(増幅)→パッシブスピーカー(出力)
- PC(音源再生)→DAC(デジタル・アナログ変換)→プリメインアンプ(増幅)→パッシブスピーカー(出力)
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このバリエーションとして、DAC搭載プリメインアンプを利用する場合や、プリメインアンプを搭載したパワードスピーカー(アクティブスピーカー)を利用する場合、さらにDAC搭載プリメインアンプを搭載したパワードスピーカーを利用する場合があります。近年は、すっきりとしたインテリアが好まれるので、パワードスピーカーの躍進が目立っています。今回はここに焦点を当てましょう。
- PC(音源再生)→DAC搭載プリメインアンプ(デジタル・アナログ変換・増幅)→パッシブスピーカー(出力)
- PC(音源再生)→DAC(デジタル・アナログ変換)→パワードスピーカー(増幅・出力)
- PC(音源再生)→DAC搭載パワードスピーカー(デジタル・アナログ変換・増幅・出力)
お金をかける順番は、基本的に音の出口に近い方からで、一般にスピーカーがもっとも重要になります。
1点突破
【DAC搭載パワードスピーカー(厳密には違いますが、このカテゴリで)】
KRIPTONのパワードスピーカーであるKS-3HQMを単独で使うのが第一案です。一発目からいきなり特殊なスピーカーで申し訳ないですが、こちらはデジタルアンプを積んでおり、アンプがDACの役割も果たしてくれるスピーカーです(実際にはもう少し複雑ですが・・・)。デジタルアンプは一昔前までスカスカな音が出ていたので悪いイメージを持っている人も少なくないですが、最新のデジタルアンプは大音量を出さない限り、アナログアンプと同等かそれ以上の能力を発揮します。
デスクトップで使う(ニアフィールド)、音の精度や稠密性(ハイレゾなど)を重視するといったここ数年流行しているスタイルでは最高レベルの選択肢になります。こだわりの音作り!みたいなことに興味がなければ、おすすめの選択肢です。
ruarkaudioのR2Mk3を使うのが第二案です。Bluetoothも利用可能ですが、音質重視の場合は、必ずWifiでPCと接続してください。伸びやかな音が特長のモダンブリティッシュサウンドを堪能できます。
対抗馬はREVOになるでしょうか。音精度はやや甘めに感じますが、パワーはしっかりとしています。
こちらも予算オーバーですが、Dali Zensor 1AXは完成度の高いDAC搭載のパワードスピーカーです。今回はこの子をベンチマークにしています(予算20万円ならELACのAM200、予算30万円ならKEFのLS50にすると思います)。
ヤマハのNX-N500は予算内で全部入りのパワードスピーカー。やや低音に締まりがないことを除けば、解像度は申し分なく、非常にコスパに優れたスピーカーだと思いました。サイズが許す・音質重視なら、検討すべき一機です。
バランス重視
せっかくオーディオに興味を持ったんだから色々と組み合わせてみたい、さすがにスピーカー一本に10万近く投資するのは怖いなんて人は、もう少しバランスを重視した構成にしてみましょう。
KEFのQ350はやや予算オーバーなので、ここではDALIのZENSOR3をチョイス。 ZENSORは後継のOBERONが発表されたので、今後はバーゲンプライス&在庫減が予想されます。後継のOBERONは低域が強化されていますが、現在の価格差(3万円~)ほど質に違いはありませんので、当面はZENSORでいいと思います。
【追記】同価格帯ではELACのDEBUT B5/B6も有力候補ですが、ELACらしい高音のヌケ感がなく、迫力にかけます。第2世代のB5.2はまだ試聴できていないのですが、進化の度合い次第ではランクインもありえます。
高解像度重視なら、いつものSPEKTOR2。よりコンパクトな構成にしたければ、いつものSPEKTOR1も鉄板構成です。
次に(DAC搭載)プリメインアンプです。無難に攻めるならmarantzのPM6006がいいでしょう。ほぼどんなスピーカーでもしっかり鳴らしてくれるだけのパワーがあり、音像定位にも優れます。DACチップは一昔前の高級機でよく採用されていたシーラスロジックの「CS4398」(marantzのベストセラーDACであるHD-DAC1にも採用されていたチップです)で、DACの性能も十分です。
もう少し安く抑えたい場合は、PM5005やPMA390REもありですが、どちらもDACが載っていないので、結局DACを外付けする必要があります。
これらの定番ラインナップの有力な対抗馬となるのが、名門Cambridge AudioのTOPAZです。AM5は潔くヘッドホン出力まで削った結果、2万円を切る圧倒的なコスパを誇っています。一時期問題になった初期不良が減ってきた点もプラス要因。TOPAZは対になるCDトランスポートCD5/CD10にDACが載っているので、AMにはDACが載っていません。ただ、個人的にはPM6006のようにDAC搭載プリメインアンプTOPAZ AM15も出しておいてくれると、初心者に勧めやすいです。
ESSのDACチップ+AM10の組み合わせであれば10万円~クラスの音が出るので、解像度を追求したければ、悪くない選択肢です。
DAC
エントリーモデルのプリメインアンプを買った場合は、DACも買う必要があります(オーディオマニアは、敢えてDAC非搭載のプリメインアンプやパワーアンプを買い、DACも自分で選ぶことで自分の好きな音を追求します。これをディスクリート(分離)構成といいますが、初心者的には億劫だと思うので、あえてネガティブな書き方をしておきます)。
生半可な組み合わせではPM6006の音質を超えられないのですが、大正義Chordはさすがに予算オーバー
そこでまずは定番のiFiからiFi nano iDSD LE(Bluetoothに対応させたければiOne)。対応フォーマットが多く、DACチップは王道のBurr-Brownで不満なし。特に今回提案した中ではDENONとの相性がよかったです。
しかしなにか物足りない、もっと限界まで解像度を追求したいんだ!そんなあなたにおすすめなのが、これも鉄板のDragonFly Red(RedはES9016K2M、BlackはES9010K2MのDACチップ搭載。9010はヤマハのNX-N500が積んでいるDACで9016はその一つ上のグレードです)!!試聴した結果、CAのTOPAZの輝きが三段くらい増しました。特殊能力ノビ○とキレ○が付いたくらいのレベルアップ(パワプロ)。やっぱりパーツを組み合わせていろんな音を作れるのは、分離(ディスクリート)構成の特権ですね。見た目はかなり野暮ったくなりますが、音の透明感は素晴らしいです。余談ですが、見た目という意味でNuPrimeにはuDSDの後継機をES9016K2Mで作って欲しいです。
まとめ
予算10万円でPCオーディオを僕が組むなら、
- KS-3HQM(音が小さくていいなら)
- NX-N500(大きな音も出すなら)
- ZENSOR3+PM6006
- 【解像度マシマシ構成】SPEKTOR2+AM10+Dragon Fly Red
ってな感じでしょうか。海外だとKEFのLSXは10万円くらいの価格帯なので、実勢価格が落ちてきたら、こちらも検討するべきです。ではまた(^^)ノ
VGP2018スピーカー編
はじめに
今年も恒例のVGP2018が発表されましたね。やや商業的なバイアスを感じることもありますが、製品を知るには網羅的でいいアワードだと思います。それでは中身を確認していきましょう。
Photo by Bryan Papazov on Unsplash
スピーカー
ペア10万円以上の金賞は順当にクリプトンのKX-0.5、ELACのBS263のほうが個人的には評価高いですが、新製品有利なアワードなので仕方ないですかね(受賞すらしていないのは謎だけど)。
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ペア10万円未満の金賞はKEFのQ350、本ブログでも何度も出てきている解像度に優れた銘器です。他のインテリアやアンプの色との相性もありますが、ウォルナットの見た目がなかなか上品です。
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DALIのSPEKTOR1も貫禄の受賞です。低音の量感を稼ぎたいのであれば&サイズが許せるなら、SPEKTOR2も候補に入ります。
REVELのM16もランクインしてますね(Amazonではなぜかスタンドのみ売っていました)。マークレビンソンの姉妹ブランドだそうですが、少なくともCONCERTA2が目指す音は解像度を犠牲にして量感を稼ぐという、マークレビンソンとは真逆の音を追求する方向性の製品に感じました。上位のPERFORMA3はバランスよく鳴っていたので、M16を含めたCONCERTA2はホームシアター向けと考えたほうがいいように思いました。結論として、このスピーカーが受賞するのは謎です(低音好きな人は好きでしょうけど)。
「音のいい部屋」で少し言及したTANNOYのMERCURY 7.1 も受賞(Amazonは7.2)。解像度を重視した最近の構成ではないので、最先端の音に慣れているとやや物足りないですが、素性のいいしっかりとした音を楽しめます。BGMなどは解像度が高すぎないほうがいいので、こういうアプローチのスピーカーは大いにありです。
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スピーカー比較試聴に登場したECLIPSEのTD307MK2A、JVCのSX-WD9VNTも受賞。SX-WD9VNTはTANNOYと同じく、解像度を重視しすぎないしっかりした音で納得ですが、TD307MK2Aはやや変化球なので、受賞に相応しいかと問われると疑問に感じます。
アクティブ(パワード)スピーカー
完成度が高すぎて2013年から覇権を握り続けているクリプトンのKS-3HQM、僕も大昔の記事で言及していました。10万円以下でこのサイズであれば、はっきり一択だと思います。KEFのX300A(Wireless)は有力な対抗馬でしたが、今はほとんど見かけません。上位機であるKEFのLS50 Wirelessは圧倒的に音質が上ですが、値段も3倍くらいしますし、そもそもサイズが違います。
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ただ、そもそもコンパクトなアクティブスピーカーを探している人は、いくらいい音だからといって10万円も出す気にはならないでしょう(ましてや20万円超えだなんてとんでもない!)。そこで、もう少し一般人向けの価格帯でアクティブスピーカーをまとめたのが上記の「ハイレゾ初心者~」の記事です。ただやたらと古くなってしまったので、少しアップデートしておきましょう。
まず1万円以下、2013年に以下の記事を書いているので、新製品を楽しみにしていましたが、メーカーからしても薄利でしかない価格帯に積極的に新製品が大量投入されるわけもなく、結局ほとんど顔ぶれは変わりませんでした。
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ヤマハのNX-50、低音・高音にそれなりの味付けがされているのでピュア派にはやや不満ですが、正当な味付けなので、大多数の人にとってはいい音が流れてくるいいスピーカーだと思います。傑作とまでは思いませんけど、悪くないスピーカーです。古い製品なので価格的にも有利です。
対抗馬は過去に絶賛したPebbles、見た目とは裏腹にモニターライクでしっかりとした音です
そしてFOSTEXのPM0.3の後継機PM0.3H、変な味付けのない正統派のモニターサウンドをこの価格とサイズで実現してくれるのは相変わらず素晴らしいことですね。ボリュームコントローラーという名のDACをセットするのがおすすめ構成です。
次に3万円以下、VGP受賞のTW-S9Wは一世を風靡したOlasonicのタマゴ型スピーカーの最新機種ですかね。96kHz/24bitまでのハイレゾに対応など、しっかりとアップデートしてきています。FOSTEX(DAC外付けなし)よりも解像度が欲しくて、低音は不要で、デザインが好きなら買いかな、というのが試聴した感想。FOSTEXが優秀すぎるだけでコスパが悪いわけではないのだけれど、やや見劣り(聞き劣り?)しました。
同じく3万円以下のControl Xと、5万円以下のControl X Wireless、ワイヤレスはVGP2年連続受賞なのに生産終了なので、欲しい人はお早めに。JBLは製品のラインによって当たり外れが激しいので、購入の際は慎重さが求められるが、PebblesとControlシリーズは当たりの部類。Controlシリーズはロングセラーなので、大切に育てているんでしょうね。解像度はそれほど高くありませんが、お金をかけた元気な音がします。ザ・オーディオスピーカーという感じ。
FOSTEXの音が(というかモニターサウンドが)気に入ったけど、もう少し予算はあるのでなんかない?というなら、YAMAHAのMSP5 STUDIO。もちろん音を作り込むにも最適。
MSP5 STUDIOはちょっと高い!って人にはPreSonusのEris E4.5やFLUID AUDIOのF5などいかが?
モニターライクだけど、低音はもっと稼ぎたいとかであればiLoud Microなども検討。中田ヤスタカさんもサブで使っています。
ユニークなフォルムとKEFらしい解像度重視の構成が特徴的なスピーカー、音質だけでコスパを考えるとX300AやKS-3HQMの方がおすすめ。しかしX300Aは手に入らないので、KEFが欲しければ OR デザインが好きなら悪くない選択肢。一番「らしい」フロステッドブルーがAmazonに売っていないので、入荷してほしいです。
「音のいい部屋」より
はじめに
去年11月のCasa BRUTUSの特別号、「音のいい部屋」は有名人やミュージシャンのリスニングルームが覗き見られるいい企画でした。巻頭は村上春樹さんとのことで、色んな人の「音楽と私」が聞ける、という意味でも興味深かったです。一口にいい音といっても、色々とあるんですよね。たとえば、村上春樹さんだと、「あまりセンシティブな音よりも、いつも同じような感じで、きちんと丈夫に鳴ってくれるもののほうがいいんです」といった具合に。少し中身をつまみ食いしてみましょう。
つまみ食い
Tokuhiko Kise
トラックファニチャーの黄瀬さんです。
TRUCK FURNITURE 20th Anniversary
パワーアンプは管球式のA3500、レトロ感のあるデザインがたまりませんね。発売はなんと1972年です。
スピーカーはTANNOY、村上春樹さんもBerkelyを使っているように、オールドオーディオファンには未だ根強い人気がありますね。タンノイはイギリスメーカー(本社はスコットランド)ですが、KEFやB&Wのような切れ味鋭いHifiサウンドというよりは、オーソドックスないい音(疲れない)を目指しているように思います。
TOWA TEI
一世を風靡したテイ・トウワさんです。N705iのサウンドプロデュースとかが一般人には知られているでしょうか。未来的で実験的なサウンドが心地良いです。
アンプはフィンランドAmphionのAmp500、スピーカーはTwo15。スピーカーは一度だけ試聴したことがあるのですが、ザ・モニターって感じの音以外にこれといった印象がありません。それだけ自然な音だったということでしょうか・・・。
聴き比べのスピーカーはMusikelectronicのGeithain RL906、こんなマニアックなメーカーのスピーカー売ってるわけないと思ったら、Amazonにあったよ、すごいよアマゾネス!誰も買わないと思うけどさぁ・・・。
あまり日本では知られてないメーカーですが、ドイツ国営放送が採用していることからもわかるように、音質には定評があることで知られています(ガチヲタには)。主力はモニターには珍しいパワードモニターというのも面白い。一度だけ某楽器店でパッシブスピーカーを試聴したことがありますが、同じドイツのELACとは違うベクトルの美しい音が流れていたように記憶しています(あやふやだけど)。
これら超絶高精度モニター2台で音の聴き比べをするとのことで、テイ・トウワさんが作る音の病的な繊細さにも納得です(しかし、写真にある白のRL906はどこで買えるんだろうか・・・)。
Elli-Rose
DJとしてもお馴染み、モデルのエリーローズちゃん。スピーカーは10年は使っているというモニタースピーカーの定番Genelec、こちらもAmphionと同じくフィンランドのメーカーですね。Genelecは中田ヤスタカさんが使っていることでも有名です。エリーローズちゃんが使っている型番は8020C、ヤスタカさんは8250aをメインで使っていたと思います。
しかし、さすがというかなんというか、プロユースのモニタースピーカーしか出てこない笑。
Jean Touitou
アー・ペー・セーのデザイナーさんです。
って、うぎゃー。Weltron2005だ!!しかもめっちゃ状態よさそう。これ、なんと「株式会社竜人」という日本メーカーが海外向けに売っていたマルチメディア(当時なのでレコードとか8トラックテープとか)オーディオプレイヤーなんですよね。
どこかのメーカーで復刻してくれないかしら・・・、と思うくらい今でも魅力的なデザインです。
宇宙人をイメージ、70年代に発売されたオーディオ「Weltron 2005」が魅惑的過ぎる件:DDN JAPAN
動画も貼っておこう。
さいごに
とまぁ、オーディオファンなら色々と楽しめる雑誌なので、ぜひご一読をばをば。
ボーナスで買うべきハイコンポ2018
はじめに
今回はピュアオーディオ未満、 ミニコンポ以上をハイコンポとして定義したうえで、ハイコンポについてまとめました。タイトル通り、「ボーナスで音響機器を揃えたいので、適当に見繕ってくれ」と知り合いに頼まれたことから始まった企画です。予算はMAX20万円までとのこと。
ミニコンポ企画でも実感していることですし、ネットオーディオの記事にも
かつてハイコンポはCDのプレーヤーとプリメインアンプとスピーカーの三位一体であったが、このころ構成に変化が生じている。これはネットオーディオの進化によるところが大きい。
と書かれているように、機器の構成はドラスティックに変化しているので、標準的なコンポだけでなく、ピュアオーディオライクなディスクリート構成(プレーヤーとアンプ、スピーカーを別々に選んで組み合わせる)も候補に入れています。
たたき台にしたのは、家電批評201808の記事『ピュアオーディオ超入門』です。
試聴
視聴環境は友達(上記とは別の知り合いですが)の家のリスニングルームを利用させていただきました(最近新調したので自慢したかったそうです笑)。都心では無理なスペック、羨ましい(^q^)
アンダー10万円
たたき台は、家電批評で推奨されていた組み合わせ:TOPAZ CD10+PM5005+SPEKTOR2
CD再生に特化するなら、TOPAZ CD10は非常に満足度が高いプレーヤーですが、Amazonレビューにもあるように、非常に初期不良が多いので注意。前述したように、最近は再生する音源が多様化しているので、CD以外にもストリーミングなど色々と再生してみたい初心者にはやや不向きな提案です(再生できないことはないですが手間ですし、音質が落ちます)。また、かりにCDの再生だけをしたいのであったとして、素直に同じMarantzのCD-5005と組み合わせたほうがデザインの統一感があるように思います。解像度はややTOPAZ CD10が上ですが、音の総合力でもこちらのほうが収まりがいいです。
解像度を追求したいなら、DENONの755REも定評があるので試聴推奨です。プレーヤー単独の能力では、このクラスで一番優秀だと思います。
プリメインアンプはこの価格帯だと鉄板のPM5005で不満がありません。対抗馬はDENONのPMA-390REになるでしょうか。解像度ではPM5005がかなり上、DENONのほうが量感はありますが、その分音もやや粗いので、よほどのことがない限り、PM5005でよいと思います。
ついでにSONYのSTR-DH190も試聴してみました。U2万円にしてはしっかりとした音を出しているように思いますが、やや中途半端感があるといった印象でした。
さて、単独ではDENONのプレーヤーとMARANTZのアンプが優秀でしたが、強い者同士を組み合わせても必ずしも音質がよくならないところが、音響機器の面白いところです。結論から言えば、今回の組み合わせではDENON/MARANTZよりもDENON/DENONの組み合わせのほうが満足度は高かったです。ハイコンポの優位性である
総合的な設計を施せる・・・相互的なバランスをとることによっても音質を向上させることができる。
が実感できるいい事例だと思うので、こちらも比較試聴推奨です。
しかし、初心者向けならそもそもディスクリート構成にしなくてもええじゃないか、ということで、いつものM-CR611。エントリークラスの独立アンプと比べて、ほとんど遜色ない音が、面倒くさい配線無しで手に入り、様々な音源を再生できる能力もあるので、CD再生によほどのこだわりがあるのでもない限り、まずこれを選んでおけば間違いないように思います。
DALIのSPEKTOR2はこのブログでも何度も取り上げている超ハイコスパなスピーカーのシリーズ。SPEKTOR1との違いは、2のほうが一回り大きく、特に低音の量感が一回り大きい点。高音や解像度はほとんど変わらないので、許容できるサイズに合わせて好きな方をセレクトすればよいと思われます。
TOPAZ CD10の高解像度を徹底的に強調したいなら、スピーカー比較試聴(7選)で試聴したONKYO D-112NFXも面白い選択肢です。
また量感はいらない・コンパクトなシステムを組みたい、ということであれば、Q Acoustics 2000iも有力候補です。
検討した結果
- M-CR611+SPEKTOR1/SPEKTOR2(お手軽でオススメ)
- DCD755RE+PMA390RE+SPEKTOR1/SPEKTOR2(音質重視)
- DCD755RE+PM5005+D-112NFX(解像度追求)
- TOPAZ CD10+PM5005+SPEKTOR1/SPEKTOR2(家電批評の推奨構成)
アンダー20万円
たたき台は、家電批評で推奨されていた組み合わせ:CD6006+ZENSOR5AX。先程のプレイヤー+アンプ+スピーカーの構成ではなく、プレイヤー+アクティブスピーカー(アンプ内蔵型、パワードスピーカーとも)の提案
この形のダリのアクティブスピーカー聞くのは何気に初めてでしたが、十分な音質でしたね。先述した「総合的な設計」といった場合、プレーヤーとアンプの相性よりも、アンプとスピーカーの相性のほうが、音質に与える影響は圧倒的に大きいです。したがって、配線的にも音質的にも、アクティブスピーカーというのは合理的な選択肢です(相性を考慮したディスクリートには敵いませんが)。
アクティブにするかどうかはさておき、アンダー20万円くらいまでは、スピーカーに集中投資することをおすすめします。SPEKTORに追加投資して音質の向上を実感したければ、第一候補は以下の記事でも試聴に使ったKEFのQ350です。SPEKTORより高い解像度を実感することができます。
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よりキラキラ感を重視したければB&Wの686S2も鉄板の選択肢です。Amazonにはないようですが、Monitor AudioのSilver100/200あたりも比較試聴しておくと、自分の好みがわかると思います。
プレイヤーとアンプは先程のお手軽なM-CR611やDENONセットで大丈夫だと思いますが、グレードアップしたければ、Marantzのミドルクラスセットがいいと思います。しっかりと音質の向上を実感できる組み合わせです。このクラスからはハイコンポと言うのがさすがに憚(はばか)られるので、ピュアオーディオとの境界線になるように思います。
検討した結果
- M-CR611+Q350(お手軽でオススメ)
- M-CR611+686S2(お手軽でオススメ・キラキラ感)
- CD6006+PM6006+Q350/686S2(音質重視)
- CD6006+ZENSOR5AX(家電批評の推奨構成)
さいごに
僕の友達はM-CR611+Q350にしたそうです。プレーヤーをPCにするPCオーディオであれば、プレーヤーに投資していたお金をスピーカーとアンプに投資できるので、もう少しリッチな構成も可能です。以前に書いたPCオーディオの記事もいつの間にか4年前なので、そろそろアップデートしようかしらと思いました。ではでは。
スピーカー比較試聴(7選)
はじめに
AV REVIEW 201804/05の「特選スピーカーサウンドガイド」が面白かったです。記事のメインは25~50万円のミドルハイクラススピーカーの紹介でしたが、比較的安価なブックシェルフスピーカーも紹介されていたので、こちらでもスピーカーを加えて試聴してみました。試聴環境は、お手軽にPC出力+IDA-8、対象は20万円以下と5万円以下の2項目です。
20万円以下
KRIPTON KX-0.5
ベストバイにあがっていたのは、やはりクリプトンのKX-0.5。当ブログが普段取り扱っているスピーカーはせいぜい10万円程度までなので、スピーカー単体で2倍近い値段となるとやや心臓に悪いですが、それだけの価値はあると断言できるスピーカーに仕上がっています。そもそもクリプトンは25~の価格帯の製品が主力なので、クリプトン的には安価なラインになるのが闇深い笑。
何度か繰り返していますが、このサイズのスピーカーは量感を稼ぐためにバスレフ型にすることが一般的で、密閉型を採用する場合は量感をやや犠牲にして解像度を重視する作りになります。その典型がELACというメーカーですが、その牙城に挑んでいるメーカーのひとつがこちらのクリプトン、このサイズでも密閉型のポリシーを貫いています。
密閉型はバスレフと比べ、中低域が精密で微細な描写が可能だが、ユニットの描写能力の高さが、密閉型なのでよくわかる。
対抗馬は当然、ELACのBS263ということになるでしょう。BS263のサイズ:H285×W192×D285mmに対し、KX0.5はH352×W194×D319mmとサイズも同じようなもので、同じ密閉型、価格も同等です。
聴き比べた感想ですが、高音域はELAC、中・低音域は同等だが、緻密さで一歩ELACが上となった程度で、ほぼ互角の戦いになりました。今回はオーディオルームでしっかりとした環境作りをしているので、ELACのポテンシャルが十分に発揮されましたが、ELACは色々と繊細なので、一般的な環境下であれば、鳴らしやすいクリプトンのほうがいい音を出す可能性も低くはないと思います。ELACと真っ向から殴りあえる好敵手の台頭は素直に喜ばしいです。
ちなみに、復活したTechnicsのSB-C700も同一価格帯、同一サイズ336× 220 × 286 mmのスピーカーです(さすがにバスレフ型ですが)。音自体は上記の二台に比べるとあと一歩という印象で、量感はそれなりでしたが、解像度は明らかに物足りないように思いました。密閉型の締まりのある低音を聞いてしまうと、どうしても粗が目立つんですよね。聞き疲れしないいい音で、音像定位はしっかりしていたので、BGMを流すにはいいですが、そのためだけにこの値段はちょっと・・・。
【徹底研究2018冬】クリプトンの小型スピーカー「KX-0.5」を徹底的に聴く。冬のベストバイ選出が納得の肉感的な鳴り | Stereo Sound ONLINE
ASCII.jp:伝統と今が同居した、クールなサウンド「KX-0.5」を聴く (1/3)
クリプトンの密閉型スピーカー「KX-0.5」は、エントリーモデルとは思えない空間表現力だ。音楽に深く集中できるのが魅力 | Stereo Sound ONLINE
クリプトン、シリーズ最小の密閉型スピーカー「KX-0.5」 ー 18.5万円/ペア - PHILE WEB
クリプトン、ペアで20万円を切る小型密閉スピーカー「KX-0.5(Point Five)」 - AV Watch
5万円以下
ECLIPSE TD307MK2A
タイムドメイン理論に基づく正確無比な音像定位能力に定評のあるECLIPSE、量感は皆無で解像度も高いわけではありませんが、直感的に「いい音」と感じさせる仕様になっています(最近人気の無指向性スピーカーも同じベクトルの製品です)。ペアで5万円以下なので、価格的な安心感もあります。
ONKYO D-112NFX
評判の良かったD-412EXを一回り小さく小ぶりにした印象、ハイレゾ音源もしっかり正確に鳴らしており、低音も及第点と相変わらずの優等生です。没個性的ですが空きがないつくりで、コストパフォーマンスの高さが光ります。
DALI SPEKTOR1
本誌では紹介されていませんでしたが、この価格帯では紹介させざるを得ないでしょう。去年の年末以降、圧倒的なスピードでDALIの代表モデルに登り詰めたSPEKTOR1です。ONKYO D-112NFXと聴き比べると、「スピーカーの音の個性」とは何かがよく分かるので勉強になります。伝統的なDALIの優雅さはそれなりですが、最新のキレキレサウンドを奏でてくれます。
JVC SX-WD9VNT
ONKYOの没個性とは対象的に、ウッドコーンの個性を全面に押し出したスピーカー。ウッドコーンはどうしてもボヤッとした音に感じてしまっていましたが、SX-WD9VNTはかなり音のクリアネスが高く、想像以上に満足度が高かったです。あー、こういう音を目指していたのね、と納得できるスピーカー。低音に対する独特のアプローチも興味深く、「音の旨味」という表現にも納得です。
【レビュー】JVCの“人工熟成”ウッドコーンスピーカー「SX-WD9VNT/WD7VNT」を聴く - PHILE WEB