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ネットワークオーディオラボ ぶろぐ

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クリスマスプレゼントにおねだりすべきオーディオ製品10選

はじめに

さて、いよいよ今年もクリスマスシーズンがやって来ました。友達にあげる(もらう)お手頃プレゼントから子供への(親からもらう)プレゼント、そして恋人から(へ)のプレゼントなどなど一口にプレゼントと言っても多種多様です。そこで今回はこれまでに知り合いに相談されてオススメしたオーディオ製品(プレゼントなのでデザイン性も重視)を紹介していきたいと思います。

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価格帯

プレゼントというからにはまず価格帯を知らなければいけません。そこで少し前の調査を参考にしてみたところ、

  • 0円~5,000円......23%(69人) 
  • 5,001円~10,000円......26%(78人) 
  • 10,001円~20,000円......29%(87人) 
  • 20,001円~30,000円......14%(43人) 
  • 30,001円~40,000円......4%(12人) 40,001円~50,000円......2%(5人) 
  • それ以上......2%(6人)

という結果に。ということで今回の記事では5,000円以下、10,000円以下、20,000円以下の3つのカテゴリーに分けて紹介していくことにしましょう。 

5000円以下

まずは恋人以外へのプレゼント相場も考慮すると圧倒的主戦場になると思われる5千円以下、価格を見ずに目をつぶり心を無にして買う習慣のあるピュアオーディオヲタとしてはなかなか難しい価格帯がいきなりやってきましたね^^; 

JBL GO

 まず紹介したいのが名門JBLのポータブルワイヤレススピーカーのGOです。カラーバリエーションが豊富なので相手の好きな色をプレゼント出来るのがポイント!対応規格はBluetooth4.1でapt-Xには未対応、音は中高音重視で低音は出ません。でもサイズが68mm × 83mm × 31mmで130gじゃ仕方ないんじゃないかしら。連続再生はフル充電で5時間程度。音のクリアネスはあまりないですが、取り回しとデザインの良さ、そしてJBLブランドというプレゼントに必要な要素は揃っているので、悪くない選択肢じゃないかと思います。

 AKG Y23

 去年の記事でAKGのK323XSを「廉価で質感安っぽいのに音は結構いいコスパ抜群」のイヤホンです!的に紹介しました。確かにあの子はコスパ考えると音が最高だったんですが、どうしても見た目が安っぽいのでちょっと本命へのプレゼント向きではありません。

そんな時には、どう考えても中身は同じだけど見た目に少し高級感のあるY23が最適解。K323と同じく低音の量感不足は如何ともし難いですが、全音域でしっかりと解像度のある音を見せつけてくれます。メインのプレゼントならY23、おまけのプレゼントならK323XSと使い分けるのがいいかもしれません。

 

【国内正規品】AKG カナル型イヤホン レッド K323XSRED

【国内正規品】AKG カナル型イヤホン レッド K323XSRED

 

 10,000円以下

 FOSTEX PM0.3

 過去記事でもおすすめし、気づけばamazonさんでベストセラー1位(記事書いてて気づいた)になっていたPM0.3ならデザインも音も大満足、この価格帯ならとりあえずこれ買っとけば間違いない気がします。

FOSTEX パーソナル・アクティブスピーカー・システム PM0.3(B)

FOSTEX パーソナル・アクティブスピーカー・システム PM0.3(B)

 
 Sudio Klang

 2012年にスウェーデンで誕生した新興ブランドSudio(スーディオ)のイヤホンはお店で初めて見た時からプレゼントに最適だなーと思っています。パッケージデザイン、カラーバリエーションの豊富さ、本体デザインに付属の革ケースと満足感とお得度がとにかく高いです。音の解像度は並ですが、低音の量感はそれなりに稼いでくれるのでトータルバランスは悪くありません(僕の好きな音傾向ではないけど)。ロックとかが聞くのが好きな人でオシャレ感度高めな人にはいいプレゼントになると思います。 

  20,000円以下

 やったぜ、この価格帯ならいきなり選びたい放題だぜ!こう考えるとやっぱりオーディオって1万円からがスタートみたいな趣味なわけで、それなりにお金かかる趣味ってのは否定出来ないですね(笑)

 BRAVEN 705

 過去記事でも紹介したBRAVENのポータブルスピーカー、今回はカラーバリエーションを考慮して705を紹介です。

 BRAVENってデザインコンシャスだけど、女子ウケする方向じゃないんだよね~って印象でしたが、その考えはB705のイエロー見てもろくも崩れ去りましたね。もちろんLAVAみたいなG-shock的な製品も出しているので、イズムはしっかりと継承されているわけですが・・・。音の特性は量感しっかり、解像度は並よりやや上。残念なのはなぜかapt-X未対応の一点のみ。

 MOMENTUM (On-Ear)

  こちらも以前紹介済み、名門ゼンハイザーのMOMENTUM(On-Ear)、カラーバリエーション、デザイン、音質を高いレベルで持ち合わせています。相手がヘッドホンを欲しがっているのであればまず第一候補にすべきだと思います。

 

  ヘッドホンで他にデザイン性を考えて候補をあげるならMARSHALLのMAJOR(解像度はいまいち、量感はばっちり、そしてMARSHALLという大正義ブランド力)

 あとは(僕は形状が嫌いなんだけど)B&O play Form 2iはデザイン性、解像度が優れているのでいい選択肢になると思います(量感はいまいち)。

 B&O play Earset 3i

 最後にイヤホンというかイヤーセットのカテゴリーから上と同じくB&Oから。もう見た目から美しいし質感も素晴らしい、量感なんてどうでもよくなるくらい解像度も高いので序盤中盤終盤隙がありません。

 さいごに

はい、というわけでこの時期に問い合わせが増えるので「この記事見てね」って言うために書きました。要望があればもう少しアッパークラスについても書きたいと思いますが、ぶっちゃけその価格帯はサプライズなんかせずに一緒に買いに行ったほうがいいよね、と思うリアリスティックな冷めたつっこみ(笑)

そんじゃまたね~♪

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追記

これも気になる。

【国内正規品】harman/kardon ESQUIRE MINI ポータブルワイヤレススピーカー Bluetooth対応 ブラック  HKESQUIREMINIBLKAS

【国内正規品】harman/kardon ESQUIRE MINI ポータブルワイヤレススピーカー Bluetooth対応 ブラック HKESQUIREMINIBLKAS

 
【国内正規品】harman/kardon ESQUIRE MINI キャリングケース ブラック  HKESMINICASEBLK

【国内正規品】harman/kardon ESQUIRE MINI キャリングケース ブラック HKESMINICASEBLK

 

 

サウンドバー音質比較

はじめに

今回は結婚してマンションに引越しした友達の要望だった「簡易ホームシアター環境」を実現するために必須のアイテムであるサウンドバー(シアターバー)の音質比較をご紹介します。TVの薄型化によって劣化の一途を辿った音質、しかし巨大なスピーカーを合わせたのでは折角薄型化したTVのサイズメリットが台無しに!しかも操作が複雑化して、せっかく導入しても使わなくなってしまう。都会のマンション住まいだと誰しもがしばしばこんな葛藤に苛まれることになります。そこで登場したのがバータイプのスピーカー、お手軽&省スペースでありながら計算された音質で大人気となり現在に至ります。

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再生環境

 今回はBlu-ray Disk(BD)のみを比較基準にしました。サウンドフォーマットは可能な限りリニアPCMを選んでいます。と書いて気付きましたが、BDのサウンドフォーマットはまじめに説明したことがないので簡易に說明しておきましょう。今回視聴した椿姫のBDのサウンドフォーマットを見ると、

サウンドフォーマット:PCM Stereo,DTS-HD,MasterAudio7.1

と書いてあります。この内PCMは非圧縮音声、DTS-HD MAは可逆圧縮音声と呼ばれるフォーマットで、他にドルビーデジタルやDTSという非可逆圧縮音声が存在します。可逆か非可逆かの違いは、再生する際に圧縮されている音声データからオリジナルデータを再現できる(可逆)か再現できない(非可逆)かということで、明らかに可逆圧縮音声のほうが音質的に有利なため、近年のBDはほぼ可逆圧縮であるDTS-HD MAが採用されています。

では可逆圧縮と非圧縮のどっちが優秀か?そもそも圧縮している理由は、圧縮分を映像容量に割り当てるためなので、総合的(映像+音質)に見ると可逆圧縮のほうが絶対に優秀です。しかし音質だけならどうなのか!??これはWAV・FLAC論争と全く同じ論争で、僕の結論としては「人間の耳には聞き分け不可能なので同じ」です。しかし、世の中には神の耳を持つ人とその崇拝者である圧縮反対教団(WAVer)が一定数いらっしゃり、この方々は非圧縮の優位性を疑いませんので、今回は彼らの主張に一定の配慮をして非圧縮のリニアPCMで試聴しています。

非圧縮≧可逆圧縮>非可逆圧縮

ヴェルディ:椿姫(日本語字幕) [Blu-ray]

ヴェルディ:椿姫(日本語字幕) [Blu-ray]

 

 再生機はいつも通りOPPOを使っています。

OPPO BDP-105DJP (2P-3Pアダプター付)

OPPO BDP-105DJP (2P-3Pアダプター付)

 

 音質比較

 YAS-105

 まずは3万円以内でバカ売れしているYAMAHAのYAS-105から。

  • スピーカー部:5.5cmコーン型スピーカー×2(非防磁)、19mm バランスドーム型ツィーターx2(防磁)
  • サブウーファー部:7.5cmコーン型ウーファー×2(非防磁)

従来機のYAS-103との差はスピーカー部が6.5cmコーン型スピーカー×2(非防磁)から5.5+ツイーターへの変更。既にYAS-103の時点で価格を考えると完成の域に達していただけに、105でも完成度の高さは健在。高音の出はそこまで違いを感じませんでしたが、低音の量感はサイズを考えるとしっかり稼げているように思います。

AIR SURROUND XTREMEを利用したバーチャルサラウンド7.1ch再生は好みの問題で、別に5.1chと比べて音の広がりが極端に変わりました!みたいな印象は受けませんでしたが、これはあくまでもピュアオーディオ屋の意見なので、気になる人は試聴した方がいいです。

ヤマハ ホームシアターシステム(ブラック)YAMAHA YAS-105B
 

 CT780

 5万円以内でよかったのはSONYのCT780

  • スピーカー部:トゥイーター:19mmソフトドーム型、ウーファー:60mmコーン型
  • サブウーファー部:160mmコーン型

音質とは関係ないですが、サブウーファーを無線にしたのはさすがSONY、設置が圧倒的に便利です(誤解を招かないように;他社の同ラインも最近は全部無線採用です)。量感を稼ぐためにサブウーファーのサイズは物理的な存在感を感じるレベル、ここは設置可能面積によって評価の別れるところ;一般的な2LDKでギリギリ許容範囲内かなというのが個人的な印象。

メーカーの差によらず値段の差は低音の満足感の差、YAS-105やSONYの下位機であるCT380との差は中音~高音でほとんど変わらず、頭を殴られるような衝撃の低音あるいは映画の迫力にプラスαしたければCT780、こんな感じ。

ソニー ホームシアターシステム HT-CT780

ソニー ホームシアターシステム HT-CT780

 

 YSP2500

 10万円以内ではYAMAHAのYSP2500

  • 2.8cmコーン型ビーム用スピーカー(防磁)×16
  • 10cmコーン型ウーファー(非防磁)×2

個人的に最もコストパフォーマンスに優れていると思った価格帯、まやかしだけどまやかしじゃない圧倒的な音の広がり(これもうわかんねーな)、これがサラウンドの凄さですね。音のクリアネスに対する満足度も高いししっかりと一音一音に情報量がぎゅっと凝縮されています。これは映画見てて楽しいわ。当然友達の家にもこの子が入居しました(笑)

ヤマハ ホームシアターシステム(ブラック)YAMAHA YSP-2500B
 

 ついでに

 10万円以上ではSONYのHT-ST9が評判いいですが、残念ながら今回は在庫切れで試聴できませんでした。店頭で聞いた限りではそれなりでしたが、非常にノイジーな環境だったので評価は次の機会に。

SONY ホームシアターシステム HT-ST9

SONY ホームシアターシステム HT-ST9

 

 まとめ

 サウンドバーはYAMAHA、SONY以外にPioneerやPanasonic、ONKYO、JBL、DENON、LGなどが出していますが、完成度を考えると上記2社の完成度が圧倒的です。ホームシアターセットとなると話は変わってきますが、日本の(狭い)住宅事情に対する最適解の一つであるサウンドバーに関してはやはり日本強し??アメリカでシェアの高いVIZIOの試聴もした上で最終的な判断を下したいところです。

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スポーツ用bluetoothイヤホンの音質比較

はじめに

今回は最近流行しているランニング、その他スポーツやワークアウト時の利用用途で需要が高まっているbluetoothイヤホン・ヘッドセットの音質比較レビューをやりたいと思います。このブログはピュアオーディオに軸があるのですが、今回は利用時を想定した相対音質の比較であることを予め断っておきます。試聴環境はいつもと180度変わって

  • 街中での通話(周りの騒音が高い・振動はナシ)
  • 皇居外周でのランニングBGM(周りの騒音は低い・振動(走ることによるブレ)アリ)

という音質的には明らかに劣悪な環境を利用しました。こうした試聴環境を利用したモチベーションは前の記事を見ると分かるかもしれません。

さて、スポーツ用Bluetoothイヤホンに求められる音質以外の機能としては

  1. フィット感
  2. 防水(防汗)
  3. 連続再生時間
  4. 重さ
  5. 適度な遮音性

でしょうか。この内フィット感・遮音性は音質にも影響するので、ランニング環境での試聴である程度確かめられるかなと思います。その他の要素は試聴機種選定の基準としました。なお、操作のしやすさやマイク性能は今回検証していません(検証が難しいし)。

試聴

初めに視聴したのがyurbudsのLIBERTY WIRELESSです。ダイナミック型で周波数特性は20Hz-20kHz、インピーダンスは32Ω、Bluetoothの対応verは4.0、重さは約19g、連続再生時間は6時間です。Bluetoothの対応verは新しい(数字が大きい)ほど連続使用時間が長く、音質が高いと思っておけばいいと思います;最新は4.0です。駆動方式・インピーダンスの説明については過去記事を読んでください。

yurbudsは全米トップシェアなのでトップバッターには最適でしょうか。今回は5人で試聴してみましたが、サイズが大きいため耳の小さな人はフィット感に厳しい評価を出していました。僕も耳穴は小さい方ですが、あまり気になりませんでしたので完全に個人差ですね。この機種にかかわらず、運動で使うならイヤーフックは絶対にあったほうがいいです。低音の量感重視の音質調整はスポーツに最適、騒音のある環境でも話し声が聞き取りやすく遮音性のバランス調整もいい。多分この機種群で解像度は重視しないほうがいい気がします;逆に聞こえにくいかも(笑)

JBL(ジェービーエル) Bluetoothイヤホン yurbuds LIBERTYWIRELESSBLACK

JBL(ジェービーエル) Bluetoothイヤホン yurbuds LIBERTYWIRELESSBLACK

 
JBL(ジェービーエル) Bluetoothイヤホン yurbuds LEAPWIRELESSFORWOMEN

JBL(ジェービーエル) Bluetoothイヤホン yurbuds LEAPWIRELESSFORWOMEN

 

 お次はamazonでバカ売れ、各種レビューでもべた褒めされているSoundPEATSのQY7。周波数特性は不明、インピーダンスは不明、Bluetoothの対応verは4.0、重さは約17g、連続再生時間は6時間でapt-Xにも対応(チップはCSR8645)、通話時はCVC6.0搭載でノイズキャンセル機能ありで機能面を見るだけでも圧倒的なコスパです。さて肝心の音質ですが、こちらは平凡そのもの。低音の量感はそれなりで中音域の締りは微妙、高音は出ません。走っていて音が途切れたりとか、騒音環境で音が遠くなったりすることはなかったので安心して使うことが出来ますが、音には期待しないでねという製品だと思えばいいと思います。とりあえずお試しで買うには最高の一品。

 お次はヘッドセットのトップブランドPLANTRONICSのスポーツ用ヘッドセットBackBeat Fit。周波数特性は50Hz-20kHz、インピーダンスは不明、Bluetoothの対応verは3.0、重さは約24g、連続再生時間は8時間です。人によっては走っていて重さを感じるという感想ですがブレでずれたりはしません。肝心の音質ですがモニターライクで個性的な調整は感じられず;音楽じゃなくて英会話の勉強しながらランニングするには一番のおすすめです。遮音性はやや高め。

 音質重視派の方から圧倒的な人気を誇るJayBirdのBlueBuds X、周波数特性は20Hz-20kHz、インピーダンスは16Ω、Bluetoothの対応verは2.1、重さは約14g、連続再生時間は8時間です。カナル型のため、少しブレに対しては脆弱で今回は2人ほど試用中にズレました。音質はモニターライクで全般的に質が高く高音もそれなりに聞けるレベルというレベルの高さです。遮音性が高めなのでフィット感なども考慮すると室内でやや軽めの運動用に最適なのかなと思いました。

 さいごに

この記事の内容は他所から出す予定だったのですが色々あってポシャったので少し内容をブログ用に変更して投稿させて頂きました。yurbudsはかなりいい製品なのに、無知なレビュワーにamazonでボロクソ書かれてて可哀想(笑)もちろんサイズの問題はあるので、試着ありきですがランニングにはかなりいい製品だと思いました。音楽じゃなくて勉強しながら走る人も多いはず、そんな人にはBackBeat Fitが最適です。室内ワークアウト用ならBlueBuds Xも良かったですが、遮音性が少し高すぎるので屋外で使う際はご注意を。

この製品群は日本人のランニング熱の高まりに呼応して、各社これからどんどん新製品を出してくる市場です。この記事を書いた後も早速MONSTERが新製品を投入してきました。

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ハイレゾ時代の新コーデック『LDAC』の可能性

はじめに

 さて、今回はXperia Z4 Tabletに採用が決まったことで注目度が高まりつつあるLDACについて解説をしていきたいと思います。

LDACの辞書的な定義はBluetoothのオーディオプロファイル(A2DP)で利用できる新しいコーデック、といっても分かりにくいのでサクッと書くと『音声データをどういう風に圧縮して(しないで)飛ばすか』って話です。

要約

  • LDACの音質はapt-Xに比べて若干の進化が見られる。
  • 目指すべきは理想化された状況での絶対的な音質向上ではなく、Bluetoothが現実に使われる環境での相対的な音質向上では?Bluetoothが使われる環境を考えればapt-Xが優位。

この業界の標準はSBCという方式ですが音質劣化が凄まじく大きいことがオーヲタの間では有名で、より音質的に有力な方式としてAACやapt-Xといったコーデックが提案されてきました。(詳しい話は過去の記事を参照)

LDACは最大でSBCの3倍の情報伝送量を誇っており、これまでよりも高音質の音声が楽しめる一方、遅延に関してはSBCと同程度なので遅延に関してはapt-Xに一日の長があるかなという印象です。コーデックなので当たり前ですが音の受け手と送り手両方がLDACに対応していないと恩恵は受けられない&LDAC対応製品は現在のところSONYのみ(SONYが開発したので当たり前だけど)、ライセンス化するみたいなので抱え込みしないのはありがたいけど先行きはまだ不透明というのがデメリットといえばデメリットです。

試聴

今回はNW-ZX2からFLAC96kHz/24bit・192kHz/24bitの音声データを990kbbs(なんで990kbbsが最高かって言うとBluetoothは規格上1mbbs以下にしないといけない制約があるからなんです。)で飛ばして、

 MDR-1ABTに再生してもらいました。音飛びやノイズの影響を防いで990kbbsを最大限活かすため防音室で試聴・・・なんか実用的にはそうじゃないだろ感がしなくもない環境ですが(笑)

SBCとの違いは明らかなので、比較対象は以前にやったapt-Xと有線にしました。ワイヤレススピーカーのSRS-X55はLDAC対応ですが何故かハイレゾ非対応というちチグハグな製品なので今回はレビューしません(だったらせめてapt-Xにも対応させなさいよっていう)。

 

ソニー ワイヤレスポータブルスピーカー ブラック SRS-X55/B
 

 感想

まず元データの再生周波数の違いはさっぱり分からず(これはapt-Xでもそうだった)、apt-Xとの比較でボーカル音は確かにLDACのほうがいいと思う;より滑らかに聞こえました。音質は高音・低音ともに非常にしっかりと鳴らせていましたがapt-Xととの違いはあまり分からず、敢えて言えばやや低音域の厚みがちょっと増したかな程度;高音のキレ感はBluetoothでは無理だと思う。有線接続との比較で行くと音場感(立体感)はどうしても失われてしまう(音場感スバラCみたいなレビューをたまに見ますが個人的にはあり得ない感想)ので、やっぱりここらへんがワイヤレスの限界かなという印象。そもそも遅延が起こりにくい環境を頑張って作って試聴しているので遅延については不明。

まとめ 

ハイレゾのための新コーデックという位置づけで確かにこれまでのコーデックよりも音質の向上に成功したLDAC。ただハイレゾを求めている人間からすると「これまでハイレゾはワイヤレスでスカスカにしか聞こえませんでしたが、これからはCD音質程度で聞けるようになりました」と言われて食指が動くかというと・・・。Bluetoothが使われる場面で一番意識すべき外部環境からの干渉、遅延に対する脆弱性はそれほど既存コーデックから改善されておらず、理想化された状況での音質向上を目指す今の方向性ってなんか違うんじゃないの?という感想。自宅内でポータブルスピーカーって使い方はまだ説得力があるものの、僕らはみんなもっと優秀なネットワークオーディオ環境組んじゃってるんだよねっていう・・・。

今後のSONY製品がapt-X非対応LDAC路線に突き進むのだけは避けて欲しいし、もしそういう方向に行くのであればMDR-1ABTはapt-X対応の最後のヘッドフォンになったりするのかしら(そうならないことを切に祈っております)。

追記

アスキーさんから同趣旨の比較記事が出ました。

 

 

続: アンプって結局何なの!??

 

上の記事に対する反応として、もう少し詳しく書けと友達に言われたので、少し追記します。本当は試聴比較の項目でついでに書く予定でしたが。

 

アンプはスピーカを駆動させるために音声信号の電力を増幅・・・みたいな話を書きました。じゃ、具体的にどのくらい増幅すればスピーカーは鳴ってくれるのか?これはスピーカーによって違うので具体例を使って説明してみましょう。まずはスピーカー:

JBL STUDIO230 BRN 16.5cm 2ウェイ 【ペア】

JBL STUDIO230 BRN 16.5cm 2ウェイ 【ペア】

 
DALI スピーカーシステム  ZENSOR 1 ライトウォールナット ZENSOR1

DALI スピーカーシステム ZENSOR 1 ライトウォールナット ZENSOR1

 

 メーカーのHPに飛ぶと、

JBL STUDIO230は

DALI ZENSOR1は

 とあります。次にアンプです。

Pioneer インテグレーテッドアンプ A-70

Pioneer インテグレーテッドアンプ A-70

 

 TEAC

定格出力
  • 40W+40W(4Ω)
  • 20W+20W(8Ω)
スピーカー適合インピーダンス
  • 4 Ω-8 Ω

Pioneer

定格出力
  • 90W+90W(4Ω)
  • 65W+65W(8Ω)
スピーカー対応インピーダンス
  • 4 Ω-16 Ω

 

出てきた用語はスピーカー側が推奨アンプ出力とインピーダンス、そしてアンプ側が定格出力とスピーカー対応インピーダンスでした。以前にも書いたように、インピーダンス(単位はΩ:オーム)とは電気抵抗のことで、これが高ければ高いほど電流が流れにくくなります。一般にインピーダンスは高いほど音質的に有利です。電力(単位はW:ワット)は電流×電圧なので、電流が半分になれば電力も半減します(一定の電圧のもとで)。と、ここまで書くと大体分かりますね。

  1. スピーカー側:スピーカーはそれぞれ固有のインピーダンスを持っている(8Ωや6Ω)
  2. アンプ側:どれくらいのインピーダンスを持ったスピーカーを安定して駆動できるか;スピーカーインピーダンスがアンプのスピーカー対応インピーダンスの範囲外だと伝わる電力が大きすぎたり小さすぎるので動作が不安定になります。
  3. アンプ側:スピーカーのインピーダンスが(4Ω、8Ω)の時に最大でどれくらいの電力が流れるのかを確認するのが定格出力の項目
  4. スピーカー側:電力量がどの程度であれば安定して音を鳴らせるかの目安が推奨アンプ出力

例1:JBLのスピーカーとTEACのアンプの組み合わせ

JBLのスピーカーは8Ω、TEACの適合インピーダンスは4-8ΩなのでOK、定格出力は8Ωで20W、推奨アンプ出力は20-225WなのでOK

 例2:DALIのスピーカーとPioneerのアンプの組み合わせ

DALIのスピーカーは6Ω、Pioneerの対応インピーダンスは4-16ΩなのでOK、定格出力は4Ωで90W、8Ωで60Wなので出力は60Wー90W、推奨アンプ出力は25-100WなのでOK

※一般にアンプの出力はある程度余裕を持っていることが好まれます(スピーカーの能力を充分に使うため)。この観点からすると例1のケースでは推奨出力ギリギリの出力になるため、実際はもう少し出力の大きいアンプを使ったほうがいいよ、ということになります。