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ピュアオーディオ2022

ピュアオーディオとは

家電批評2022年7月号でピュアオーディオ音育方程式21と称した小特集が組まれていました。

ピュアオーディオの定義は純粋に好きな音楽を楽しむための高音質なオーディオ製品群、予算の比率はスピーカー5割>アンプ3割>プレイヤー2割となっています。この辺りは昔からのコンセンサスなので不満なしの説明ですが、近年はプレイヤーをスマホタブレット、PCといった汎用電子機器にまかせ、スピーカーやアンプに予算を振るような構成も一般的です。

第1のツッコミどころ:美音かモニターか

目指す音楽の方向性を美音とモニターに分けるのは、意見の分かれるところですね。私の定義で、ピュアオーディオとは原音再生能力の向上を目指すものなので、ここで雑誌が言うところの「美音」を目指すのはピュアオーディオとは路線が異なる印象を受けます。そして、この路線を「美音」と表現する点にも不満があります。

原音の対極を演出(音質補正?)、音像の対極を音場とする点も気になりますが、いったんこの分類を受け入れて議論しましょう。雑誌が「美音」と呼ぶ路線はピュアオーディオではなく、ピュアシアター(という言葉はありませんが、純粋に好きな映画を楽しむための高音質なオーディオ製品群)と言うべきだと思います。映画マニアも「音」にこだわりがある人は少なくありませんが、原音再生にこだわりはなく、味付けがされていてもいい音に聞こえるならばそちらのほうを好む傾向があり、ダイナミックな音場感をより重視、近年では立体音響などモニターと対極路線に進んでいます。これはオーディオマニアが「美音」と表現するものとは明確に異なっています。誤解を招くので、「美音」か「モニター」かではなく、「ピュアシアター」か「ピュアオーディオ(モニター)」かで分類したほうがよいと思います。

以上の議論は以前にも書いています。音質補正によるいい音や音場を重視する「ピュアシアター」派の方は、シアターバーなどのシステムを検討するのも一案だと思います。

networkaudiolab.hatenablog.com

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第2のツッコミどころ:音場か音像か

音場を音像の対極に置く点にも異論があります。以前に書いた内容を引用すると、

私の知り合いで、とくにオールドファンの方などは、解像度やスピード感はあまり重視せず、温かみや音場感が大事だという方が少なくありません。温かみはともかく、音場感は音像定位と密接な関係があると思うのですが、ちょっと違うとのことです。原音忠実型と雰囲気重視型という最近どこかで見た用語で分類したいところですが、雰囲気重視というには個々の音に敏感すぎるので、こういう表現も難しい。ここでは便宜的に、彼(女)らをタンノイ型と呼んでおきましょう。

https://networkaudiolab.hatenablog.com/entry/2021/05/29/021944

私は音場感に音像定位が必要だと考えています。音像定位というのは端的に言ってしまえば、どれだけ正確に臨場感を再現できるか、空間表現能力の高さを意味します。当然ですが、音像定位の能力の高さは音場感にプラスに働きます。しかし、この図では音場と音像がトレードオフの関係にあるように見えます。

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私の個人的な分類

では、どう書けばよいでしょうか。これは個人的な意見ですが、図の縦軸は音場再現を高める方法にすればよいと思います。音場再現能力を高める方法は大きく2種類あり、音像定位を高める方法(ピュアオーディオ(モニター))と、演出や複数のスピーカー、立体音響などを用いる方法(ピュアシアター)です。

では、オーディオマニアが考える美音はどこに位置するでしょうか。モニターサウンドには大きくスピード感(過渡(トランジェント)特性)と解像度の2つの要素があり、近代的なHi-Fiサウンドと言うと高速高解像度サウンドを目指す傾向があります。一方で、伝統的なピュアオーディオ、例えばタンノイなどはこうした要素がそれほど重視されておらず、こうしたサウンドが美音と評される傾向があるように思います。具体的なスピーカーブランドだとKEFは右上、モニターオーディオや日本のメーカーは中心やや右上寄り、DALIのOBERONは中心やや左下寄り、ELACは右下という印象です。

予算30万円システム

本誌では予算30万円のシステムとして、2種類が推奨されていました。

候補1

マランツJBLという王道の組み合わせ、解像度はそれなり、スピード感はややありということで、先程の図ですと中心やや左上寄りの構成ですね。

JBL 4309

marantz PM6007

marantz CD6007

候補2

TEAC+KEFの近代構成ですね。先程紹介したように、KEFは近代Hi-Fiサウンドのリーディングカンパニーです。ピュアオーディオ初体験の方にぜひとも体感してもらいたいのは低音です。いわゆる非モニター、ピュアシアター路線の低音(Boseなど)は音質補正によって量感ある低音を指向します。対照的に、ピュアオーディオの低音の特徴は高解像度による稠密性の高さです。例えて言うなら、重さを大きな金属の塊で表現するか、小さな金属の集積で表現するかといった違いです。

KEF LS50 Meta

TEAC AI-301DA

TEAC PD-301

最後に

時間があれば、少し私の30万円推奨構成も書いてみたいですね。以下は過去の推奨構成(~10万円、~20万円)です。

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