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ネットワークオーディオラボ ぶろぐ

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夏のベストバイ 2021

HiViが6月号で夏のベストバイの特集をしていました。

今回は、特集のうち、スピーカー部門1(ペア10万円未満)について見ていきましょう。ペア10万円未満はこのブログでもよく扱っている価格帯なので、どのような製品がランクインするか楽しみでした。

1位は同率で2つあり、一つ目はイクリプスのTD307MK3です。

イクリプスは2018年にTD307MK2Aを試聴した以来なので、久しぶりの試聴ですね。MK3は2021年の4月に発売した最新機で、MK2Aから12部品がアップデートされています。最大の変更点は振動板を紙からグラスファイバーにしたところでしょう。

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イクリプスはタイムドメイン理論に基づく、明瞭性、空間再現力、スピード感を強みにしています。個人的に後の2点はあまりピンと来ないのですが、音の明瞭性、正確性は高く評価できます。グラスファイバーになったことで、より繊細な表現が可能になったと言われたら、納得しそうになりますが、2Aから大きく変わったかと言われると難しいところです(私の記憶の問題もあります)。まぁ、元から完成度が高かったので、音に不満はありません。サイズがあまり大きくないので、デスクトップオーディオにも適していると思います。 

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このMK3を5本+サブウーファーをセットにした5.1chパッケージは、ホームシアターのセットとして定評があります。前回はセットによるディスカウントがありませんでしたが、今回は多少のディスカウントがあったのが嬉しいポイントかもしれません。しかし、ウーファーをアップデートしなかったのは中途半端だった気もします。

同率の一位はソナス・ファベールのLumina Iです。

今年の前半、オーディオヲタクファンの耳目を最大に集めたのがこのスピーカーだったでしょう。ソナス・ファベール社は、1980年に「陸のヴェネツィア」と呼ばれる北イタリアの町ヴィチェンツァで創業されました。

現代のスピーカーは、工業製品としての完成度を高める方向に進化していたというのが個人的な理解で、KEFとかはその際たる例だと思うのです。求める音は高速のキレキレサウンドで高い解像度、音像定位がバッチリ決まって言うことがありません。

しかし、こうした方向性が万人を納得させるかというと、そうではないのがオーディオの面白さであり、懐の深さであり、奥深さであり、沼の深さです。私の知り合いで、とくにオールドファンの方などは、解像度やスピード感はあまり重視せず、温かみや音場感が大事だという方が少なくありません。温かみはともかく、音場感は音像定位と密接な関係があると思うのですが、ちょっと違うとのことです。原音忠実型と雰囲気重視型という最近どこかで見た用語で分類したいところですが、雰囲気重視というには個々の音に敏感すぎるので、こういう表現も難しい。ここでは便宜的に、彼(女)らをタンノイ型と呼んでおきましょう。

閑話休題、タンノイ型のオーディオファンを満足させるのは、時代の流れもあり、年々難しくなっています。2020年に試聴したFYNE AUDIOなんかは、タンノイ型の琴線に触れる音作りだったようで少し反応されていましたが、こうした機会は滅多にありません。

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さて、本題のソナス・ファベールです。ここまでの流れを読めば薄々感じると思いますが、ソナス・ファベールの音作りは工業製品よりは工芸品または楽器としての完成度を高める方向性を指向しており、紛れもなくタンノイ型が愛するそれ。低音はサイズなりでやや稠密感に欠けるものの、上品な音表現です。高音はキレこそないものの、絶妙な余韻が満足度を感じさせます。そして、艶やかなヴォーカルはこれぞタンノイ型の真骨頂とでもいうべきか。タンノイ型の人はもしかすると、この生々しさを音場感って表現しているのかもしれませんね。曲次第では、胃もたれするかもしれませんが笑。何にせよ、見た目の作り込みも美しく、まさしくタンノイ型の人が求めていたスピーカーだと思います。問題は入手が困難なことだけでしょう。

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3位以下ですが、3位がELACのDBR62、エントリーラインであるDebutシリーズの上位機です。ELACが個人的に好きなこともあって、Debutシリーズは割と評価しているんですが、問題は価格ですよね。本国の値段よりもかなり割高なせいで、どうしても日本ではコストパフォーマンスに劣ります。

4位がモニターオーディオのBronze 50-6G、明確な長所はないものの、そつのない優等生、そしてコストパフォーマンスがすごすぎますね。しかし、モニオの感想っていつ聞いても無個性以外に出てこない。

そして、5位は我らがKEFのQ350でした。Q350は何度も紹介しているので、当ブログの読者はおなじみですね。採点を見ると、レビュアーにタンノイ型が多かったのかな?あまり点数が伸びてなくて残念です。

その他、過去記事でピックアップしたQ Acousticsの3020iが11位、3030iが15位にランクイン。ダリのOBERONはOBERON3が7位、OBERON1が15位にランクイン。フォーカルのCHORA 806は11位でした。

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採点(レビュアーの構成)はやや不満でしたが、企画自体はなかなか面白かったです。