photo credit: xenohawk via photopin cc

ネットワークオーディオラボ ぶろぐ

ネットワークオーディオ・PCオーディオ・ハイレゾ音源関連の最新ニュースをお届け♪

お年玉で買うべきミニコンポ2021

はじめに

皆様こんにちは、毎年恒例「お年玉で買うべきミニコンポ」ですが、ご想像どおり、コロナで例年のような大規模な試聴会を開催することができませんでした。というか、数年前から危惧していた「新製品出ないよ」問題がいよいよ深刻になり笑、そもそも試聴するものがほとんどありませんでした。オーディオ関連機器の市場が10年間で約6割縮小するなど、淘汰の波は当面止まりそうにありません。

以上の理由から、今年は規模を大幅に縮小し、5人でひっそりと試聴会を行いました。コロナで在宅が増え、音楽を聞きながら仕事をされる方も増えたかと思うのですが、音源が完全にデジタルシフトした現在、ワイヤレスオーディオやPCスピーカーの需要は増えてもミニコンポの需要が増えることはないように思います。

f:id:yamanatan:20201209004038j:plain

photo credit: Jay Hsu - Chen Chieh Sunset and Sky Lanterns via photopin (license)

未来記事

2022版がでました。

networkaudiolab.hatenablog.com

過去記事

過去記事も参考にしてください。

networkaudiolab.hatenablog.com

networkaudiolab.hatenablog.com

今年の新製品

去年はM-CR612という大ベストセラーのM-CR611の後継機が出たことで盛り上がりましたが、今年はそれほど大きな動きがありませんでした。価格もほとんど動いておらず、マランツ一強の構図は不変でした。自作でミニコンポを組んでみたい人は、とりあえずM-CR612に好きなスピーカーを組み合わせるところから始めるのが王道です。組合わせるスピーカーについては過去記事も参考にしてください。

追記:2/1から値上げのニュースが来ました。

av.watch.impress.co.jp

例年このカテゴリーの上限は7万円に設定しているので、予算をオーバーしていますが、注目の新製品というところでTechnicsのOTTAVA f SC-C70MK2はそれなりに人気だったようです。音の広がりはそれなりですが、パナソニックの目指す解像度の高い音という方向性がしっかりと表現されており、ネットワークオーディオや音楽配信にも対応しています。例年、絶賛してきたSC-PMX150の上位機的な位置づけになるでしょうか。

お次はVictorのEX-D6、あえて言えば、2019年に紹介したEX-S55の後釜的な機種でしょうか。CDを聞いて欲しいのはわかりますが、ワイヤレスやネットワーク対応が求められるこの時代、6万円台でUSBとBluetooth(除LDAC)のみに対応は厳しいですね。音はお家芸のウッドコーンらしく、澄み切った透明感のある音です。無宗教の方にはやや割高感があるように思いますが、しっかりとブランディングに成功している点は素直に評価するべきだと思いました。

追記:EX-D6のレビューが出ましたので、こちらも参考にどうぞ

av.watch.impress.co.jp

時代の流れを考えると、もう若者がミニコンポを買うことは期待できない。ならば、高年齢層をターゲットにするんや、ということで、腹をくくって東芝が出してきたAurex TY-AK2、非常に素晴らしい製品だと思います。何と言ってもカセットテープが聞けること、カセットテープの音をアップコンバートする点にはやや変態性が垣間見えますが、時代の流れとは整合的です。現代的な解像度重視の音作りは耳が遠くなり始める年代と相性よし、量感はそれなりに調整されているので、長時間聞いても疲れにくい、とまったく隙を感じさせません。現代的な音作りって、こんなに高齢化社会と相性良かったんですね笑。いまどき「ミニコンポ」なんて時代錯誤なものを探している人が欲しいのってこれでしょ?という割り切りと音質への妥協のなさが相まって、コロンブスのたまごとでも言うべきラジカセ2.0を生み出したのかもしれません。拡張性についてはワイヤレス?なにそれ美味しいの?(Bluetoothには対応していますけど)って感じです。いわゆるラジカセを探していた人や、親御さんへのプレゼントによさそうです。試しに演歌のテープなど聞いてみましたが、音の輪郭が際立つことで立体感が出るので、ライブ感を求める人にはよい選択肢だと感じました。

ニコンポがミニコンポとして売れる時代が終わり、一歩上の音質(PanasonicDenon)や機能性(PanasonicやPioneer)、ウッドコーンのような独自技術(Victor)、ラジカセを買ってくれる顧客層にアプローチ(東芝)など様々な試みを見てきましたが、こうした路線と一線を画すのがインテリア性を押す方向性です。PanasonicのSC-HC410やYamahaTSX-B237といった製品はこうした方向性を目指すもので、企業戦略としては興味深いですが、音自体はあまり興味深いものではない(全体的に音が薄っぺらい)な、というのが試聴してみた感想です。特段にデザインが好きでもない限り、あえて選ぶ必要はないでしょう。

ベストバイまとめ

ニコンポセット

  • 5万円~:PMX150
  • ~5万円候補1:PMX90
  • ~5万円候補2:K-515
  • カセットテープ、ラジカセ:Aurex TY-AK2

自作セット(プレーヤー+スピーカー)

  • 大体~10万円:XC-HM86(S)+SPEKTOR1/2, QA 3010i/3020i, KEF Q350
  • 大体10万円~:M-CR612+SPEKTOR1/2, QA 3020i/3030i, KEF Q350

ベストバイ

とうとうDENONのM41セットの在庫が切れたので、選択肢が狭まりました。例年と同じく、全部入りのベストバイはPanasonicのPMX150になります。2017年に発売以来、このブログで常にベストバイ、その甲斐もあってかは知りませんが、この1年間ほとんど値下がりしておらず、去年からお買い得感は変わらずです。そろそろ代替わりする可能性があり、その際は弱点だった外装のデザインをTechnics譲りの高級仕様にして値上げする可能性があるので、気になっていた人はそろそろまじで買っておいたほうがいいかもしれません。

低価格機はPMX90が第一候補です。対抗馬は下のK-515ですが、昨年比でコスパが悪化しています。

K-505がなくなったせいか、実勢価格で5000円近く値上がりしており、コスパが悪化しています。伸びやかな高音の美しさは随一ですが、推奨度はやや低下しました。

Pioneerも音響事業撤退済みですので、在庫限りで終わりでしょう。去年と同じく最後のバーゲンプライスだと思いますので、Pioneerファンはもちろんのこと、M-CR612がなかなか値下がりしなくて我慢の限界が来た人、昨年紹介したONKYOのCR-N775を狙っていて買い時を逃した人には悪くない選択肢だと思います。

DALIのSPEKTOR1は実勢価格が値上がり、SPEKTOR2は横ばいなので、サイズが許せるならSPEKTOR2を推奨します。

去年推奨していたスピーカーはほとんど市場から消えてしまい、選択肢が格段に狭まりましたが、捨てる神あれば拾う神あり。2月にQ Acousticsの3030iが国内取扱いをスタートしてくれましたので、今年は新世代ハイエンドとして名高いQAの3000iシリーズを紹介します。予算に余裕があって、DALIのSPEKTORよりいいスピーカーを導入したい場合、同じDALIのOBERONやB&Wの607が候補として上がってきます。この対抗馬として急浮上してきたのが3030iです(海外ではすでに定評のある機体ですが)。OBERONよりも低音が、そして607よりは高音に優位性があり、バランスの良さと音のふくよかさに定評があります。高速なキレキレサウンドではないですが、癖がなく万人向けな音だと思います。同価格帯ではKEFのQ350も有力ですが、Q350に比べると、コスパが優れているように思います(私はKEFが好きなのでバイアスがかかっています)。試聴動画はお使いの音響環境に依存するので参考程度になりますが、ぜひ動画や実店舗で比較試聴してみてください。もはやミニコンポというよりも、ハイコンポ一歩手前の構成になりますが、それだけの価値はあると思います。

追記:2021年3月から値上げになります。狙っていた人は早めに決断する必要があるかもしれません。

www.phileweb.com

3030i

youtu.be

Oberon1

www.youtube.com

B&W 607

www.youtube.com

KEF Q350

youtu.be

追記:Q Acoustics「3000i」のレビューが出ました。本記事推奨の組み合わせで試聴していますので、こちらも参考にどうぞ。内容が丸かぶりなので、今年は早めに記事を出しておいてよかったなと思いました(順番が逆だとパクリだと思われそう笑)。

av.watch.impress.co.jp

さいごに

今年は例年以上に無事に記事を書き終えられたことに安心感を覚えました。まだまだ予断を許さない状況が続いていますが、来年1年も音楽とともに一歩ずつ進んでいきましょう。

毎年のことですが、このような状況にもかかわらず協力いただいた方々、また記事を読んでいただいたすべての皆様にお礼を申し上げます。

それでは皆様、よいお年を!