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お年玉で買うべきミニコンポ2023

はじめに

皆様こんにちは、毎年恒例「お年玉で買うべきミニコンポ」です。新製品が今年も出なかったのはお決まりとして、円安と原料高で既存アンプやスピーカーが値上げラッシュとなっており、安価で高音質のシステムを組むのが困難な時期になっているのが辛いですね。昨年のさいごにで「中長期的な円安トレンド」と書きましたが、当時の115円から一時150円を超えるまで急速に円安が進むとは想定しておらず、すさまじい一年となりました。

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目次

過去記事

過去記事も参考にしてください。

networkaudiolab.hatenablog.com

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今年の新製品

昨年に引き続き、ドウシシャが、自社ブランド「ORION」ブランド音響製品の第2弾として、SMC-350BTを発売しました。位置づけとしては、SANSUIのSMC-300BTの後継機ですね。300BTの評価は以下の通りでした。

 真空管アンプ+和紙スピーカーという奇をてらった印象のある構成ながら、やたらと正統な音が流れてくるので、売れて欲しいなと去年書いたんですが、かなり売れ行きがよいらしく嬉しいです。もっとも購買層の多くは、SANSUIのオールドファンらしいので、若い人にも聞いてほしいコンポですね。

我々の画一的な評価では、量感こそあるものの、音の解像度や明瞭さ、音像定位、音場感などどうしても劣った点をつけざるを得ません。しかし、真空管でしか出せないふんわりとした音があるというのも事実・・・

300BTからの主な変更点はアンプの出力が30W+30Wから35W+35Wに、スピーカーが11cmW-RPM+3.8cmコーン型から11cm ウーファー+2.5cm ドーム型になったことです。コーン型ツイーターは前作の明らかなコストカットポイントでしたので、ドーム型になったのは素直に嬉しいポイント。SANSUI時代の500BTのスピーカー13cmW-RPM+3.8cmシルクドームを採用してくれるとよりお得感が高まったのですが、今年550BTを作るつもりで取っておいているのでしょうか。

本作の評価ですが、過渡特性(トランジェント)の改善は見られるものの、解像度はお察しという感じで、現代的な評価軸ではあまり高評価をつけにくいというのは全機種と同様です。イージーリスニング用のコンポとしては悪くないですが、実勢価格が約2.5万円であることを考えると、実勢価格が同じ価格帯(約3万円)のSC-PMX90を買ったほうが満足度は高く、真空管ラバー向けの変化球的な位置づけは相変わらずという感想になります。(PMX90は2.5万円を切ることもあるので尚更)

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一体型ネットワークCDレシーバーのTechnics「SA-C600」は長らく一強だったMarantzのM-CR612の地位を脅かす製品として注目です。M-CR612の実勢価格は一時期8万円まで上がっていましたが、現在は6万円前後まで落ち着いています。一方で、SA-C600は約10万円ですから、実勢価格にはやや開きがあります。ただ、M-CR612は6月に価格改定しており、定価は79,200円 → 99,000円となっていますので、同価格帯の製品と考えてよいでしょう。出力はともに120W、サイズはM-CR612が280x111x303 mmに対して、SA-C600は340x94x341 mmなのででかく平べったいです。新しいだけあって、SA-C600は接続端子も豊富です。

※M-CR612は価格改定前の在庫がなくなると徐々に価格上昇していく可能性がありますので、購入したい方は早めがよいかもしれません。原料コストの上昇を考えると、5万円時代に回帰することは考えにくいです。

肝心の音質ですが、この価格帯、機能性でM-CR612を超えた初めての機種がSA-C600だというのが率直な感想です。M-CR612は高音質ですが、本格的なHIFIオーディオと比較すると低音の稠密性には課題があります。またモニターライクなので、やや抑揚に欠けるきらいがあります。もちろん実勢価格6万円であることを考えるとコスパモンスターであることに疑いはありませんが、同じ10万円の機体としてSA-C600と比較すると、やや物足りないと思うでしょう。それくらいSA-C600の音質は抜群です。

ではどちらを買うべきでしょうか。同じ予算のもとであれば、私はM-CR612を選びます。プレーヤーとアンプ性能はSA-C600が上ですが、実勢価格の差である4万円でスピーカーをグレードアップすれば、音質の差は簡単に覆るからです。逆にそうした予算制約に直面していないのであれば、SA-C600は有力な選択肢になると思います。

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これだけTechnics製品を褒めるとSC-C70MK2の評価が気になる人も多いでしょう。実勢価格が10万円を切ってきたことから、検討対象に加える人がいるかもしれません。結論から言えば、SC-C70MK2はあまりおすすめできません。低音の量感を無理に稼ごうとする不自然なチューニングを行っているため、全体のバランスが崩れているのが最大の欠点です。PMXの価格帯ならこうしたチューニングも許されますが、HIFIを見据えた高価格帯でこれは厳しいです。

ベストバイ

Panasonic PMXシリーズ

毎年恒例のPMXシリーズです。昨年発売したPMX900は実勢価格5.5万円で5000円くらい安くなりましたね。昨年実勢価格4万円前後でバーゲンセールですよ、としていたPMX150はやや値上がりして4.5万円程度となり、価格差が1万円まで縮まりました。この価格差ならPMX900がベターですので、予算が許すならPMX900をおすすめします。

また、PMX90は実勢価格が2.5万円まで落ちたあと、昨年と同じ3万円まで戻ってきています。昨年は

例年であればネットワーク機能を欲しいかどうかでPMX150とPMX90のどちらかを選んでくださいと言うところですが、4万円前後であればPMX150一択です。

と書いたのですが、今年は悩ましいですね。

DENON M41

3年前に実勢価格3万円前後で圧倒的なコスパでしたが、今年の実勢価格は4.5万円となりました。去年の5万円よりはましになりましたが、PMX900の価格下落により、相対的に価格競争力は低下しました。

昨年と同じく、

古いこともあって機能性はあまり期待できないものの、DENONのHIFI譲りの高音質は価格対比でやはり素晴らしく、やや解像度重視の現代的音作りを志向するPanasonicの音が好きになれない人には、有力な代替案になります。

という評価になりますので、こだわりがなければPMXシリーズを選んだほうが無難かと思います。

自作

上記で書いたようにSA-C600に音質で負けてしまったMarantzのM-CR612ですが、実勢価格的にアンダー10万円のシステムを作る際に必須のピースである事実は変わりません(最近は価格高騰で15万円くらいまで許容していますけど)。幸いなことにM-CR612の実勢価格は6万円前後に落ち着いていますので、今年は現実的な提案ができそうです。

昨年と同じ構成については、価格変動のみお伝えしていますので、具体的な評価は過去記事をご覧ください。

M-CR612+3010i/3020i

去年紹介した直後に値上げされてしまったQ Acousticsの3020iは実勢価格4万円を維持しており、良コスパです。

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M-CR612+SPEKTOR1/2

DALIのSPEKTOR2は実勢価格がどんどん値上がりしています。昨年は3.3万円でしたが、2月中旬に実勢価格4万円、そして現在は実勢価格5万円近くまで来ています。DALIのスピーカーは人気があるため、継続的に値上げしてきています。気に入った方は早めに購入したほうが良さそうです。

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M-CR612+Oberon1

昨年は価格高騰で外したのですが、6万円近くまで高騰した後、なぜか5万円近くまで価格が下落しており、SPEKTOR2対比で買いやすくなったため再度ランクインさせました。DALIのベストセラーにして代表的なモデル、日本人好みの美しいメロディと機体は安定した人気です。

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M-CR612+LX-2

MissionのLX-2は比較的ブランドがマイナーであることも手伝い、実勢価格3.8万円を維持しており、コスパ良好です。ただ、解像度を気にする人からすると、やや大雑把な音作りに聞こえてしまいます。

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自作2:SA-C600に合うスピーカーを探せ

これだけでは昨年の焼き直しで終わってしまうため、今年は新企画としてSA-C600に合うスピーカーを探せという企画を行いました。SA-C600には公式推奨のスピーカーとしてSB-C600が販売されています。こちらですが、前述したSC-C70MK2と同様、低音の量感を無理に稼ごうとする不自然なチューニングが感じられます。もちろんSC-C70MK2ほどひどくはないのですが、全体のバランスは多少なりとも崩れており、C600の潜在能力を活かせるような特性のスピーカーになっていません。そこで同価格帯のスピーカーから、よりマッチするスピーカーを探してみました。

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今回比較したのはWharfedale Diamond 12.1, Focal Chora 806, B&W 607 S2 AE, Polk R100の4機種です。個人的にはキラキラ感のあるB&Wとの相性が良いかと思っていたのですが、聞いてみると圧倒的にマッチしたのがFocal Chora 806でした。B&Wはソリッドさが強調されすぎ、やや疲れるというコメントが参加者からありました。今年話題のPolk R100はフラットでよいスピーカーだと思いましたが、SA-C600との組み合わせでは抑揚に欠けました。WharfedaleとFocalはかなり似た鳴り方をしていましたが、Focalのほうがより伸びやかで生き生きとした鳴り方をしていましたと思います。

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さいごに

今年のミニコンポ業界二大ニュースはSA-C600の登場とPolk Audioの来襲でした。Polk Audioはサウンドバーでも存在感を示していましたね。Technicsは復活してから、やや空回り気味な製品が多かったですが、SA-C600はこれまでの失態を帳消しする素晴らしい製品でした。ミニコンポそのものは新しい製品がほぼゼロで寂しい限りですし、原料価格の高騰と円安で新しい提案も少ない試聴会にあって、SA-C600は期待の星となりました。もう少し実勢価格が安くなってくると、より多くの提案ができるのですが、業界的にはあまり廉価になってほしくもないし、なんとも複雑な気分です。

毎度おなじみとなりましたが、試聴会に協力いただいた皆様、また記事を読んでいただいたすべての皆様に今年もお礼を申し上げます。

それでは皆様、よいお年を!

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