サウンドバー音質比較
はじめに
今回は結婚してマンションに引越しした友達の要望だった「簡易ホームシアター環境」を実現するために必須のアイテムであるサウンドバー(シアターバー)の音質比較をご紹介します。TVの薄型化によって劣化の一途を辿った音質、しかし巨大なスピーカーを合わせたのでは折角薄型化したTVのサイズメリットが台無しに!しかも操作が複雑化して、せっかく導入しても使わなくなってしまう。都会のマンション住まいだと誰しもがしばしばこんな葛藤に苛まれることになります。そこで登場したのがバータイプのスピーカー、お手軽&省スペースでありながら計算された音質で大人気となり現在に至ります。
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再生環境
今回はBlu-ray Disk(BD)のみを比較基準にしました。サウンドフォーマットは可能な限りリニアPCMを選んでいます。と書いて気付きましたが、BDのサウンドフォーマットはまじめに説明したことがないので簡易に說明しておきましょう。今回視聴した椿姫のBDのサウンドフォーマットを見ると、
サウンドフォーマット:PCM Stereo,DTS-HD,MasterAudio7.1
と書いてあります。この内PCMは非圧縮音声、DTS-HD MAは可逆圧縮音声と呼ばれるフォーマットで、他にドルビーデジタルやDTSという非可逆圧縮音声が存在します。可逆か非可逆かの違いは、再生する際に圧縮されている音声データからオリジナルデータを再現できる(可逆)か再現できない(非可逆)かということで、明らかに可逆圧縮音声のほうが音質的に有利なため、近年のBDはほぼ可逆圧縮であるDTS-HD MAが採用されています。
では可逆圧縮と非圧縮のどっちが優秀か?そもそも圧縮している理由は、圧縮分を映像容量に割り当てるためなので、総合的(映像+音質)に見ると可逆圧縮のほうが絶対に優秀です。しかし音質だけならどうなのか!??これはWAV・FLAC論争と全く同じ論争で、僕の結論としては「人間の耳には聞き分け不可能なので同じ」です。しかし、世の中には神の耳を持つ人とその崇拝者である圧縮反対教団(WAVer)が一定数いらっしゃり、この方々は非圧縮の優位性を疑いませんので、今回は彼らの主張に一定の配慮をして非圧縮のリニアPCMで試聴しています。
非圧縮≧可逆圧縮>非可逆圧縮
再生機はいつも通りOPPOを使っています。
音質比較
YAS-105
まずは3万円以内でバカ売れしているYAMAHAのYAS-105から。
- スピーカー部:5.5cmコーン型スピーカー×2(非防磁)、19mm バランスドーム型ツィーターx2(防磁)
- サブウーファー部:7.5cmコーン型ウーファー×2(非防磁)
従来機のYAS-103との差はスピーカー部が6.5cmコーン型スピーカー×2(非防磁)から5.5+ツイーターへの変更。既にYAS-103の時点で価格を考えると完成の域に達していただけに、105でも完成度の高さは健在。高音の出はそこまで違いを感じませんでしたが、低音の量感はサイズを考えるとしっかり稼げているように思います。
AIR SURROUND XTREMEを利用したバーチャルサラウンド7.1ch再生は好みの問題で、別に5.1chと比べて音の広がりが極端に変わりました!みたいな印象は受けませんでしたが、これはあくまでもピュアオーディオ屋の意見なので、気になる人は試聴した方がいいです。
CT780
5万円以内でよかったのはSONYのCT780
- スピーカー部:トゥイーター:19mmソフトドーム型、ウーファー:60mmコーン型
- サブウーファー部:160mmコーン型
音質とは関係ないですが、サブウーファーを無線にしたのはさすがSONY、設置が圧倒的に便利です(誤解を招かないように;他社の同ラインも最近は全部無線採用です)。量感を稼ぐためにサブウーファーのサイズは物理的な存在感を感じるレベル、ここは設置可能面積によって評価の別れるところ;一般的な2LDKでギリギリ許容範囲内かなというのが個人的な印象。
メーカーの差によらず値段の差は低音の満足感の差、YAS-105やSONYの下位機であるCT380との差は中音~高音でほとんど変わらず、頭を殴られるような衝撃の低音あるいは映画の迫力にプラスαしたければCT780、こんな感じ。
YSP2500
10万円以内ではYAMAHAのYSP2500
- 2.8cmコーン型ビーム用スピーカー(防磁)×16
- 10cmコーン型ウーファー(非防磁)×2
個人的に最もコストパフォーマンスに優れていると思った価格帯、まやかしだけどまやかしじゃない圧倒的な音の広がり(これもうわかんねーな)、これがサラウンドの凄さですね。音のクリアネスに対する満足度も高いししっかりと一音一音に情報量がぎゅっと凝縮されています。これは映画見てて楽しいわ。当然友達の家にもこの子が入居しました(笑)
ついでに
10万円以上ではSONYのHT-ST9が評判いいですが、残念ながら今回は在庫切れで試聴できませんでした。店頭で聞いた限りではそれなりでしたが、非常にノイジーな環境だったので評価は次の機会に。
まとめ
サウンドバーはYAMAHA、SONY以外にPioneerやPanasonic、ONKYO、JBL、DENON、LGなどが出していますが、完成度を考えると上記2社の完成度が圧倒的です。ホームシアターセットとなると話は変わってきますが、日本の(狭い)住宅事情に対する最適解の一つであるサウンドバーに関してはやはり日本強し??アメリカでシェアの高いVIZIOの試聴もした上で最終的な判断を下したいところです。
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スポーツ用bluetoothイヤホンの音質比較
はじめに
今回は最近流行しているランニング、その他スポーツやワークアウト時の利用用途で需要が高まっているbluetoothイヤホン・ヘッドセットの音質比較レビューをやりたいと思います。このブログはピュアオーディオに軸があるのですが、今回は利用時を想定した相対音質の比較であることを予め断っておきます。試聴環境はいつもと180度変わって
- 街中での通話(周りの騒音が高い・振動はナシ)
- 皇居外周でのランニングBGM(周りの騒音は低い・振動(走ることによるブレ)アリ)
という音質的には明らかに劣悪な環境を利用しました。こうした試聴環境を利用したモチベーションは前の記事を見ると分かるかもしれません。
さて、スポーツ用Bluetoothイヤホンに求められる音質以外の機能としては
- フィット感
- 防水(防汗)
- 連続再生時間
- 重さ
- 適度な遮音性
でしょうか。この内フィット感・遮音性は音質にも影響するので、ランニング環境での試聴である程度確かめられるかなと思います。その他の要素は試聴機種選定の基準としました。なお、操作のしやすさやマイク性能は今回検証していません(検証が難しいし)。
試聴
初めに視聴したのがyurbudsのLIBERTY WIRELESSです。ダイナミック型で周波数特性は20Hz-20kHz、インピーダンスは32Ω、Bluetoothの対応verは4.0、重さは約19g、連続再生時間は6時間です。Bluetoothの対応verは新しい(数字が大きい)ほど連続使用時間が長く、音質が高いと思っておけばいいと思います;最新は4.0です。駆動方式・インピーダンスの説明については過去記事を読んでください。
yurbudsは全米トップシェアなのでトップバッターには最適でしょうか。今回は5人で試聴してみましたが、サイズが大きいため耳の小さな人はフィット感に厳しい評価を出していました。僕も耳穴は小さい方ですが、あまり気になりませんでしたので完全に個人差ですね。この機種にかかわらず、運動で使うならイヤーフックは絶対にあったほうがいいです。低音の量感重視の音質調整はスポーツに最適、騒音のある環境でも話し声が聞き取りやすく遮音性のバランス調整もいい。多分この機種群で解像度は重視しないほうがいい気がします;逆に聞こえにくいかも(笑)
JBL(ジェービーエル) Bluetoothイヤホン yurbuds LIBERTYWIRELESSBLACK
- 出版社/メーカー: ハーマンインターナショナル
- メディア: エレクトロニクス
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JBL(ジェービーエル) Bluetoothイヤホン yurbuds LEAPWIRELESSFORWOMEN
- 出版社/メーカー: ハーマンインターナショナル
- メディア: エレクトロニクス
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お次はamazonでバカ売れ、各種レビューでもべた褒めされているSoundPEATSのQY7。周波数特性は不明、インピーダンスは不明、Bluetoothの対応verは4.0、重さは約17g、連続再生時間は6時間でapt-Xにも対応(チップはCSR8645)、通話時はCVC6.0搭載でノイズキャンセル機能ありで機能面を見るだけでも圧倒的なコスパです。さて肝心の音質ですが、こちらは平凡そのもの。低音の量感はそれなりで中音域の締りは微妙、高音は出ません。走っていて音が途切れたりとか、騒音環境で音が遠くなったりすることはなかったので安心して使うことが出来ますが、音には期待しないでねという製品だと思えばいいと思います。とりあえずお試しで買うには最高の一品。
SoundPEATS(サウンドピーツ) ワイヤレス スポーツ ヘッドセット QY7 [並行輸入品] black/green
- 出版社/メーカー: SoundPEATS(サウンドピーツ)
- メディア: Wireless Phone Accessory
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お次はヘッドセットのトップブランドPLANTRONICSのスポーツ用ヘッドセットBackBeat Fit。周波数特性は50Hz-20kHz、インピーダンスは不明、Bluetoothの対応verは3.0、重さは約24g、連続再生時間は8時間です。人によっては走っていて重さを感じるという感想ですがブレでずれたりはしません。肝心の音質ですがモニターライクで個性的な調整は感じられず;音楽じゃなくて英会話の勉強しながらランニングするには一番のおすすめです。遮音性はやや高め。
【国内正規品】 PLANTRONICS 両耳 Bluetooth ワイヤレスヘッドセット BackBeat Fit Blue BACKBEATFIT-BL
- 出版社/メーカー: PLANTRONICS
- 発売日: 2014/07/17
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音質重視派の方から圧倒的な人気を誇るJayBirdのBlueBuds X、周波数特性は20Hz-20kHz、インピーダンスは16Ω、Bluetoothの対応verは2.1、重さは約14g、連続再生時間は8時間です。カナル型のため、少しブレに対しては脆弱で今回は2人ほど試用中にズレました。音質はモニターライクで全般的に質が高く高音もそれなりに聞けるレベルというレベルの高さです。遮音性が高めなのでフィット感なども考慮すると室内でやや軽めの運動用に最適なのかなと思いました。
【日本正規代理店品】JayBird BlueBuds X Bluetooth イヤホン (ミッドナイトブラック) JBD-EP-000002
- 出版社/メーカー: Jaybird
- 発売日: 2013/05/24
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さいごに
この記事の内容は他所から出す予定だったのですが色々あってポシャったので少し内容をブログ用に変更して投稿させて頂きました。yurbudsはかなりいい製品なのに、無知なレビュワーにamazonでボロクソ書かれてて可哀想(笑)もちろんサイズの問題はあるので、試着ありきですがランニングにはかなりいい製品だと思いました。音楽じゃなくて勉強しながら走る人も多いはず、そんな人にはBackBeat Fitが最適です。室内ワークアウト用ならBlueBuds Xも良かったですが、遮音性が少し高すぎるので屋外で使う際はご注意を。
この製品群は日本人のランニング熱の高まりに呼応して、各社これからどんどん新製品を出してくる市場です。この記事を書いた後も早速MONSTERが新製品を投入してきました。
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ハイレゾ時代の新コーデック『LDAC』の可能性
はじめに
さて、今回はXperia Z4 Tabletに採用が決まったことで注目度が高まりつつあるLDACについて解説をしていきたいと思います。
LDACの辞書的な定義はBluetoothのオーディオプロファイル(A2DP)で利用できる新しいコーデック、といっても分かりにくいのでサクッと書くと『音声データをどういう風に圧縮して(しないで)飛ばすか』って話です。
要約
- LDACの音質はapt-Xに比べて若干の進化が見られる。
- 目指すべきは理想化された状況での絶対的な音質向上ではなく、Bluetoothが現実に使われる環境での相対的な音質向上では?Bluetoothが使われる環境を考えればapt-Xが優位。
この業界の標準はSBCという方式ですが音質劣化が凄まじく大きいことがオーヲタの間では有名で、より音質的に有力な方式としてAACやapt-Xといったコーデックが提案されてきました。(詳しい話は過去の記事を参照)
LDACは最大でSBCの3倍の情報伝送量を誇っており、これまでよりも高音質の音声が楽しめる一方、遅延に関してはSBCと同程度なので遅延に関してはapt-Xに一日の長があるかなという印象です。コーデックなので当たり前ですが音の受け手と送り手両方がLDACに対応していないと恩恵は受けられない&LDAC対応製品は現在のところSONYのみ(SONYが開発したので当たり前だけど)、ライセンス化するみたいなので抱え込みしないのはありがたいけど先行きはまだ不透明というのがデメリットといえばデメリットです。
試聴
今回はNW-ZX2からFLAC96kHz/24bit・192kHz/24bitの音声データを990kbbs(なんで990kbbsが最高かって言うとBluetoothは規格上1mbbs以下にしないといけない制約があるからなんです。)で飛ばして、
SONY ウォークマン ZXシリーズ 128GB ハイレゾ音源対応 Android搭載 ブラック NW-ZX2-B
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MDR-1ABTに再生してもらいました。音飛びやノイズの影響を防いで990kbbsを最大限活かすため防音室で試聴・・・なんか実用的にはそうじゃないだろ感がしなくもない環境ですが(笑)
SBCとの違いは明らかなので、比較対象は以前にやったapt-Xと有線にしました。ワイヤレススピーカーのSRS-X55はLDAC対応ですが何故かハイレゾ非対応というちチグハグな製品なので今回はレビューしません(だったらせめてapt-Xにも対応させなさいよっていう)。
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感想
まず元データの再生周波数の違いはさっぱり分からず(これはapt-Xでもそうだった)、apt-Xとの比較でボーカル音は確かにLDACのほうがいいと思う;より滑らかに聞こえました。音質は高音・低音ともに非常にしっかりと鳴らせていましたがapt-Xととの違いはあまり分からず、敢えて言えばやや低音域の厚みがちょっと増したかな程度;高音のキレ感はBluetoothでは無理だと思う。有線接続との比較で行くと音場感(立体感)はどうしても失われてしまう(音場感スバラCみたいなレビューをたまに見ますが個人的にはあり得ない感想)ので、やっぱりここらへんがワイヤレスの限界かなという印象。そもそも遅延が起こりにくい環境を頑張って作って試聴しているので遅延については不明。
まとめ
ハイレゾのための新コーデックという位置づけで確かにこれまでのコーデックよりも音質の向上に成功したLDAC。ただハイレゾを求めている人間からすると「これまでハイレゾはワイヤレスでスカスカにしか聞こえませんでしたが、これからはCD音質程度で聞けるようになりました」と言われて食指が動くかというと・・・。Bluetoothが使われる場面で一番意識すべき外部環境からの干渉、遅延に対する脆弱性はそれほど既存コーデックから改善されておらず、理想化された状況での音質向上を目指す今の方向性ってなんか違うんじゃないの?という感想。自宅内でポータブルスピーカーって使い方はまだ説得力があるものの、僕らはみんなもっと優秀なネットワークオーディオ環境組んじゃってるんだよねっていう・・・。
今後のSONY製品がapt-X非対応LDAC路線に突き進むのだけは避けて欲しいし、もしそういう方向に行くのであればMDR-1ABTはapt-X対応の最後のヘッドフォンになったりするのかしら(そうならないことを切に祈っております)。
追記
アスキーさんから同趣旨の比較記事が出ました。
続: アンプって結局何なの!??
上の記事に対する反応として、もう少し詳しく書けと友達に言われたので、少し追記します。本当は試聴比較の項目でついでに書く予定でしたが。
アンプはスピーカを駆動させるために音声信号の電力を増幅・・・みたいな話を書きました。じゃ、具体的にどのくらい増幅すればスピーカーは鳴ってくれるのか?これはスピーカーによって違うので具体例を使って説明してみましょう。まずはスピーカー:
DALI スピーカーシステム ZENSOR 1 ライトウォールナット ZENSOR1
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メーカーのHPに飛ぶと、
JBL STUDIO230は
- 推奨アンプ出力:20-225W
- インピーダンス:8Ω
DALI ZENSOR1は
- 推奨アンプ出力:25-100W
- インピーダンス:6Ω
とあります。次にアンプです。
TEAC AI-301DA-B Reference 301 プリメインアンプ Bluetooth/USB/DAC搭載 ハイレゾ音源対応 ブラック
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TEAC
定格出力
- 40W+40W(4Ω)
- 20W+20W(8Ω)
スピーカー適合インピーダンス
- 4 Ω-8 Ω
Pioneer
定格出力
- 90W+90W(4Ω)
- 65W+65W(8Ω)
スピーカー対応インピーダンス
- 4 Ω-16 Ω
出てきた用語はスピーカー側が推奨アンプ出力とインピーダンス、そしてアンプ側が定格出力とスピーカー対応インピーダンスでした。以前にも書いたように、インピーダンス(単位はΩ:オーム)とは電気抵抗のことで、これが高ければ高いほど電流が流れにくくなります。一般にインピーダンスは高いほど音質的に有利です。電力(単位はW:ワット)は電流×電圧なので、電流が半分になれば電力も半減します(一定の電圧のもとで)。と、ここまで書くと大体分かりますね。
- スピーカー側:スピーカーはそれぞれ固有のインピーダンスを持っている(8Ωや6Ω)
- アンプ側:どれくらいのインピーダンスを持ったスピーカーを安定して駆動できるか;スピーカーインピーダンスがアンプのスピーカー対応インピーダンスの範囲外だと伝わる電力が大きすぎたり小さすぎるので動作が不安定になります。
- アンプ側:スピーカーのインピーダンスが(4Ω、8Ω)の時に最大でどれくらいの電力が流れるのかを確認するのが定格出力の項目
- スピーカー側:電力量がどの程度であれば安定して音を鳴らせるかの目安が推奨アンプ出力
例1:JBLのスピーカーとTEACのアンプの組み合わせ
JBLのスピーカーは8Ω、TEACの適合インピーダンスは4-8ΩなのでOK、定格出力は8Ωで20W、推奨アンプ出力は20-225WなのでOK
例2:DALIのスピーカーとPioneerのアンプの組み合わせ
DALIのスピーカーは6Ω、Pioneerの対応インピーダンスは4-16ΩなのでOK、定格出力は4Ωで90W、8Ωで60Wなので出力は60Wー90W、推奨アンプ出力は25-100WなのでOK
※一般にアンプの出力はある程度余裕を持っていることが好まれます(スピーカーの能力を充分に使うため)。この観点からすると例1のケースでは推奨出力ギリギリの出力になるため、実際はもう少し出力の大きいアンプを使ったほうがいいよ、ということになります。
アンプって結局何なの!??
はじめに
皆様こんにちは、yamanatanです。最近は先日発表されたSONYの新型ハイレゾウォークマンNW-ZX2の試聴レビューを早くやれとか、新コーデックLDACの音質チェックやるんですよね?とか会った人に色々言われるので、また近いうちにやらないとな~とか思っています。
さて、今日取り上げるのはアンプです。というのも、以前に書いたこの記事
を読んだ人から、「アンプって色々な種類があってそもそも何を買えばいいのか分からないので教えてください」と頼まれたためです。それでは、いつものようにざっくりと解説してみましょう。
お仕事
さて、そもそもアンプさんは何をやってくれるのか。以前書いた僕の記事の説明によれば(笑)
アナログ音声信号を増幅する専門家はアンプです。
とあります。教科書的な説明をすると、アンプというのはAmplifierの略で日本語をあてるなら増幅装置でしょうか。DACが変換してくれたアナログ音声信号はスピーカーを動かすほどの電力がありません。そこで、アンプがスピーカーを鳴らせる電力レベルまで信号を増幅してスピーカーを駆動させます。
種類
実際のところ、実用上覚えておくべきアンプの種類は大きく2つしかありません。*1
- プリメインアンプ
- AVアンプ
高校の物理学の授業を少し思い出すと、
電力=電流✖電圧
でした。アンプは電力量を増幅するという話でしたが、実際には2段階
- 電圧を増幅
- 電力を増幅
で電力を増幅します。ここで電圧を増幅するアンプをプリアンプ、電力を増幅するアンプをメインアンプと呼びます。プリアンプ部分では音声の調整(control)なども同時に行うため、プリアンプはコントロールアンプとも呼ばれます。一方、メインアンプ部分では電力を増幅しスピーカーを駆動(power)させるため、メインアンプはパワーアンプとも呼ばれます。プリメインアンプはプリアンプとメインアンプを統合(integrate)したアンプなのでインテグレーテッドアンプと呼ばれるわけです。
プリメインアンプは左右2つのスピーカーを駆動させるので2ch出力です。一方でAVアンプは映像関連の出力も組み込まれていること、5.1chや7.1chに対応している結果として出力しないといけないスピーカーが増えるので、スピーカーの数に対応したプリメインアンプが組み込まれているといった点が違います。AVアンプのほうが多機能、多プリメインアンプで一見良さそうに見えますが、何度もこのブログで書いているように
- 音声に関係のない映像関連の出力部分はノイズの原因
- パーツが多ければ、それだけパーツ間相互干渉によりノイズが発生
要約
- プリ(コントロール)+メイン(パワー)=プリメイン(インテグレーテッド)
- (一般的に)プリメインアンプの音質>AVアンプの音質
- (一般的に)プリメインアンプの機能性<AVアンプの機能性
おまけ
デジタルアンプ
今までの説明はアナログアンプでしたが、世の中にはこのブログでも時々登場するデジタルアンプ(D級)というものもありました。ものすごくざっくりと書くと
- デジタル信号⇒DAC⇒アナログ音声信号⇒アナログアンプで増幅
- デジタル信号⇒デジタルアンプで増幅
つまり、どの段階で増幅するかが違うということです。デジタルのほうが安価・効率的ですが、アナログのほうが音質が良いというのが一般的な印象です。ただ、最近はあまり変わらないと僕は思っています。
パワーアンプだけ
ヲタでもない限り、アンプで売れ筋を検索して出会うのはプリメインアンプです。だからあまり気にしなくてもいいですが、世の中にはパワーアンプ単独の商品が存在します(もちろんプリアンプも)。ということで、どうしてもどこかのメーカーのパワーアンプが気に入ってしまった人用に少しだけ書いておくと
- プリアンプはなくても、充分な電圧でパワーアンプに入力されればスピーカーは動くし音も鳴る(充分の程度はアンプによる)。
- その際、音声調整の機能がプレーヤー側に付いていることが必要(調整もしたくなければ別に要らないが・・・)。
- どうして2段階で増幅するの?って疑問は、充分の程度がアンプによって違うからということで納得しておけばいいかと(実際はもう少し複雑だが)。
もう少し詳しく知りたい人向けに
さいごに
って記事を書いて見せたところ、「結局何買えばいいの?」っていつものように聞かれたので(呆)時間のある時に売れ筋の試聴比較記事でもまた書きます。ではでは~。
photo credit: L1020311 via photopin (license)