予算10万円PCオーディオベストバイ2018
はじめに
台風で仕事ができないので、この機会に書きたかった10万以内ベストバイを書いてみることにしました。ハイコンポ~の記事を掘り下げようとする→philewebで予算10万円~の記事が出る→読んでみたら不完全燃焼という流れで、まとめておきたい記事でした。
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PCオーディオ
10年くらい前であればラジカセやコンポ(ミニコンポ)が主流だったかもしれませんが、現在もっとも主流なオーディオの構成は間違いなくPCオーディオです。PCが一般化し、インテリアの中心になったことで、状況は一変しました。PCオーディオについていえば、以前はCDドライブ付きのPCが多かったですが、ノートPCの薄型とともにCDドライブなしのモデルが増えてきたので、オーディオ再生環境としては、CD再生用機器(CDトランスポートと呼ばれたりします)を別に揃えるケースも増えてきました。
PCオーディオの標準構成は以下のとおりです。
- PC(音源再生)→PC(デジタル・アナログ変換)→パッシブスピーカー(出力)
※PCにCDドライブが無い&CDを再生したい場合は、PC+外付けDVDドライブやCDトランスポート(音源再生)になります。
ただし、この構成ではPCノイズがデジタル音源をアナログの音声に変換する過程で音声にのってきてしまうのでよくありません。そこで、DACという機械を使います。
- PC(音源再生)→DAC(デジタル・アナログ変換)→パッシブスピーカー(出力)
また、このままではスピーカーを鳴らすのにパワーが不十分なケースがあります。そこで電力を増幅してくれる装置であるアンプ(パワーアンプ・メインアンプ)を追加します。ここには電圧増幅・音量調整の装置であるプリアンプの機能が追加されたプリメインアンプを使うことがより一般的です(初心者はとくに)。
- PC(音源再生)→DAC(デジタル・アナログ変換)→パワーアンプ(増幅)→パッシブスピーカー(出力)
- PC(音源再生)→DAC(デジタル・アナログ変換)→プリメインアンプ(増幅)→パッシブスピーカー(出力)
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このバリエーションとして、DAC搭載プリメインアンプを利用する場合や、プリメインアンプを搭載したパワードスピーカー(アクティブスピーカー)を利用する場合、さらにDAC搭載プリメインアンプを搭載したパワードスピーカーを利用する場合があります。近年は、すっきりとしたインテリアが好まれるので、パワードスピーカーの躍進が目立っています。今回はここに焦点を当てましょう。
- PC(音源再生)→DAC搭載プリメインアンプ(デジタル・アナログ変換・増幅)→パッシブスピーカー(出力)
- PC(音源再生)→DAC(デジタル・アナログ変換)→パワードスピーカー(増幅・出力)
- PC(音源再生)→DAC搭載パワードスピーカー(デジタル・アナログ変換・増幅・出力)
お金をかける順番は、基本的に音の出口に近い方からで、一般にスピーカーがもっとも重要になります。
1点突破
【DAC搭載パワードスピーカー(厳密には違いますが、このカテゴリで)】
KRIPTONのパワードスピーカーであるKS-3HQMを単独で使うのが第一案です。一発目からいきなり特殊なスピーカーで申し訳ないですが、こちらはデジタルアンプを積んでおり、アンプがDACの役割も果たしてくれるスピーカーです(実際にはもう少し複雑ですが・・・)。デジタルアンプは一昔前までスカスカな音が出ていたので悪いイメージを持っている人も少なくないですが、最新のデジタルアンプは大音量を出さない限り、アナログアンプと同等かそれ以上の能力を発揮します。
デスクトップで使う(ニアフィールド)、音の精度や稠密性(ハイレゾなど)を重視するといったここ数年流行しているスタイルでは最高レベルの選択肢になります。こだわりの音作り!みたいなことに興味がなければ、おすすめの選択肢です。
ruarkaudioのR2Mk3を使うのが第二案です。Bluetoothも利用可能ですが、音質重視の場合は、必ずWifiでPCと接続してください。伸びやかな音が特長のモダンブリティッシュサウンドを堪能できます。
対抗馬はREVOになるでしょうか。音精度はやや甘めに感じますが、パワーはしっかりとしています。
こちらも予算オーバーですが、Dali Zensor 1AXは完成度の高いDAC搭載のパワードスピーカーです。今回はこの子をベンチマークにしています(予算20万円ならELACのAM200、予算30万円ならKEFのLS50にすると思います)。
ヤマハのNX-N500は予算内で全部入りのパワードスピーカー。やや低音に締まりがないことを除けば、解像度は申し分なく、非常にコスパに優れたスピーカーだと思いました。サイズが許す・音質重視なら、検討すべき一機です。
バランス重視
せっかくオーディオに興味を持ったんだから色々と組み合わせてみたい、さすがにスピーカー一本に10万近く投資するのは怖いなんて人は、もう少しバランスを重視した構成にしてみましょう。
KEFのQ350はやや予算オーバーなので、ここではDALIのZENSOR3をチョイス。 ZENSORは後継のOBERONが発表されたので、今後はバーゲンプライス&在庫減が予想されます。後継のOBERONは低域が強化されていますが、現在の価格差(3万円~)ほど質に違いはありませんので、当面はZENSORでいいと思います。
【追記】同価格帯ではELACのDEBUT B5/B6も有力候補ですが、ELACらしい高音のヌケ感がなく、迫力にかけます。第2世代のB5.2はまだ試聴できていないのですが、進化の度合い次第ではランクインもありえます。
高解像度重視なら、いつものSPEKTOR2。よりコンパクトな構成にしたければ、いつものSPEKTOR1も鉄板構成です。
次に(DAC搭載)プリメインアンプです。無難に攻めるならmarantzのPM6006がいいでしょう。ほぼどんなスピーカーでもしっかり鳴らしてくれるだけのパワーがあり、音像定位にも優れます。DACチップは一昔前の高級機でよく採用されていたシーラスロジックの「CS4398」(marantzのベストセラーDACであるHD-DAC1にも採用されていたチップです)で、DACの性能も十分です。
もう少し安く抑えたい場合は、PM5005やPMA390REもありですが、どちらもDACが載っていないので、結局DACを外付けする必要があります。
これらの定番ラインナップの有力な対抗馬となるのが、名門Cambridge AudioのTOPAZです。AM5は潔くヘッドホン出力まで削った結果、2万円を切る圧倒的なコスパを誇っています。一時期問題になった初期不良が減ってきた点もプラス要因。TOPAZは対になるCDトランスポートCD5/CD10にDACが載っているので、AMにはDACが載っていません。ただ、個人的にはPM6006のようにDAC搭載プリメインアンプTOPAZ AM15も出しておいてくれると、初心者に勧めやすいです。
ESSのDACチップ+AM10の組み合わせであれば10万円~クラスの音が出るので、解像度を追求したければ、悪くない選択肢です。
DAC
エントリーモデルのプリメインアンプを買った場合は、DACも買う必要があります(オーディオマニアは、敢えてDAC非搭載のプリメインアンプやパワーアンプを買い、DACも自分で選ぶことで自分の好きな音を追求します。これをディスクリート(分離)構成といいますが、初心者的には億劫だと思うので、あえてネガティブな書き方をしておきます)。
生半可な組み合わせではPM6006の音質を超えられないのですが、大正義Chordはさすがに予算オーバー
そこでまずは定番のiFiからiFi nano iDSD LE(Bluetoothに対応させたければiOne)。対応フォーマットが多く、DACチップは王道のBurr-Brownで不満なし。特に今回提案した中ではDENONとの相性がよかったです。
しかしなにか物足りない、もっと限界まで解像度を追求したいんだ!そんなあなたにおすすめなのが、これも鉄板のDragonFly Red(RedはES9016K2M、BlackはES9010K2MのDACチップ搭載。9010はヤマハのNX-N500が積んでいるDACで9016はその一つ上のグレードです)!!試聴した結果、CAのTOPAZの輝きが三段くらい増しました。特殊能力ノビ○とキレ○が付いたくらいのレベルアップ(パワプロ)。やっぱりパーツを組み合わせていろんな音を作れるのは、分離(ディスクリート)構成の特権ですね。見た目はかなり野暮ったくなりますが、音の透明感は素晴らしいです。余談ですが、見た目という意味でNuPrimeにはuDSDの後継機をES9016K2Mで作って欲しいです。
まとめ
予算10万円でPCオーディオを僕が組むなら、
- KS-3HQM(音が小さくていいなら)
- NX-N500(大きな音も出すなら)
- ZENSOR3+PM6006
- 【解像度マシマシ構成】SPEKTOR2+AM10+Dragon Fly Red
ってな感じでしょうか。海外だとKEFのLSXは10万円くらいの価格帯なので、実勢価格が落ちてきたら、こちらも検討するべきです。ではまた(^^)ノ